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『シン・イノベーション思考 イノベーターを生み組織を変革するヒント68』第1章・無料全文公開

7月26日発売の書籍『シン・イノベーション思考 イノベーターを生み組織を変革するヒント68』から、第1章「イノベーションを起こせない大国・日本の真実」を全文公開!

世界から見た日本の本当の姿

グローバル・イノベーション・ランキングで目指せ上位

いまからお伝えする日本の真実はかなり想像を絶しますが……知りたいですか?

知りたいと思ってくれた方、興味を示してくれた方もありがとうございます。

世界的な視点で見た日本の姿は私たちの想像と異なっていて、日本がイノベーションを起こすのに危険水域にあることを認識させてくれ、どのようにするべきか手がかりをくれることでしょう。

まずは、グローバル・イノベーション・ランキングを見ていきます。

国連の専門機関である世界知的所有権機関(WIPO)では、80の指標を用いて130超の経済圏を対象にイノベーションの動向を調査しました。

つまり、日本のイノベーションに関する総合的な世界ランキングが毎年確定し、明らかになっているのです。具体的な調査項目には、制度、人的資本、研究、インフラ、市場、洗練度、知識・技術、創造的なアウトプットなどがあります。

2023年の調査結果では、1位:スイス、2位:スウェーデン、3位:アメリカ。

さて、日本の順位はというと……13位でした。調査がはじまった2007年当初の4位から25位まで転落して、徐々に回復している状況にあります。

過去の4位から見たら、転落している状況に変わりはなさそうです。かつて4位だった実力を考えると、日本がイノベーションを起こせるようになれば再び上位に返り咲くことも夢ではありません。

経済コメンテーターのヘイミシュ・マクレイ氏は、著書『2050年の世界 見えない未来の考え方』(日本経済新聞出版)のなかで、2050年の経済規模を予測しています。

1位:中国、2位:アメリカ、3位:インド、4位:日本、5位:ドイツ。

日本は2030年代に世界人口1位のインドに抜かれる見通しとなっています(インドの伸びを考慮すると、さらに早い可能性もありそうですが)。しかしながら、引き続き世界有数の経済大国であることには間違いありませんから、イノベーションを起こして世界ランキング上位に入れるようにしたいものです。

起業家マインドの向上に向けて

イノベーションの先導役として期待される日本人の起業家マインドは、どのようになっているのでしょうか。

起業に関する意識調査GEMの2022/2023グローバルレポートでは、日本の起業家マインドのランキングを国際比較により明らかにしています。設問とランキングを見ていきましょう。

設問1「2年以内にビジネスをはじめた人を知っている」
「知っている」と回答した日本人の割合が20.4%であり、調査対象国のなかで49位(最下位)でした。
この結果から、日本では身のまわりに近年創業した起業家が少ないことを示しているといえるでしょう。あなたのまわりではどうでしょうか?

設問2「地元で起業するためのよいチャンスがある」
「チャンスがある」と回答した日本人の割合が12.7%となり、49位(最下位)でした。
世界と比較して最下位とは、起業するチャンスがないと思っている日本人が相当多いことを示しています。

設問3「自分にはビジネスをはじめるための知識とスキルがある」
「知識とスキルがある」と回答した日本人の割合が14.9%で、「二度あることは三度ある」の言葉のとおり49位(最下位)でした。
日本人は起業に関する知識とスキルをほとんど身につけていないことが明らかになっています。

グローバルな視点から見たら、起業家が少なく、起業のチャンスも極端に少ない、ビジネスを起こすための準備すらしていない国、それが日本なのです。このような状況では、イノベーティブなアイデアが起業により事業化して広がりにくい、といえるでしょう。

しかし、日本で起業による成功者が身のまわりに増えてくると、「あの人ができたなら自分にもできそう」と起業への関心が高まり、起業を目指す人が増えることから、起業家マインドを示す意識調査結果も上昇することが予測されます。

小学生を対象とした、なりたい職業ランキング(ベネッセコーポレーション2023)によると、1位:ユーチューバー、2位:芸能人、3位:漫画家・イラストレーター・アニメーター、という結果でした。

これらをおさえて起業家が上位にランクインすることも、起業家の育成次第では夢物語ではありません(イノベーションを起こす起業家を増やすためには、相当努力する必要がありそうですが……)。

ユニコーン企業と投資額の増加を目指して

それでは質問です。日本のユニコーン企業(創業10年以内の時価総額10億ドル以上で非上場のベンチャー企業)は、いくつあるでしょうか?

