【イベントレポ】あなたが採用したあの人はなぜ活躍しないのか?
高まり続ける求人倍率、引き上がっていく給与。現代の企業活動の中で採用の重要性は高まり続けています。
また、経営者の悩みとして採用・組織の問題は絶えません。そして、それを支える人事もまた戦い続けているはず。
「従来通りのやり方を踏襲して」「最近流行っていると聞いた手法を活用して」といったスタンスでは、今の採用環境に立ち向かえません。
そうした課題に対して、「あなたが採用したあの人はなぜ活躍しないのか?」と題し、「スキルマッチ」「カルチャーマッチ」という異なるアプローチの採用サービスを運営しているLAPRAS株式会社と我々グラムが、合同で人事向けイベントを開催しました!
今回は、そちらのイベント当日の模様をお伝えします。
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登壇者のプロフィール
二井雄大 / LAPRAS株式会社 取締役COO
京都大学経済学部卒。楽天に入社し、ECコンサルティング職に従事。IoTベンチャーのQrioにて事業開発部マネージャーを経験後、LAPRAS株式会社を共同創業。 CS業務の一環として、これまでに数十社のエンジニア採用活動や体制作りを支援している。
Twitter : https://twitter.com/futai23
LAPRAS株式会社
LAPRASは、人工知能によりインターネット上のオープンデータから情報を取得して、人々の能力を自動分析し、最適な企業とマッチングする登録不要の新しい転職サービス『LAPRAS SCOUT』を提供しています。経験年数や希望年収などの単純な数値情報だけでなく、自分の書いたコードやブログ投稿のような定性的な情報もふまえた本質的なマッチングが可能です。エンジニアに対して本人も知らないようなより良い環境や職場を提供することを目的としてサービスを展開しています。>> https://scout.lapras.com/
小出悠人 / グラム株式会社 代表取締役
1991年生まれ、上智大学中退。2012年6月、大学在学中に株式会社U-NOTE(現 グラム株式会社)を創業。2015年10月、株式会社イグニスにより連結子会社化。2018年10月、ビジネスマン向けメディア「U-NOTE」を株式会社PR TIMESに事業譲渡し、グラム株式会社に社名変更。現在は、性格傾向を活用した転職サービス「Jobgram」を運営。
Twitter : https://twitter.com/yuto_koide
グラム株式会社
グラム株式会社は、性格診断によって求職者と企業の性格傾向データを取得し、各職種の適性やカルチャーフィットを分析することで、自社で活躍する可能性の高い人を採用することができる『Jobgramスカウト』を提供しています。求職者の思考パターン・行動パターンを分析することで、反応率の高いスカウト作成や効率的な面談を実現しています。また自社のハイパフォーマーの性格傾向を抽出することで、活躍可能性の高い候補者を選定することが可能です。>> https://jobgram.jp/
19時からスタートした本イベントには、お仕事帰りの人事の方々が多く参加されていました。フリードリンクを手に、まずは乾杯🍻
会場の空気があたたまってきたところで、イベントがスタートしました!
あなたが採用したあの人はなぜ活躍しないのか?
まずは、弊社グラムの代表・小出から。今回のイベントタイトルにもなっている「あなたが採用したあの人はなぜ活躍しないのか?」をテーマに、採用した人の入社後の活躍度についてトークしました。
小出
人事は「採用する」というところだけに着目しがちだけど、実際にその会社に入った後、ちゃんと活躍していないと意味がない。そこまでしっかり意識できてるのだろうか? 今回は、そんなお話ができたらと。
まずは、「よくある採用の失敗例」について。
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チームに馴染めない🚶♂️
いわゆるカルチャーフィット・カルチャーマッチ的な課題。何となく居心地が悪く、円滑なコミュニケーションが取れなかったり。
スキルが足りていない🐵
こちらはスキルマッチ的な課題。言うまでもなく「活躍度」に対するインパクトが大きい。
なんかミッションと違うことしてる🙄
手はちゃんと動かしていて忙しそうにはしてるけれど、「本来この人が今やるべきこと」というコアからズレていて、ワークしない。
そもそも活躍してるのかよくわかっていない🤔
これが一番良くない。「何人採用したか」よりも重要なはずが、意外とどの採用担当も意識できていない部分。
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この失敗例のくだりでは、多くの参加者が「うんうん」と頷く様子が見られました。人事の方にとってあるあるのようです。
そこから話題は、「採用における成功とは何なのか?」へ。
小出
採用における成功とは一体何なのか? それはズバリ「入社後の活躍」と「ロイヤリティの醸成」です。
入社後の活躍については、入社時のオンボーディングや、その人が会社で何をすべきかというしっかりとした要件定義が重要。そうして活躍したメンバーはやがて会社にとっての「ロイヤルカスタマー」になります。
※ ロイヤルカスタマーとは、企業やサービスに対する愛着が強い、文字通り「ロイヤルティ」の高い顧客を指す。ファンのような存在のため、他社サービスに乗り換えることはなく周囲に紹介などもしてくれる場合も。
小出
これはマーケティングのファネルですが、実は採用も同じ。
まずは自社を知ってもらって、事業内容やサービスなどに興味を持ってもらうところから始まる。
そして入社後活躍して、一メンバーとして会社に愛着を持ってくれる。そこからリファラル採用が生まれたりする。
