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本日は数字のトリックについてお話します。
理解しないと、数字のトリックに騙され、食い物にされるかもしれません。
ぜひ、注意深く読んでいただき、数字のトリックに気付けるようになってください。


正しい数字の種類・見方

世の中には、絶対的な数値だけでなく、率(分母を分子で割ったもの)で区別できます。
また、見方として、絶対的と相対的な見方があります。

絶対的:他の何物ともくらべようもない状態・存在であるさま
相対的:他との関係において成り立つさま。また、他との比較の上に成り立つさま

これらを組み合わせて、数字が意味するものを正確に捉えることが、非常に重要です。

数字 vs 率

まず、数値と率について、弊社のような転職エージェントが陥りそうな例を挙げてみます。

Aさん:スカウトを送ったんですけど、1通しか返ってきませんでした。
上司:何通送ったの?
Aさん:20通です。
上司:5%も返ってきてるじゃん。普通この媒体でのスカウトの返信率って1%もないよ。(つまり、100通送って1通)

数値だけを見ていると、たった1通です。
しかしながら、通常よりも高い返信率にあるということは、アプローチ方法が正しかった可能性があります。

にも関わらず、"1"通という数字から、うまくいっていないという判断をしてしまい、別の方法を実施してしまうかもしれません。

逆に率の例を挙げてみます。

Bさん:とあるサイトでスカウトを送ったら、開封率が50%ありました!他の方は10%切ってるので、いい感じです!
上司:何通分の何通開封されたの?
Bさん:……あとで見ておきますね
上司:(画面開いて)2通しか送ってないじゃん!こりゃまぐれだよ!せめて他の人みたいに何百通って送ってから言ってくれないかな…

この例は、数値だけで見ると50%という、異様に高い数値を叩き出しています。この数値だけ見ると、すごく感じそうですね。

しかしながら、母数がたった"2"通です。これでは、このスカウトが良かったのかどうか、判断しようがありません。
このまま同じ文言を継続して、50通/100通くらいまでいって、初めて上司に見せるべきでしたね。

上司が忙しい方で、詳細を気にせずに報告の内容をそのまま受け取る人であれば、いい評価を得られるかもしれませんが…

一括 vs 分割

これは少し余談ですが、一括りにすると大きい数字でも、分割すると一見して小さく見えるという心理トリックです。

例えば、一ヶ月に100kmランニングするという目標を立てたとしましょう。
これでは非常にでかすぎる目標に見えます。

しかしながら、5kmを20日とするとどうでしょう?
何となくやれる気がしませんか?

このように、1つの塊で見ると大きい数字でも、小さく見せることができます。

高い商品を分割で売る情報商材などは、正にこのトリックを使っています。
無金利ローンなどでも、100万円近い商品が月々数万円の支払いになったりするので、手が出ますよね。

大事なのは一括で考えた時に、大きいのか/小さいのか、根拠をもって判断することです。

絶対 vs 相対

まず、絶対と相対の定義のおさらいです。
絶対的:他の何物ともくらべようもない状態・存在であるさま
相対的:他との関係において成り立つさま。また、他との比較の上に成り立つさま

単一の数値で見ることと、他と比較した数値で見ることの違いです。

私含めた友人3名で、飲んでいた時の会話です。(10年くらい前の話)

A君:商社マン
B君:オフィスサプライのベンチャー
私:すかしたやつ

私はすかしながら、A君とB君の会話を聞いていました。
特に若いときは、年収を比べあったり、仕事でマウントを取ることが多いのですが、この時もまさにそうでした。

B君:この前、開拓するのが難しかった顧客に、プリンター導入してもらったよ!
A君:プリンター…?おれは重工業を担当していて、この前10億の売上を作ったよ!
B君:しょぼーん

絶対的な数値で見ると、10億という数値は桁が違います。
中々この金額を扱う人はいないでしょうから、A君がいばるのも当然です。

しかしながら、相対的に見ると、本当にすごいのかは分かりません。

まず、商社は先人が作った、大規模ビジネスがゴロゴロあります。
ただ決められた業務を粛々とこなしただけでも、億単位の売上をつけてもらえることはザラにあります。

一方、B君は名もなきベンチャー勤務です。
何度も架電を断られ、やっとのことで新規開拓できたとしたら、売上を作るという行為自体はA君の仕事よりも難易度が高いかもしれません。

そもそも別のフィールドで競いあっても、前提条件が合ってないため意味がないのですが、
ついつい目に見える数値で比べて、一喜一憂しがちです。

数字のトリックに騙されないために…

クリティカルシンキング的観点で言うと、絶対的観点で(つまり1つの要素だけで)何かを判断しないことが肝要です。

A君が売り上げた10億も
B君が導入したプリンターも
単一で見ると、すごいのか/すごくないのかを判断できません。
(友人間の会話では、「全部すごい」でよいのでは?)

したがって、A君B君どちらの事実も評価するのであれば、相対的に比較して、評価・判断すべきです。

また、相対的に評価する場合、似たような条件で比較する必要があります。
同じ部署の担当者、もしくは他商社の同じ部門と比較して、10億という数値が多いのか、少ないのか、検証する必要があります。

他担当が5億のなか、A君が10億稼いでいたのなら、A君は自慢に値する功績をあげているといえます。

一方で、他担当も含め、だいたい10億がボリュームゾーンであれば、相対的には平均です。

B君の扱っている商材と比べて明らかに高単価な商材を扱っているにも関わらず、話をすり替えて、マウントを取っているはずかしい人になってしまいます。

このように、「数値 vs 率」「絶対 vs 相対」を駆使し、数字で欺くケースは様々なシーンで見受けられます。
・職務経歴書で実績をやたらと大きく見せる求職者
・やたらと高い内定率を打ち出しているが、条件を付けて母数を操作し、率を高く見せる転職エージェント
・相対的なエビデンスがないにも関わらず、「圧勝合格!」「圧倒的合格率!」など、あたかも他と比較して実績があるように見せる受験予備校・留学支援業者

・率の母数は適切か
・絶対値のみで、誇示していないか
・全く粒度の違う比較対象を使って、相対評価していないか
など、数字を見たら疑ってみるようにしましょう。

さて、A君B君との会話ですが、私は言いました。
「A君の部署の平均売上ってどのくらいなの…?」
「……5……十…億……とかかな…?」

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