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2024年9月に読んだ本まとめ

 ついに今年もあと3ヶ月。ふと、今年の始めに立てた目標を振り返っています。「読書」に関して言うと、目標であった45冊を超えて、60冊に手が届きそうになっています。

つぶやきから

読めば読むほど、読み抜く力がついたと思います。書けば書くほど、情緒が豊かになったと思います。大人も成長するんですね。

読書メーターのつぶやきより

 100冊までいかずとも、70冊ほど読めたら、御の字です。そうやって本との本当の出合いを重ねて、新しい自分を引き出していきたいです。

 さて、今日はタイトル通り、先月に私が読んだ本のレビューを行っていきますね。先月は、コンスタントに読み続けられた感じがします。
 別の視点で言い換えると、電車の行き帰りや、時間がふと空いた時に、「気が付いたら」読んでいたように思います。


『人間標本』 湊 かなえ

 読書歴が長い私ですが、初めて湊さんの作品を読みました。名前はもちろん存じ上げていましたが、手に取るのは初めてでした。

 『人間標本』という、失礼ですが何とも物騒な言葉の配列に惹かれたのです。子どものころひたすら集めた、蝶だとかトンボ、バッタの類を越えて、人が標本になるとはどういうことなのだろうか、そんな好奇心からページをめくりました。

至は、すべてわかっていたかのだと思うと、切なさを越える境地を感じた。終盤での、まさかのどんでん返しにヒヤヒヤしながら読み進めた。一つ思い出したことがあった。それは昔、羽化に失敗して死んでしまった蝶をいつまでも取っておいたことである。そこに生まれ、羽ばたくはずだった命への愛しさがあったように思う。人間を標本にしたいと思った発端者は、叶うことのない猟奇的な愛に自分自身が、救われないことを承知で、埋まっていったのかもしれない。そう思うと、私はまだまともな方かもしれないとも感じた。それにしても怖い。

『人間標本』|本のあらすじ・感想・レビュー・試し読み - 読書メーター (bookmeter.com)

救われない愛がそこにはある

 「命への愛しさ」それは、小さい時に殺してしまった「あり」や「蝶」「トンボ」にもあったのではないか、と懐古した。

 今思うと、酷なことをしたとわかるし、小さな命であっても殺生はいけないことである。
 
 しかし・・・

 子どもとはある点では「残酷」である。

 羽ばたくはずだった命を、手元に「取っておくこと」への
 恐ろしいほどの執着があったということである。

 そういう生々しい人間の原始的な、恐ろしい性質を

 この作品は描いているように思うのである。

 それにしても、何度思い出しても「怖い」

『失敗の科学』 マシュー・サイド

 23歳くらいの時、仕事で失敗して半ばパニック&泣きそうになりながら、お客さんと電話したことを思い出します。

 そもそも、お客さんからの電話で、その失敗に気づくというとんでもない次第だったのだが、その時の経験が強烈すぎて、今も脳裏に焼き付いています。

どう乗り越えたのか

 基本的にルールブック的なマニュアル的なことを脳みそに叩き込むことが、好きなタイプの人間なので、起きたことを俯瞰してとらえ、まとめ直すことが私には合っていました。

 感情的な部分では、納得のいかないこともありましたが(若さも相まって)、似た失敗を二度と起こさないためのルールブックを脳内展開することで、少しずつ成長していったとも言えます。

少しずつ読み進めたからこそ、スッと大事なことが頭の中に入ってきたように感じた。仕事柄、失敗が許されない。失敗しようものなら····という現場で働いている。その分のお給料ももらっている。だからこそ日々研鑽である。しかし、本書のように危ういことは、日常的にないとは言い切れない。だからこそフィードバックや自己反省を続けて、精進している。小さなミスになりそうなことは逐一ボスに報告もし、相談もする。ミスは隠さない。英語でIdeal jobという言葉があるが、今の仕事はまさしくそうだと思う。

『失敗の科学』|感想・レビュー・試し読み - 読書メーター (bookmeter.com)