正解は7社です(2024年3月時点)。

日本の起業家マインドが低いことを、まさに反映した結果といえるでしょう。

世界にはユニコーン企業が1,229社あります。内訳は、アメリカ:656社(1位)、中国:168社(2位)、インド:71社(3位)、韓国:14社(11位)、日本:7社(15位)です。

1位のアメリカと日本では、実に93倍もの差がついています。93倍とはどういうことかというと、人間の背丈と天高くそびえ立つ超高層ビルの高さくらい差がある、といえばわかりやすいかもしれません。

ベンチャー企業の資金調達の状況は、どのようになっているのでしょうか。ベンチャー白書(2022)によると、スタートアップの投資額は日本が3,418億円に対して、アメリカが36兆5,273億円となり、その差が106倍にも及びます(やはり人と超高層ビルほどの差が……)。

もちろん、日本では起業家や投資家の不足、スタートアップエコシステムの循環がまだうまく機能していないなどの課題もあることでしょう。それにしても2~3倍ならまだ理解できますが、100倍超の差は圧倒的ともいえます。

このようにユニコーン企業数が少なく、スタートアップ投資が低い現状を見ると、日本がイノベーションを起こす力が弱いのも納得です。

日本がイノベーションをさらに起こせるようになると、起業家の数が増え、ユニコーン企業数も爆発的に伸びるでしょう。

国連人口基金(UNFPA)による「世界人口白書2024」のアメリカの人口とユニコーン企業数をもとに推計すると日本は235社となり、アメリカの656社(2024年3月時点)には及ばないとしても、取り組み次第では7社から大幅に伸ばせるのです。

政府は2027年までにスタートアップへの投資額を10兆円規模にし、ユニコーン企業100社を想定していますが、上方修正すべきではないでしょうか。

国を挙げてイノベーションを牽引するユニコーン企業を増やしていく必要があるのです。ユニコーン企業が増えれば事業の拡大に伴う経済効果が期待できるとともに、若者を中心とした雇用創出が広がっていくでしょう。

年表で見るイノベーションの変化

「戦後日本のイノベーション100選」を公益社団法人発明協会が創立110年を記念して選定しました。

戦後から現在までの経済や技術の発展の振り返りと、将来のイノベーションの検証に向けた基礎的な知見の蓄積を目的に実施されたものです。

選定では有識者へのアンケートが行われ、得票数の多いトップ10(表1参照)を年代順に公表。日本で発明され、世界市場で使われているものが多数含まれています。

このように発明協会でイノベーション100選をまとめたことは、日本にとって大変意義のあることでしょう。
選ばれているものを見てみると、既存の製品や仕組みから、これまでの常識を覆し段違いで進化したものばかりです。分野でいうと医療・食品・娯楽・工業など、さまざまなものが見られますよね。

100選では「戦後復興期」「高度経済成長期」「安定成長期」「現代」の区分に分けられ、モノやサービスに留まることなく、野菜の接ぎ木、リサイクル・リユースなどの方式や仕組みも含まれています。

残念ながらその多くは、昭和時代からあるものが選ばれていることに気づくことでしょう。普及するまでに年月を要することも理解できる一方、近年では日本がGAFAのような世界を驚かすようなイノベーションを起こせなくなっているともいえるのです。

私も多くのイノベーションが生まれる国にしたいと思っていますが、日本がイノベーションを起こせず世界から取り残されてしまうことを心配しています。

日本ではイノベーションに関して、産業分野に特化したイメージをもたれる人もいることでしょう。
イノベーションはモノづくりやサービス以外にも、人事、総務、財務、文化、防災などにも適応可能で、先に触れてきたとおり、幅広い分野で起こせる特長をもっているのです。

日本がイノベーションをさらに起こせるようになれば、近年に生まれたものがトップ10へ数多くランクインすることでしょう(発明協会にはあらためて選定してもらう必要がありますが)。
いままで想像もつかなかった日本発のイノベーションを見たくはありませんか?

シン・イノベーション思考で何が変わるのか

個人編はイノベーションを起こす視点、組織編は組織改革の視点

前節ではイノベーションについて、世界から見た日本の状況や、牽引役となる起業家の動向を解説し、起こせるようになるとどのようになるのかを取り上げてきました。
企業や行政などがイノベーションを起こせるようになれば、日本は世界有数の創造力にあふれた国として、国際的な調査で惨めな思いをしなくなり、世界をリードする国に再びなれるのです。

企業の研究開発部門のみがイノベーションに取り組むだけでは足りません。一部の人だけではなく、企業や行政などすべての国民が取り組む必要性があるのです。そう、従来の常識を超えて、新しい価値を国民全体でつくり出していかなくては……。

「イノベーションをすべての国民のスキルとして、特別ではなく標準に」

このように変わっていかなければなりません。
次章から、なぜイノベーションを起こせないのか、その理由を「個人編」「組織編」に分けて順番に解説し、解決のためのヒントもあわせてお伝えしていきます。

個人と組織を分けているのは、それぞれの立場によって視点の違いが存在しているからです。役職や役割によってイノベーションとの向き合い方が異なってきます。

「個人編」では、シン・イノベーション思考を活用して、個人で行動を起こせるように行動変容を促進します。

「組織編」では、個人・チームを生かすために、企業や行政などの組織としてどのような環境整備が必要なのかを示し、組織が変わる方法を解説。これから起業を検討している人にも、イノベーションを起こす組織づくりは手がかりとなるでしょう。

