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青春小説の真骨頂!【晴れ時々くらげを呼ぶ】世界で最も優しい小説をご紹介します
またまた、本屋大賞候補のすばらしい小説と出逢えました!
「晴れ、時々くらげを呼ぶ」鯨井あめさん、著。講談社。
第14回小説現代長編新人賞受賞作品。
☆あらすじ
高校2年生の越前亨(えちぜんとおる)は、感情の起伏が少なく、何に対しても誰に対しても思い入れを持つことがあまりありません。売れない作家であった父親を病気で亡くしてからはワーカホリックな母と二人で暮らしており、父親が残した本を1冊ずつ読み進めています。亨は、最後まで家族に迷惑をかけながら死んだ父親の「ある言葉」に、ずっと囚われています。
図書委員になった彼は、後輩の小崎優子(こさきゆこ)と出会います。彼女は毎日、屋上で雨乞いならぬ「くらげ乞い」をしています。雨乞いのように両手を広げて空を仰いで、「くらげよ、降ってこい!」と叫んでいるのです。不思議ちゃんなのでしょうか。
くらげを呼ぶために奮闘する彼女を冷めた目で見て距離を取りながら、何事にも夢中になれない日常を適当にこなす日々。
そんな8月のある日、亨は小崎が泣いているところを見かけます。そしてその日の真夜中、なんとついに…
はたして、小崎優子はなんのためにくらげを呼んでいたのでしょうか。
自分の過去と向き合い行動し成長する。
そんな姿に大感動の青春小説です!🧡
…以下、何を言ってもネタバレになってしまいそうなので、ここから先は私が感銘を受けた名セリフを5つご紹介することで、皆さんに本作の魅力が伝わるよう試みます!
☆本はとても近いところにある
本作の登場人物は、みんな本が大好き。
具体名を挙げて好きな作家や小説を語り合うシーンなどの「ブックトーク」がふんだんに出てきます。読書好きならたまらないでしょう。本作全体に、本や読書に対する愛が溢れています。
図書委員の矢延恋先輩とのやり取りで、「どうして私たちは本を読むのか」という話になるのですが、ここで先輩はこう言います。
「それはきっと、本がとても近いところにあるからだよ。どんな芸術作品よりそばにあるから。たとえば眠るとき、枕元に置いておきたくなる芸術作品。」
卓見ですね。これほど本の意義を深く、でもわかりやすく表現した言葉を私は知りません。
また、矢延恋先輩は別の場面でこうも言っています。
「小説は現実に影響を及ぼすよ。人の考え方を変える力がある。」
これも深いです。
ノンフィクションを読んでダイレクトに社会問題を考察することも大事ですけれども、それだけだと脳が偏ってしまう気がします。やはり小説をたくさん読んで楽しめば、自ずと物事をいろいろに発想する力が養われますから、結果として世の中をより良くすることにつながる気がします。文学の意義の一つですね。
☆優しさの本質は他者への興味だ
矢延恋先輩が、好きな作家の言葉として紹介してくれるものです。
「無関心であることは、人に優しくできないということだ。自分勝手であることは、感情の矛先を間違えるということだ。優しさの本質は他者への興味だ。」
これも深いですね。
「興味」という言葉を辞書でひいてみると、
「ある対象に対する特別の関心」とあります(デジタル大辞泉、小学館)。
ですから、興味と関心はほぼ同じ意味です。
関心とは、文字とおり「(他者やある対象に)関わろうとする気持ち」です。
つまり、誰かと関わりたいと想う気持ちこそが優しさなのです。
別の場面で矢延恋先輩は、ある生徒の「ある非行」を偶然見てしまった亨に対して、やはり好きな作家の言葉を引用する形でこうも言います。
「見た限りは話を聞いてあげるなり、諭してあげるなり、何か手を差し伸べてあげるべきだよ。それが目撃者の義務であり、この世で生きていくために必要なことなんだって。」
「目撃者の義務」
この言葉に、私は「ああ、そうか」という気持ちを強く持ちました。
司法書士時代に私は、先輩から「知ってしまった者の責任」という言葉を教わりました。社会問題に気づいてしまった以上、何とかしようと努力するのが法律家としての務めであると。
否、法律家だけでなく、この理はどんな人にでも当てはまるのではないでしょうか。
☆君さ、何かに反撃したいと思ったことはないの?
…5つとも矢延恋先輩のセリフになってしまいましたね💦
このセリフがどういう文脈で出てくるかは内緒にしておきます。
一つだけヒントを言うと、ここでの「反撃」や、この少し後に出てくる「理不尽」という言葉は、本作の重要なキーワードです。ぜひ覚えておいてくださいね。
☆青春小説の真骨頂!
✅大人が客観的に見たら、「バカじゃない?」と言ってくるであろうことに全力で取り組む情熱、熱さ
✅ルールではダメとされることを敢えてやってしまう自分たちなりの正義感
✅理不尽な大人や社会に対するささやかな抵抗
以上が「青春」の本質であるとするならば、本作で描かれているのはまさに、青春そのものであります。
物語の前半部分はとても穏やかに、しかしいくつかの小さな事件が同時並行的に起こっていきます。
いくつもの伏線が中盤から最後にかけてちゃんと回収される様は、とても見事で興奮します。謎解きものではないですが、ぜひとも、あらゆる描写を見逃さず、注意深く読んでください。そのほうが、最後にきっと感動できますから。泣けます😭
著者の鯨井あめさんは1998年生まれ。若いですね!
でも、若い方だけでなく、コペルくんのような就職氷河期世代、またはもっともっとご高齢の方が読んでも、きっと感動できますよ。青春は若者だけの特権ではないですからね。いくつになっても、ヒトが自分の過去と向き合い行動し成長する姿は、とても美しいものだと私は思います。
間違いなく本屋大賞の有力候補です。全国の書店員の皆さま方、よろしくお願いします!❤️
☆まとめ
私が「日本を男女平等でハートフルでピースフルにしたい」と願うことは、もしかしたら小崎優子がくらげを呼ぶのに似ているのかもしれません。
そんなことしたってくらげなんか降るわけないし、世の中ちっとも良くなんかならないよ、と冷笑系の方は言うかもしれません。
それでも私はその名のとおり優しい子で在りたいと願うから、今日も空に向かって、「くらげよ、降ってこい!」と叫んで生きていくのです。
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