GREAT ELAN 林による連載エッセイ「偏屈で怠惰な社説」

GREAT ELAN 林による連載エッセイ「偏屈で怠惰な社説」

マガジン

  • 偏屈で怠惰な社説

    GREAT ELAN 林によるエッセイ。

最近の記事

アポロ弁当計画

 女性と交際した際に最もされて嬉しかったことは?と聞かれたら、相手が言い終わらぬ内に「弁当を作ってもらったことだ」と即答出来る。彼女の彼女による私のための弁当。時間差で発動する愛のトラップカード。こんなに素朴で確かな幸せがあるかね。たとえ手が込んでいなくても、慌ただしい1日の始まりに弁当を拵えるのがどれだけ大変なことか。朝に弱い、というか昼さえ弱い私からしたらノーベル平和賞モノである。    先日仕事の合間にコンビニに行き、いつものように食事を買うはずが、そのときはやけに値段

    • おでんとしらすとディアボラ風

       好きな食べ物を聞かれたら、  「おでんとしらすとディアボラ風」 と答える。補足するまでもないが、ご存じサイゼリヤが提供する若鶏のディアボラ風のことだ。おでんはコンビニのレジ横、しらすはスーパーの少し質の良いもので十分だが、どちらも時期によってしまう。その点ディアボラ風だけがサイゼで通年食せるのだ。久々の投稿はサイゼ天晴れ、サイゼエッセイである。  先日ディアボラ風の到着を待っていると、斜め向かいで男子学生達が「あいつ(教師)、ワークから問題出さないよなぁ」とぼやき、反

      • 俺のまつげがナチュラルにカールしていて何が悪い

         ビューラー、あれは本当に恐ろしい。悪い奴に捕まり、やれとテーブルに投げ出されたら、手がぶるぶる震えてしまうだろう。  しかし女性の方々は日々平然とあれでまつげをばちばちに立てている。まぶたを挟むのも厭わず、まつげが抜けるのも厭わず、ミュラー・リヤー錯視に則り(矢印の向きで真ん中の線分の長さが違って見えるあれ)、少しでも目が大きく見えるように大変な努力をされている。あれはもしやすると、ヤンキーが髪を重力に逆らって立てたり、リーゼントをセットしたりするのと同じ気合い入れなのだ

        • 受験勉強後遺症

           皆さんは「受験」をしたことがあるだろうか。  多くの人がはい、と答えるのではないだろうか。中学受験、高校受験、大学受験、国家試験、資格試験、、、と世間には様々な試験がある。  今回は私のこれまで経験してきた「受験」にまつわる記憶を辿ってみたいと思う。  まず小学生の頃は公文のCMが流れる度、「行く訳ねぇだろ、公文式!」とテレビに向かって吠えていた。「やってて良かった!公文式♪」という軽々しいセリフを初めて聞いた瞬間、カーーッ...チーーーーン!!!!!!と、スーパーサ

        マガジン

        • 偏屈で怠惰な社説
          12本

        記事

          髪を切れ!

           この街に住んでもう6年になる。都内だがのどかで自然もあって素晴らしいが、いささか美容室が多過ぎる。そんな美容室建てんでも...というくらいある。テナントが空いてしばらくして着工し、何が出来るか密かに期待していると、当然のごとく美容室である。  ただそれほど美容室があって、私の行きつけはない。あとからここへ越して来た知人におすすめの店を訊かれ、ないと即答した。もちろん一般的に人に薦められる美容室はあるだろう。しかし私は全く知らぬし、また探そうともしない。他の街に探しもしない

          髪を切れ!

          次の仕事は着ぐるみですって⁈

           トム・ウェイツの『スモール・チェンジ』を再生し、ウィスキーをグラスに注ぐ。1曲目『トム・トラバーツ・ブルース』のストリングスの、悲しみを慰めるような美しい旋律が流れ、トムがしゃがれ声で歌い出す。 「俺は疲れ切ったし、負傷したよ  いや、月のせいなんかじゃねぇ  いまツケが回って来たってとこだな...」(訳:私)  薄汚れた私の部屋は孤独な酒場と化し、私は心の中で泣き、ひたすら杯を傾ける。  あなたはトム・ウェイツというミュージシャンを知っているだろうか。彼が歌った、日

          次の仕事は着ぐるみですって⁈

          あなたの街に100ローはあるか?