ミスは隠さない

 先日、仕事で使用している什器の一部が壊れた。もともと調子が悪かったのだが、何度か使いづらくなり、というのを繰り返しをしていた。

 厳密に言うと、「私だけが壊した」のではないが、

 隠さずに報告をした。

 もちろん、私が最終的に報告したので、お上さまは、私が壊したのだろうと思ったと考えられる。

 しかし、他の同僚が報告をしないから、いつまでもそれが直らなかったわけである。

 壊れかけのまま、今日の今日まで来たということである。

 私は声を大にして言いたい。

気が付いた時点で、伝えようと。

あなたのミスだと最終的には報告されたとしてもである。

壊れたままだったとしたら

 もし、私も報告をせず壊れたままだったとしたら、もしかしたら重大な事故につながったかもしれない。ケガをする人が出たかもしれない。

 あるいは、次に使うときに完璧に使えなくなり、他の作業や仕事に影響が出て、納期等が遅れるかもしれない。

 そういった想像力の欠如という「失敗」を防ぐことにもつながったのではないでしょうか。

たとえ、悪評価になったとしても

 ミスは隠さない。

 ミスのミスのうちに、処置することが何事にも大切なことだと私は思う。

『赤と青のガウン オックスフォード留学記』 彬子女王

 留学というのは、ある意味で孤独である。育ったことも行ったこともないところで、学び、問い続ける道を開墾していくのですから。

 20歳の時、短期間であったが小留学をしたことがある。団体での留学だったので、ある意味、前述した「孤独感」はあまりありませんでした。

 しかしながら、日本語が通じない世界に身を置くというのは、究極の冒険の一つでもある。尻込みせずに、どれだけ自己表現できるか、というのも留学成功の秘訣なのかもしれない。

 20歳という若さがその原動力になってくれたに違いない。

今から、10年以上前になるが、自分も少なからず留学経験がある。しかし、その経験を凌駕する体験と勉学の積み重ねをこの作品から学ぶことができた。私のちっぽけな経験とは比べ物にはならないほど、一人の人間としてのたくましさと、強さそしてひたむきさに、ただただ、脱帽である。そして、彬子女王という固有名詞を越えた彼女自身との本を通しての出会いに感謝である。私も、もう少し海外の地で頑張っていきたい。そして自分の学び、その研鑽の積み重ねを彼女に重ねられるような人になる。苦学力行、石の上にも3年。自分を作ることを忘れずに。

『赤と青のガウン オックスフォード留学記』|本のあらすじ・感想・レビュー・試し読み - 読書メーター (bookmeter.com)

苦学力行

 読み進めていく中で、初めて出合った日本語でした。日本語の四字熟語はたった4つの漢字で、伝えたいことの真髄をとらえ相手の想像力を掻き立てる素晴らしい表現方法の1つだと思います。

苦学力行とは
苦労して学問をし、努力すること。

苦学力行(くがくりっこう)とは? 意味や使い方 - コトバンク (kotobank.jp)

私の苦学力行

 私は、自分で奨学金やアルバイトで貯めたお金で大学に行きました。そのうち2年間は、授業料の全額免除、その後の2年間も授業料の半額免除を受けていました。

 『授業を落とさなければいい』という考えには到底なりえませんでした。アルバイトで働いたとしても、免除を受けなければ到底払える額ではなかったからです。

 そして、4年間で200単位以上の授業を取りました。

 大学生というと、4年生になると授業がない日がある人も多くいますが、わたしは4年生の最後の学期まで授業を受けていました。

10年後の自分への応援歌だった

 当時は、そんなことは夢にも思いませんでしたが、大学でのがむしゃらな学びが今の私のベースを築いてくれたといえます。

 身の回りには学問以外にも、楽しいこともありましたが、何より私は、学ぶことが楽しかった。

 自分の知らないことを知ること、自分の力で表現していくことの大切さ、地に足をつけて生きていくことの何ともいえない豊かさ。

自慢や偉そうに聞こえるかもしれませんが、このことが、私の数少ない「誇り」なのです。

『佐久間宣行のずるい仕事術』 佐久間 宜行

 これは、仕事ができる人の本だと直感的に感じて、電子書籍で購入。

身も心もすり減らさずに、働くことは大切だと思う。しかし、時として100メートルダッシュ10本くらいをこなせる気概は持ちたいなとも思った。インプットなくしてアウトプットなしというのは、本当にそうだよなあと頷ける。もうすぐ今の仕事を始めて12年。3年のクールが4回。確実に12年前の自分とは違う。仕事の核に迫る考えもいくばくかもてるようになった。できることも増えた。一朝一夕にはいかなくても、やはり日々の積み重ねの大切さを本書で復習できた。

『佐久間宣行のずるい仕事術』|感想・レビュー・試し読み - 読書メーター (bookmeter.com)

長い道のりに見えようとも

 世の中には、美味く見える話はたくさんあるが、美味い話はないものである。しかし、自分だけの領域(ニッチであればあるほど、いいかもしれない)探しは、やめずに続けるべきだと思う。

