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Farinaが肌に触れる(北イタリアのパスタ)

 今朝は子どもと一緒に屋上へ出て、ヒッチコックの裏窓で覗かれるダンサーみたいな格好でストレッチをしていたら、やっぱりこの気持ちいい陽射しがもったいないなと思いはじめて、かけ布団を洗うことにした。真っ白の羽毛布団を四つ折りにして、浴槽の中で足踏みして洗うのは、うどんの生地が素肌に触れる感覚を思い出すような、そういう心地よさがあった。

 私は粉が大好き。食べ物として好きなのもあるが、やはり自分でこねる時の感触がたまらない。いつもまとめて10kgぐらい様々な種類を買いおきし、和洋中色々なものを作る。

 イタリア語で小麦粉はFarinaという。私の友人にFarinaの女王みたいな人がいるが、イタリアでFarinaの話をし始めると止まらないかんじの人が男女問わず、日本人より多い気がする。いやあれはFarina00で作るんだよ、Farina0の方がいいわよ、みたいに。イタリアの粉の種類の区分は日本と全く異なる。つまり薄力粉と強力粉というような種類は存在しない。

 日本の小麦粉はタンパク質の量の違いで区別されている。薄力粉(8.5%以下)→中力粉(9%)→強力粉(12%以上)の順番にタンパク質量が多くなる。タンパク質量が多いと水の吸収力が高いしグルテンが多くなるので、日本ではパンなどを作っても強力粉が多いと扱いやすく、またもちもちした食感のパンが出来上がる。

 対してイタリアの粉は軟質小麦粉を挽いたその精製度で決まる。Farina00,0,1,2と分かれていて、00→2と荒くなる。これは知ればわかりやすい。先ほど軟質小麦と書いたが、実は日本の強力粉は硬質小麦粉を挽いた物。硬質小麦粉はいわゆるセモリナ粉がそれにあたる。

 しかしだからと言って、見た目からも歴然だがセモリナ粉と強力粉は全く別物。セモリナ粉は日本の強力粉よりももっとタンパク質量が多い物がほとんとだ。Farina0や00も12%以上あるものが多いので、グルテンは多く作られる傾向にある。

 なのでつまり、私はあまり日本の粉でイタリアの粉の代替はできないと考えている。イタリアの物、パンとかパスタを作る時はやっぱり私はイタリアの粉をわざわざ買ってしまうのである。その方が失敗しない。(00を薄力粉で代替する時は多々あるが、やっぱりちょっと違うものになる)

今日はこの粉の話を踏まえて少しパスタの話を。

 日本だとパスタはセモリナ粉で作るものというイメージが強いが、そんなことはない。確かにイタリアにはパスタ法というものがあって、乾燥パスタはセモリナ粉で作ることが明記されているが、自分の家で作る分には、また生パスタであればセモリナ粉で作る必要は全くない。パスタは元々、南イタリアから来たもので、南イタリアのパスタはセモリナ粉で作るが、対して中部、北部あたりは卵とFarina00か0で作る。(基本的に北部の方が南部と比べ、経済的に豊かなので材料は贅沢品になる傾向がある)なのでパスタの種類によって材料を変えれば美味しくできる。私はタリアッテッレやラビオリなどは綺麗な黄色の卵パスタが好きなので、北部流に作る。意外にシンプルなので紹介する。

※レシピ Ricetta

北イタリアのパスタ生地の作り方(La pasta fresca all'uovo)

材料(2人分):

●強力粉 200g(薄力粉の方が生地を伸ばしやすいという人もいます。もしくはこだわるならFarina00か0 以下カプート社のものを私は良く使います。)

●卵 2個+卵黄1個 (つまり100gに対し卵1個+気持ち卵黄)

1.  粉の真ん中に窪みを作ってその中に卵を入れ、フォークでかき混ぜながら少しずつ粉を混ぜていく

2.全部粉が混ざったら生地がまとまるよう捏ねる

3.  これを30分ぐらいラップをして休ませる。

4.  生地に打ち粉をして、めん棒で厚さ2mmになるぐらいにのす

→これで生地を折りたたんで5mm幅に包丁で切れば、タリアッテレ(写真1cm幅で太め。汚いですが、ポルチーニのタリアッテレ)

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→以下写真のようにパスタ生地の上に均等に詰め物をおき、生地を重ねて、好きな形に切り取る。パスタカッターとかで、好きな形に切り取るか、写真のようにラビオリスタンプがあればもっとキレイに仕上がる。詰め物はリコッタチーズとほうれん草和え物です。茹でたらバターとセイジをあえて出来上がり。

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※ラビオリスタンプは、実は色々使って失敗しまくっています。まず製氷皿みたいなタイプは私は全然作れませんでした。(下写真のタイプ)何故か切り取りにくいんです。もしかしてちゃんとしたのなら出来るのかもしれないけど。

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※私が実際に今使っているのは2種類。両方でできますが、やはり断然スプリングタイプの方が楽です。枠だけのタイプだと、結構グググっと押して切り取らなければなりませんが、スプリングタイプだと本当スタンプポンって感じです。

しかしスプリングタイプは小さいサイズのが多いので、やはり大きいラビオリを作りたい時には以下のタイプのを使います。

※私が使っているパスタカッターはこれです。タルトにも使う。上の挟むところでパスタに模様も作れる)


本当はFarinaの話としては最初にパンの話をしたかったのに何故か流れでパスタの話になってしまった、、それはまた後日。


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