あなたの街に100ローはあるか?
『ビッグになりてぇな』
『あぁ、それで好き放題金使ってよぉ』
『夜の街で女はべらせてな』
『おい、でもよ、ブラザー、俺は100ローがやってけねぇような小洒落た街に住む気はねぇんだよな』
『ファッキン同感だよ、ブラザー』
(グッ!と固い握手)
これはとあるダウンタウンの路地で私が実際耳にした話、などでは全くなく、いま適当に作った話。そう、今回は泣く子も黙る100円ローソンこと“100ロー”の話。
たとえ私がこの先タワマンやら豪邸やらに住むことになろうと(ならないが)、近くに100ローがあるかに重きを置きたい。タワマンの1階部分が100ローになっていたら最高である。リムジンで移動するようになった暁には(ならないが)、帰宅時の夜の街を悲しげに見つめながら、「ごめん、100ロー寄って…」とアンニュイにドライバーに告げるだろう。しかし不動産屋もこれからタワマンに住もうという人間から「100円ローソンが近くにあるか」を聞かれたらひっくり返ってしまうだろうか。最悪売ってくれないかも知れない。まぁくだらない妄想はこれぐらいにして、具体的な話に移ろう。
私が上京してきたときから今日まで、100ローはずっと最寄りのコンビニである。昔、人からそのことを羨ましく言われ、「あぁそうかな…」と曖昧に答えていたが、その時の私は人生の真理が何ひとつわかっていなかった。確かに100ローで弁当を買う気はしない。牛乳もわずか3,4日で賞味期限を迎えたりする。ちくわはこれっぽっちも味がしない。だが100ローのコスパは100ローでしかありえない。弁当や牛乳やちくわなど、どこにだって売っている。弁当を買う気がしないと言ったが、それはあくまで私の個人的な食傾向に依るだけのことで、ウィンナーとご飯、そしてわずかな味無しパスタのみで構成された“だけ弁当”が驚きと称賛で持って迎えられたのは記憶に新しいのではないだろうか。発売にあたってはあの地獄と言われるヤフーニュースのコメント欄も、好意的な意見で溢れていた。期限が早い牛乳についてみても、その家庭の消費スピードや菓子作り等ですぐ消費してしまうなら一切問題にならず、シンプルに安くて助かる。あなたが単身世帯で消費が早くないというならば、期限に余裕があるものが店頭に並んでいるときに買えば良いのだ。何?それでは買いたい時に買えなくて不便?そんなつまらないことを言う奴に100ローのコスパを享受する資格はない。
色々と気に入っている商品はあるが、私は黒烏龍茶の1Lペットをよく飲む。傍らに置いてがぶ飲みするのに手頃だ。500mLだとちと少ないし、2Lだと持ち帰りが億劫で、側に置くにも大き過ぎて鬱陶しいが、これは絶妙なサイズ感である。当初この黒烏龍が店頭に並び出したとき、100ロー慣れしていない女子高生2人組が入店してきて、それを見るなり「え?嘘だよ、これ!www」と黒烏龍茶であることを完全に疑っていた。要は黒烏龍茶であればすなわちトクホ的な機能があるものと思ったようで(ちょうどその手の黒烏龍茶が普及しだした頃だった)、その決めつけ自体が完全にアウトである。トクホだとか、脂肪の吸収が~とか、ただの一文字も書いていない。いまパッケージを見てみたが、「甘味の中に渋みと苦みが調和し、うんぬんかんぬん」としか書いてない。それでもれっきとした黒烏龍茶であるし、私は好きで飲んでいるのである。そういった先入観で物事を評価・判断していては、これから悪い男に騙され、利用され、裏切られても仕方がないだろうと思う。またスペック(ここでいえばトクホ)で人や物事を見ていては大切なものを見失うだろう。やめよう、説教臭くなった。
この頃は100ローといえど物価上昇の波を感じて非常に切ないが、それでも100ローは頑張っている。100ローはこの救いようのないスタグフレーションの中の希望の光なのである。豆腐1丁サイズのところてん(通称100ろてん、夏限定)、サラダチキン60g(味も良い)、バラエティ豊かな冷凍食品、1.3kgのロックアイス、生卵6個パック、やきそば3食パック等々、挙げ出せばキリがないが、100ローのびっくり商品はいつでもあなたを待っている。
追伸、これを投稿するにあたり一度試しておかずにはいられないと思い、クリスマスに30円引きになったウィンナーだけ弁当を食べているが、美味い。やはり100ローあっぱれである。もう少しで100円おせちが店頭に並ぶ。
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