          『ビッグになりてぇな』 『あぁ、それで好き放題金使ってよぉ』 『夜の街で女はべらせてな』 『おい、でもよ、ブラザー、俺は100ローがやってけねぇような小洒落た街に住む気はねぇんだよな』 『ファッキン同感だよ、ブラザー』 (グッ!と固い握手)  これはとあるダウンタウンの路地で私が実際耳にした話、などでは全くなく、いま適当に作った話。そう、今回は泣く子も黙る100円ローソンこと“100ロー”の話。  たとえ私がこの先タワマンやら豪邸やらに住むことになろうと(ならないが)、近

          あなたの街に100ローはあるか?

          そうだ、歯医者へ行こう

           私は大人になるまでほとんど歯医者にかかることがなかった。歯磨きも食事の度にするほどマメでもなかったのだが無事であった。しかし大人になり、酒に飲まれて寝落ちして、を繰り返し、どこもかしこも悪くなってしまった。文豪らしくて良いかと思っていたが、痛み出しては耐え抜く肝もない。地元に名医がいて、通うならそこ一択であったが、時はコロナ。いま住む街で探すことにした。   幸い通っても良い場所が一度で見つかった。設備も最新鋭、初日から口内を3Dで完全掌握されてしまった。案の定上下左右に

          そうだ、歯医者へ行こう

          炒飯徒然日記

          「最近何かハマってる?」 「ん~、チャーハンかなぁ」  そう答えられても反応に困るだろうが、そう答えていた。申し訳なく思うが、聞いてきたあなたにも責任はある。今回は何を隠そう、チャーハンの話だ。  まず初めにチャーハンという言葉から確認して参りたい。この気取らず、馴染み易く、“チャー”ミングで、しかし同時に男らしさまで想起させる言葉が他にあるだろうか、いいや決してない。絶妙過ぎる。英語ではFried Riceと言うらしいが、一体なにがフライドライスか。そんな呼び方ではチャ

          炒飯徒然日記

          人類の進化とは

           いままで経験のない蕁麻疹が出た。  夜になって頭が異常なほど痒みだし、これは異常だと思いつつも床に就くと、寝ている間に頭を掻きまくり、朝には蕁麻疹のような腫れが顔まで広がっていた。Twitterで「辛イオネル・リッチー」などとふざけてつぶやいてはいたが、実際は赤ん坊のように泣き出す寸前であった。その日は仕事で医者に行けず、市販薬も効果なし。夜は冷凍庫の保冷剤・アイスノン総出で寝つこうとするも痒みにはまったく敵わず、布団の上でずっとぐるぐる回転していた。とても眠れたものでは

          人類の進化とは

          野菜ハイパーインフレ

           スーパーに食料品を買いに行く。  「野菜、高くない?!」  野菜を摂ること、それ即ち不健康さよなら、健康遊園地で僕と握手!なのに、これでは買いあぐねてしまう。世界に蔓延る悪や心に棲む悪魔にも勝てない。野菜さえ、野菜さえ摂れれば、あいつに勝てるのに!と悔しさの内に引き帰してきた。  俺にプチトマトを食わせろよ!  ブロッコリーを茹でさせろよ!  レタスの葉っぱ、むしらせろよ!!  今回はそんな値上がりした野菜に替わる補給源を考え出すための回である。  まずはパック野

          野菜ハイパーインフレ

          音楽が売れるとコンタクト屋が儲かる

           私は普段メガネをかけている。  しかし20年近くメガネであっても、自分に似合っているとはとても思えない。音楽活動にあたっては、メガネではサマにならない(私は)と思っているので、コンタクトレンズをする。当然毎日コンタクト、とは比較にならないほど消費が遅い(ワンデイタイプの話)。  そんな私の消費スピードなど露知らず、某コンタクト会社から、値引きのクーポンメール(20%オフ)が毎日送られて来る。そんなに送られてはかえって逆効果である。とにかく毎日届くので、実質いつでも割り引

          音楽が売れるとコンタクト屋が儲かる