【ラマダン】食品廃棄物から垣間見るアラブ人文化と日本人の民度

みなさんラマダンと言う宗教行事をご存知ですか？
ラマダンとはイスラム教の五行のうちの一つである
「断食」を行う月のことを言います。
この期間ある特定の人を除き健康なイスラム教徒は、
日の出から日没まで飲食が一切禁じられています。

長女のクラスでも3年生になると、半分以上の生徒が
日中のファスティングに励んでいます。
次女のクラスは一年生なのでまだファスティングをしている子供は
いない様子です。

校内ではイスラム教徒以外の生徒は
普通に飲食が許されているので、
ランチタイムやブレイクタイムはファスティングのグループのみ
他のクラスに集まり待機と言うかたちを取っているようです。

私達もイスラム圏に住むようになって今年で8年目。
長女の妊娠中を含めて何度もラマダンを経験していますが、
元々外食する習慣があまりないせいか
ラマダン中も外で飲み食いが出来ないことにそれほど不便さを感じません。

と言うのも私達はイスラム教徒ではないので
断食はあくまでも任意と言う点が大きいのですが。

ちなみにホテルを除きエンタメ関連の施設なども
時間を変更して営業するので
イスラム圏に旅行で来る際はラマダン期間を外して
予定を立てた方が無難ですよ。

さてラマダンの全体感をお伝えしたところで
本題に入りたいと思います。

ラマダンと食品廃棄物がどう関係してるの？

ラマダンは先にもお伝えした通り、
イスラム教の五行の一つです。
断食の他に信迎告白、礼拝、喜捨、巡礼がありますが
中でも喜捨は「シャリテ」と言う精神が根本に宿っていて
貧しい人や施設に対して惜しみなく物を与える
どこかおもてなし文化のような考え方があります。

預言者ムハンマドは
”イスラム教徒のすべての人生の歩みに「節度」を持つように”

と求めていますが、
実際はラマダン期間中に出る大量の食品廃棄物が
深刻な環境汚染と湾岸諸国における
経済的負担の大きな一因になっていることは否めません。

残り物は捨てると言う文化

それに加えてアラブの国では
大皿に盛った大量の料理をずらりとテーブルに並べて
人を招く文化があって、
さらに新鮮な食べ物を好む傾向も相まってか
残り物を明日に残すと言う考もあまりないようです。

宗教観以前に食に対する文化や民度、
そして習慣などがラマダン期間はなぜがネガティブに作用してしまい
その結果、調理された料理の約50%が食べずに破棄され、
なんとサウジアラビア全体では
毎日推定4,500トンもの食品がゴミとして捨てられています。

リヤド、ドーハ、アブダビなどアラブの都市における
1人1日あたりの食品廃棄物の量は1,5kgを超え、
世界で最も高い食品廃棄物生産者であることが統計でも分かっています。
その一方で日本人の1人1日ありの食品廃棄物の量は、
だいたいお茶碗一杯分ですから
それと比べるとどれだけ凄まじい量の食べ物をアラブの国の人々が
捨てているのか、容易に想像がつくと思います。

またそれがラマダン期間中に最も最悪な状況になると言うのですから
本来のラマダンの意味(節制と喜捨)と実際の姿とは
全く別物であることがよく分かります。

ラマダンの本質と日本人の民度

食べたい物が好きな時に食べられない苦しみを自らが経験することで
飢えに苦しむ人を想い救いの手を差し伸べる。
本来はそちらの方がラマダンの本質であるにも関わらず、
日中の空腹感を日没と同時に爆食で解放してしまう人の多いこと。

今この時代において本当にラマダンの精神が「シャリテ」に通じる
真の姿なのか？
私はイスラム教徒ではありませんが
ちょっと疑わしい部分もこの数年ちらほら感じる所があります。

救いの手と言いながらも
どの国教でも自らの欲を捨ててまで他人を思い、
人生を自分以外の誰かのために優先できる人は
ごくわずかであると言う学びを
今年のラマダンから改めて学ばせてもらっている気がします。

我が家は食品ロスの観点からも
冷蔵庫を使うのを止めていますが、
本当に無駄な食材購入や食べ残しが減りました。
少し極端なやり方ではありますが
時には強制的に何かを止めなければ
新しく始まる未来もないんですよね。

お茶碗に最後の一粒のお米が目に見えて分かる文化は
ご飯を残さずに食べると言う民度の高さを表す食文化です。
手でちぎって食べるパン文化では
なかなか育たない食への慈しみは実は運よく私達日本人が
生まれた時から備わっている美徳でもあるんですよね。
外国に暮らしてみると、
これって実はとても凄いことなんだと分かりますよ。

今年の夏は東京の実家、そして夫の故郷フランスへ
従兄弟のカトリックの洗礼式へ出席します。
イスラム圏で暮らしながら、
いろいろな宗教のセレモニーや文化に触れる機会を活かして
またそちらに関してはnoteで情報シェアさせていただきます。

今回の記事がどなたかの参考になれば嬉しいです。
グレイス