 特に年齢が若ければ、若いほど。

 特に今年になって、私は今の現場で「私にしか」できないことをさせてもらっている。

 しかし、私にとっては神経をすり減らしたり、身体的に無理がかかるほどの過重労働とはなっていない。

 それがミソであると思う。


日々の積み重ねはあなどれない

 来る日も来る日も、練習した日々を覚えていますか。

 来る日も来る日も、テスト勉強のように積み重ねた学びがありますか。

 日々の積み重ねは、楽でも簡単でもありません。

 しかし、ゴールに向かうためには最初の一歩を、繰り返し繰り返し踏み出していくほかならないと思うのです。

 マラソンも人生も、学問もどれも似ています。

 自分の決めたゴールに向かうことは、一番自分らしさを表現する方法の一つであると思います。

『フェミニストってわけじゃないけど、どこか感じる違和感について──言葉にならないモヤモヤを1つ1つ「全部」整理してみた』 パク・ウンジ


 日本語で言うところの「フェミニスト」ってなんだ?っていう単純な疑問から読み進めた1冊。


ちょっとした違和感。それは、父から子どもの時に言われた一言が、発端だった。「なぜ洗い物の手伝いをしないのか。」他の兄弟は言われないこの一言は、私の無意識下で長い間、沈殿し今もたまに吹き出してくる。女だから、男だからそういう染み付いたものが、自分を蝕んでいったように思う。家族で唯一大学まで行った私だが、女であるから勉強はいらないという考えから、金銭的支援はなし。進学を実行に移すことで、父の家父長制的かつ男尊女卑的な考えが、和らいだように思う。フェミニストってわけじゃないけど、これは、私自身にも言える言葉だ。

『フェミニストってわけじゃないけど、どこか感じる違和感について──言葉にならないモヤモヤを1つ1つ「全部」整理してみた』| - 読書メーター (bookmeter.com)

そんな父に贈った1冊は

 本を読まない父ですが、この本だけは何度も繰り返して読んでいたようです。

家のことをするためだけに生まれたのか

 コンサバティブな考えの父との衝突は、前述したように今に始まったことではありません。

 そこまでアバンギャルドなつもりではありませんが、家庭内戦争は、冷戦へと持ち込まれたこともしばしば。

 家のことをするためだけに、生まれたわけではない。

 私には私の人生がある。

 30歳を越えて、父も年を取って丸くなったのか

 学んできた過程を否定されることはなくなったように思う。


フェミニストってわけじゃないけど

自分の人生は、自分で切り開いていきたいし、性別や国籍、また信条に関係なく、誰とも対等な関係でいたいと思う。

 先日、自分の職場で、「????」なことがあったのも、この本を読んだ一つのきっかけかもしれません。

 ある仕事をしていた最中に、突如割り込んできた方がいました。(自分よりかなりの大先輩。前職が、大手の多国籍企業、研究機関としても有名、ここまで言ったらどの企業かわかりそうな気がしないでもないですが。)

「その仕事がしたい。」

「え・・・。」

とつぶやくのと同時とも思えるくらいのスピードで

半ば、物理的に強引に横取りされそうになりました。

すべて持っていこうとするってどういうこと??と

こちらも、半ばパニックです。

「今、私が着手しているんですけど。私もやりたい仕事なので。」

その場を撮影していたのなら、もはや小説やドラマのような、マンガの世界のような状態だったと思います。

とりあえず、その場で、しつこくあまりにもひどいようであれば、上司に相談しようと一瞬思いましたが

こちらも物理的に応戦(本当に引っ張り合い・・・。)したので、手を緩めてあきらめたのか、戻っていきました。

お互いに国籍も性別も違うので、わかりあえないことも多いかと思いますけれど・・・・

他の男性社員にはしないことを、私にだけするってどういうこと・・・。

なんか、もやもやする。これって「ジェンダー的な差別?」

力任せに奪えば、自分の仕事にできると思ったのだろうか・・・

などなど思うことはたくさんありました。

私は彼の直接の上司ではないですが、私は、同じ部署の同じセクションのリーダーなので、何か不満があるのかもしれません。

自分の子どもに近い年齢の、しかも女性が仕切っていることに・・・。

でも、今は「令和」なのです。
多くの外資系企業は実力主義です。

外資出身の割に、なんか腑に落ちない珍事件でした。

後日談

その後、作ったシステム等を見て、一言

「すごいですねえ。」
(Well done.)

3分くらいでできるシステムを褒められるのも、甘く見られている気がしてなりませんが・・・ひねくれているのは私なのだろうか。

彼は、年功序列の会社が合っているかもしれません。

読書の秋に向けて

 積読リストを紹介します。
『地面師たち』 新庄 耕
『地面師たち ファイナル・ベッツ』 新庄 耕
『百年の孤独』 ガブリエル・ガルシア
『私の死体を探してください』 星月 渉
『猫を処方いたします 3』 石田 祥


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