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Poetry night

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詩と朗読と映像と。
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#詩の朗読

i-nori/詩と朗読 poetry night 第105夜

i-nori/詩と朗読 poetry night 第105夜

比売(ヒメ)たちよ
比古(ヒコ)たちよ
耳を澄ませ 見通せ
闇の向こうを

🌿詩と言葉の美しさをお届けするラジオ番組「詩と朗読 poetry night」 
第105夜はコロナ禍の真っ只中に書いた詩「i-nori」。スキマ時間に聴いていただければ幸いです。

「i-nori」

新聞を開く
テレビをつける
毎日マイニチ同じ話題だ
ディープな未知の生命体が
世界を席巻し
各国政府は
緊急事態宣言を

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一言主(ひとことぬし)/詩と朗読 poetry night 第104夜

一言主(ひとことぬし)/詩と朗読 poetry night 第104夜

森羅万象のエネルギーが
私を通り抜け
言の葉として
この世に生まれ出でる

🌿詩と言葉の美しさをお届けするラジオ番組「詩と朗読 poetry night」 、
第104夜は「一言主(ひとことぬし)」。 スキマ時間に聴いていただければ幸いです。

「一言主 」

ことばの意志には逆らえない
このように書かれたがっている
こんな声で読まれたがっている
配置も
イントネーションも
あなたの言いなり

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呪いを解く魔法/詩と朗読 poetry night 第103夜

呪いを解く魔法/詩と朗読 poetry night 第103夜

🌿詩と言葉の美しさをお届けするラジオ番組「詩と朗読 poetry night」。
第103夜は「呪いを解く魔法」。スキマ時間に聴いていただければ幸いです。↓

*****
「私なんか、美しかったことなんか一度もないわ!」
雨でビショビショになりながら、大声で泣くソフィー。そっと傘を差しかけるカブ。

人なんかどうでもいい。
濡れそぼってあられもなく泣きわめきたい。
人は誰しもそんなつらい想いを

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誰そ彼色/詩と朗読 poetry night 第103夜

誰そ彼色/詩と朗読 poetry night 第103夜

「誰そ彼色」

夕焼けに伸びた長い影の中で
猫が言った
きこえなかったけどわかる
「それ いいね」
ふり向いたら金色の瞳を閉じた

ねえ明日は
逢いたいひとに逢えるかな
群青色に暮れていく
今日の日
サヨナラ

誰そ彼 たそがれ 君は誰

🌿詩と朗読 poetry night 第103夜は「誰そ彼色」。スキマ時間に聴いていただければ幸いです。
今年もどうぞよろしくおつきあいください。

詩と朗読 poetry night 第99夜/配信100回記念〜立原道造スペシャル〜

詩と朗読 poetry night 第99夜/配信100回記念〜立原道造スペシャル〜

僕は室内にゐて、栗の木でつくつた凭れ(もたれ)の高い椅子に座つて
うつらうつらと睡つてゐる。
夕ぐれが来るまで、夜が来るまで、
一日、なにもしないで。
僕は、窓が欲しい。たつたひとつ。……
(草稿「鉛筆・ネクタイ・窓」から)

詩と朗読 poetry night 第99夜は、「配信100回記念〜立原道造スペシャル〜」です。立原道造とヒアシンスハウスについて、アツく語っています。スキマ時間に聴いてい

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「詩と朗読 poetry night」第96夜/林芙美子「秋のこゝろ」と秋の朗読イベント報告!

「詩と朗読 poetry night」第96夜/林芙美子「秋のこゝろ」と秋の朗読イベント報告!

女のやうにうるんだ夜空は
たまらなくいゝな
朝の空も
夜の空も
秋はいゝな。
(林芙美子「秋のこゝろ」より)

🌿「詩と朗読 poetry night」 第96夜は
林芙美子の詩「秋のこゝろ」と秋の朗読イベント報告!
スキマ時間に聴いていただければ幸いです。↓

*****
「秋のこゝろ」林芙美子

秋の空や
樹や空気や水は
山の肌のやうに冷く清らかだ。

女のやうにうるんだ夜空は
たまらなくい

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なまえのないあさ/詩と朗読 poetry night/第94夜

なまえのないあさ/詩と朗読 poetry night/第94夜

さあ陽の出る方へ
これから
どんな美しい一日が始まるのだろう
天と地の間には
何者でもないわたしが ひとり
歩いているだけだ
(「なまえのないあさ」より)
*****
🌿音声配信「詩と朗読 poetry night」 第94夜は、「なまえのないあさ」。
スキマ時間に聴いていただければ幸いです。