ここで断言させてください。
世界にある素晴らしくイノベーティブなモノやサービスは、ほぼ例外なくチームでつくられています。個人のアイデア・才能・能力・情熱をもち寄り、チームの力が結集したとき、個人では成し得ることができないことも達成が可能となるのです。

ただし、個人・チームがいくら素晴らしいイノベーションを起こせる才能やチーム力を身につけたとしても、組織がそのアイデアを生かせずに潰してしまえば世に出ることはありません。組織のなかで個人やチームのアイデアを生かして世の中へ生み出す仕組み、制度、体制、組織風土・文化などが整っていなければ、ほぼ失敗するでしょう。

イノベーションを起こすためには個人の努力だけではダメであり、組織改革の視点をあわせてもつことが非常に重要になってくるのです。

シン・イノベーション思考でビジネスライフに革新を!

優秀な個人やチームを生かせない組織と生かせる組織では、あなたならどちらで働きたいでしょうか?

断然、後者だと思います。生かせない組織のなかにいる優れた人材は組織内の不合理に敏感ですから、転職する人も出てくるでしょう。
有能な人材を流出させないためにも、個人とチームの能力、組織の力を最大限に引き出し、イノベーションを起こしていく必要があります。

「シン・イノベーション思考」を学ぶことで、個人・チームの才能を引き出し、組織変革にも効果的に活用してもらえると自負しています。
なぜなら、私が大学時代にイノベーションと出合い、興味をもってから研究者として30年間で得た知識や知見のすべてを、この本に盛り込んでいるからです。

多くの人や組織は、なぜイノベーションが起こせないのか。
第2章からその理由の確信に迫り、解決のためのヒントをお伝えできることにワクワクしてきました。

さあ、ビジネスライフに革新を起こしましょう。
そう、「シン・イノベーション思考」を活用して!

*   *   *

第1章はここまで!
続きを読みたい方は、各電子ストアにて7月25日より随時発売になります。ぜひお買い求めください。
下記リンクはAmazonストアでの商品ページになります。書籍の詳細と目次もこちらからご覧になれます。
書籍『シン・イノベーション思考 イノベーターを生み組織を変革するヒント68』

■ペーパーバック版(紙)

■Kindle版(電子書籍)

■書籍情報

仕事の成果はシン・イノベーション思考で激変する!
持続的に個人・組織に変革を起こせる1冊。

「イノベーションって、簡単に起こせるものなの?」
あなたもそう思ったことがあるのではないでしょうか。
実際、私たちはイノベーションを起こすための訓練を受けたことがなく、その方法も知らないまま日々の業務に追われています。しかも現場では次のような弊害も生じています。

上司からの無理難題:「イノベーションを起こしてほしい」といわれたが、やり方がわからない。
組織の妨害:縦割り、セクショナリズム、権威主義などがイノベーションを阻む。
リスクへの不安:「前例がない」「リスクが大きい」と新しいアイデアが実現しない。

そこで本書では、イノベーションを起こせない理由とその解決策68個を個人編と組織編に分け、誰でも実践しやすくわかりやすく解説しました。
著者は30年以上の組織イノベーションの研究者であり、経営コンサルタントとして組織改革にも従事。その知見をもとに、多様な学問分野の知見を取り入れた「シン・イノベーション思考」を提唱し、具体的な解決策を提供します。
イノベーションに苦手意識がある人、イノベーティブな新規事業を考えて提案してほしいと頼まれて困っている人、職場環境に課題を感じている人、縦割り組織や権威主義が原因でイノベーションを起こしにくいと感じている人などに特にオススメです。

「シン・イノベーション思考」を活用し、イノベーションを特別から標準にするための第一歩を踏み出しましょう!

【書籍初公開】
イノベーションを学ぶ「イノベーション・トリプルループ学習」、分解する「イノベーション・リバース・エンジニアリング」、量産する「イノベーション・リングス」搭載!

【目次】

第1章 イノベーションを起こせない大国・日本の真実
第2章 なぜ、日本はイノベーションが起こせないのか【個人編】
第3章 なぜ、日本はイノベーションが起こせないのか【組織編】
第4章 シン・イノベーション思考の実践のためのポイント

【購入特典】

シン・イノベーション思考をより強化する6つのヒント

■著者プロフィール

坪井秀次

浜松学院大学 現代コミュニケーション学部 地域共創学科 准教授
「タイムスリップマネジメントワークショップ」を展開し大きな反響を呼ぶ。元公務員の経営学者・行政学者として、組織イノベーション、マネジメントサイクル、地方自治制度を主に研究。大分県国東市の組織づくりアドバイザー。静岡県立大学大学院 博士(学術)、政策研究大学院大学 修士(政策研究)。

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