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蕎麦の実と米の花〜菌がつなぐ食文化
糀菌は日本の国菌です。
日本にだけ与えられた
日本が誇る菌なのです。
米の花と書いて「糀」。
私は愛を込めてそう呼びます。
糀菌、エストニアへ
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味噌に醤油、味醂に酒。
日本には、当たり前のように存在する
糀を使った発酵食品。
エストニアでは
輸入食材として高価でありますし
簡単には手が出せません。
それでも毎日食べたいんだと
日本の国菌を持ち出したのです。
米に咲く花
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糀菌は
30℃から35℃の環境下で
蒸した米に菌糸を伸ばして増殖します。
糀菌はカビの仲間です。
米を覆う白いモコモコしたものが
増えた糀菌です。
エストニアでも、
米に花が咲きました。
アスペルギルス・オリゼー
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糀菌の学名は
アスペルギルス・オリゼーです。
彼らは、米だけでなく
他の穀物も大好きです。
彼らが育ちやすい環境下におけば
たちまち穀物に根を生やしコロニーを作ります。
日本は温暖で湿度が高く
米が大好きです。
彼らにとっては
最高の住処だったのです。
エストニアの穀物
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日本ではお蕎麦でお馴染み、蕎麦の実。
エストニアでは
米の代わりの主食のように
蕎麦の実を塩と茹でたものを
煮物やオーブン料理に添えられます。
蕎麦の実を食べる文化は
ヨーロッパの食文化ではなく
ロシアや北欧から来たものだと考えられます。
米も食べられますが
バスマティライスやジャスミンライスのような
細長いものが主流です。
食堂へ行けば
パンにしますか?
ライスにしますか?
蕎麦の実にしますか?
ジャガイモにしますか?
というような選択肢がエストニアです。
蕎麦の実に咲く花
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ここはエストニアなんだから
蕎麦の実に糀の花を咲かせてみよう。
日本の国菌とエストニアの国民食の融合です。
お米のときのように
白いモコモコとまではいきませんでしたが
蕎麦の実にも咲きました。
醤油蕎麦の実糀
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日本には糀から作られた
美味しい醤油がたくさんあります。
残念ながら
エストニアには日本産の醤油は高価で
中国産のものが一般的です。
私は日本で生まれ育ったので
日本の糀菌を使った醤油の方が
身体に合うようで。
中国産の醤油に
日本の糀菌とエストニアの蕎麦の実を
混ぜてみました。
蕎麦の実の香ばしさと
糀菌が生み出すうま味により
おいしさUPです。
奥行きある味わい
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しょっぱい、甘い、旨い、香ばしい。
プチプチとした食感。
うん、おいしい。
複雑に混じり合う味わい。
うん、これこれ。
やっぱり糀やわ。
菌がつなぐ、食文化。
菌が醸す、豊かな食卓。