「なまえのないあさ」

山の端が少し明るくなった
もうすぐ夜が明ける
野菜ジュースを飲んで
バナナを

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「火水(かみ)へⅡ」須藤三智穂 作/詩と朗読 poetry night 第91夜

「火水(かみ)へⅡ」須藤三智穂 作/詩と朗読 poetry night 第91夜

ひとは
十一(ひと)
踏みしめた土の底から
石を祀り
山を呼び
青人草の憂いを奏でる
(須藤三智穂「火水(かみ)へⅡ」より)

🌿「詩と朗読 poetry night 」第91夜は須藤三智穂 作「火水へⅡ」です。スキマ時間に聴いていただければ幸いです。

Lotus spirit/詩と朗読 poetry night 第87夜

Lotus spirit/詩と朗読 poetry night 第87夜

合わせた手と手を開くように
うっすらとピンクがかった
白く柔らかな花弁が
空に向かって少し揺れた  

💎詩と朗読 poetry night 第87夜は「Lotus spirit」。スキマ時間に聴いていただければ幸いです。↓

「Lotus spirit」

合わせた手と手を開くように
うっすらとピンクがかった
白く柔らかな花弁が
空に向かって少し揺れた  

蓮池に渡された桟橋を歩いていくと

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朝の音/詩と朗読 poetry night 第81夜

朝の音/詩と朗読 poetry night 第81夜

夢の中で私はいつも小学生だ 
天気は晴れ 
父は銀行員 
庭の花がうららかな風に揺れていて
(「朝の音」より)

🌿「詩と朗読 poetry night」 第81夜は「朝の音」。スキマ時間に聴いていただければ幸いです。↓

*****
「朝の音」

階下で動き回る気配に
目を開けた
洗濯機を回す音
味噌汁の匂い
母が昨夜の残りを温め直している

タンスの扉を
父が開け閉めする
掛けてあるベルトが

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詩とカウンセリングの共通点とコラボ朗読

GW帰省の二日目は、詩人の先輩である須藤三智穂さんとデート。
ランチをご一緒してから須藤さんのお宅にお邪魔し、コラボ朗読を収録した。
初めてお逢いしたのは四半世紀ほど前だ。名古屋と岡山で離れてからも、詩を通したお付き合いをずっと続けていた。
2年前、須藤さんから音声配信のツールを教えていただきstand.fmを始めて音声配信仲間にもなり、今日という日を迎えた。不思議で素敵な御縁に感謝。
また、お話

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れんげ摘み/詩と朗読 poetry night 第80夜

れんげ摘み/詩と朗読 poetry night 第80夜

厳しかった季節はもう終わり
さわさわ揺れる緑葉を踏みながら
わたしのほうへ
歩いてくるひとがいる

💎「詩と朗読 poetry night」 第80夜は「れんげ摘み」。
スキマ時間に聴いていただければ幸いです。↓

「れんげ摘み」

昨夜あんなに降った雨のあと
たくさんの蝶がとまっているような
小さな花が
春田(はるた)で次々と開いた

厳しかった季節はもう終わり
さわさわ揺れる緑葉を踏みながら

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calling〜薇(ぜんまい)/詩と朗読 poetry night 第79夜

calling〜薇(ぜんまい)/詩と朗読 poetry night 第79夜

💎詩と朗読 poetry night 第79夜は
「calling〜薇(ぜんまい)」。
スキマ時間に聴いていただければ幸いです。↓

「calling 〜薇(ぜんまい)」

 ひらいてごらん

微か(かすか)に湿りを帯びた
温かな声に
そろそろと眼をあけた

 あなたの祈りが届きました
 わたくしはあなたのしもべであり
 共に歩む者
 心を安んじて
 生まれなさい

首をもたげ
祈りのカタチをほ

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九份の猫と「春暁」/詩と朗読 poetry night 第78夜

九份の猫と「春暁」/詩と朗読 poetry night 第78夜

人もまばらな裏通りも歩きました。
あちこちに猫がいて観光客に撫でられたりしていましたが、見上げる観光客(=私)を一顧だにしない猫もいました。
*****
💎詩と朗読 poetry night 第78夜は、
台湾旅行の話「九份の猫」と漢詩「春暁」。スキマ時間に聴いていただければ幸いです。


「春暁」/孟浩然
春眠不覚暁
処処聞啼鳥
夜来風雨声
花落知多少