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アルケミスト - 夢を旅した少年 - 天アンカットから感じる物語の手触り

「アルケミスト 夢を旅した少年」を読了しての感想。

物語は羊飼いの少年が何度も同じ夢を見るところから始まる。しかしそれは、いつも宝物を見つける一歩手前で目が覚めてしまうのだった。

夢を信じ、導かれるように、長い時間を共に過ごした羊たちを売り、アンダルシアの平原から旅に出かける。夢に登場した手がかりエジプトのピラミッドを目指して。

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絵に惹かれ手に取った。物語にすっと引き込まれていく。美しい文章を際立たせている装丁の力に気付いたのは、砂漠へ出発するシーンに差しかかった時だった。

本の上部がでこぼこであることに気づく。

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「天アンカット」

わざと断裁していない手法。装丁ミスではなく、あえてのこだわり。この時、物語が立体化され少年が旅する砂漠が目の前に表れた。

本の日焼け、手垢はあらゆる人の手を旅してきた歴史を物語っていた。偶然にも古本が纏った雰囲気と天アンカットが奇跡のように紡がれ、砂漠が手の中にあった。

風合いある手触りから物語を感じ、少年と共に夢を旅していた。

物語で度々登場する

「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」
「前兆に従うこと」

語りかけられているかのように言葉がすっと入ってくる。

異国の地の風が肌に触れ鳥肌が立っていた。

もし手に取ったのが古本の文庫本ではなく新品の単行本だったら、もし読んだのが紙ではなく液晶だったら、異なる物語を旅していたかもしれない。

偶然、手に取ったのがこの本で良かった。

目には見えない大切なもの。夢に向かう直感の力との出逢いだった。

「全ては繋がっている」

アルケミスト 夢を旅した少年
著者 : パウロ・コエーリョ
訳 : 山川鉱矢 山川亜希子
カバー : ミウラナオコ
角川文庫ソフィア




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