だからこそ目指べきは、「入社」ではなく「入社後の活躍」なのです。
▼マーケティングと採用には、共通点が多い
小出
つまり、入社後の活躍を一切計測していないのは、ユーザー獲得数とCPA(獲得単価)しか見ていないマーケターと同じということ。
本質的な採用を目指すのであれば、入社後の活躍を定量化することが大切です。
「採用の成功とは何か」をまずきちんと定義してそれに沿って動く、獲得した後のオンボーディングを最適化する、人事にはそうした動きが求められているかなと。
では、ロイヤルカスタマー(=ハイパフォーマー)を獲得するためにはどうしたらいいのか?と議題へ。まずよくある失敗ケース。
小出
こうやって文字にすると、「とりあえず有名な会社の人を入れるなんて、そんなダサいことしない(笑)」って思うかもしれないけど、実際に採用のポジションにいるとよくあるはず。
ハイパフォーマーの採用方法を、再びマーケティングに置き換えて解説。
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小出
プレイヤーなのかマネジメント側なのか、職種は何か、チームメンバーとの相性、そして個人の性格タイプ。だいたいこれくらいの変数からハイパフォーマーの傾向分析が可能です。
Jobgramを使うと、ハイパフォーマーである社員の方たちに診断を受けてもらうだけで採用の方向性がわかるんですけど、普通はなかなか難しいですよね。明確な指標がないままに、なんとなくで採用しているとこんなことが起きがちです。
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- マネージャー適性がないのにマネージャーをやってる👨💻
- 職種適性がないのに経験ありという理由だけでその職種をやっている👨🍳
- 会社のカルチャーと合わない🐱
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小出
「新卒で営業やってたから!」という理由でそのまま営業に配置されるといったケースはよくあると思うのですが、経験があるからといって適性があるとは限りません。職種だけでなくマネージャーなども同様です。
こうしたミスマッチが起こらないためにも、その人の適性を理解することと採用の方向性をしっかりと決めておくことが大切かなと。
このお話のまとめ:採用の成功は、入社後活躍である
小出
まず大事なのは、活躍したかを測れるように採用人事がきちんと定義し、振り返りをすること。採用したら終わり! というのは採用において本質的じゃないはずです。
そうして入社後活躍をゴールに採用を行っていくと、上手くいったパターンの分析をする必要が出てきます。既存メンバーとの相性や、性格傾向のマッチという視点でどんな人を採用するべきかということを考えないといけないので、Jobgramのようなサービスを活用しながら、入社後活躍を意識した採用をしていけるといいかなと。
小出
もちろん本人の頑張りなどにも左右されるので、100%活躍するとは言い切れないのですが、求職者の性格傾向がわかった状態でアプローチができたり、選考に進んでもらえるので、大きなミスマッチが起こりにくくなります。
と、最後はきれいにJobgramのCMが差し込まれました😊(笑)
創業時から現在にいたるまで採用と向き合ってきた経営者ならではの、多くの失敗パターンから学んだ成功の法則についてのお話でした!
続いては、LAPRAS取締役の二井(ふたい)さんから。
「採用要件定義」の重要性
二井さん(以下、二井)
人事の皆さん、今担当している採用要件についてどのくらい語れますか?
今回は、「採用要件定義しないと起こる6つの定義」というテーマを通して、採用の要件定義はとても大事なので、一回自社の採用要件をしっかり見直してみるといいことがあるよ! というお話ができればと。
〜母集団形成編〜
1:いい感じで強い人探してきてよ
二井
「○○さん、いい感じに強いエンジニア採用してよ〜」みたいなざっくりとした依頼、割とあるんじゃないかなと思います。
人事の方はそういうとき、結構「わかりました!」って受けちゃったりしませんか? でも冷静に「いい感じ」って一体何だろう?っていう。
- 上司が思ういい感じの人
- 人事が思ういい感じの人
- 現場が求めているいい感じの人
「いい感じ」という曖昧な表現のせいで、それぞれが全く違う「いい感じ」を目指してしまい、選考の最後にズレが発覚するなんてことも。
2:こんな内容の薄いスカウトメール送れるわけないだろ
二井
例えばエンジニアを採用したいとき。人事の人は、開発に関する知識がまったくないながら頑張ってスカウトを書きますよね。そしてそれを現場のエンジニアが見たときに「こんな内容の薄いスカウトメールを送れるわけないだろ!」みたいな反応をしてしまう。しかし、人事の人は具体的に何がいけないのかわからず、ただ落ち込む。そしていつまでも改善はされない……という状況に陥るんですね。
こうした状況で大切になってくるのが、「採用要件への理解度」。
二井
まずは、自分がその要件を理解できていない状態であると自覚すること。
そしてエンジニア採用なら自社のエンジニアに「ちょっとこの要件がわからないので、手伝ってもらってもいいですか?」とシンプルに聞いてしまうのが一番いい方法かなと。
〜選考プロセス編〜
3:今日の面接では判断できなかった
二井
1回目でほぼ採用の判断できたはずだったのに基準が曖昧だったために結論を出せず、その間に候補者は他社のオファーを受けてしまった、というケースがあります。
このプロセスでは、誰が何をどうやって確認するのかを事前に決めておくことが大事です。例えば、「Aの能力は非常に高いんだけど、Bの能力は足りない」といった場合に通すのか通さないのかというラインを事前に決めておくと迷うことがなくなります。
そのボーターラインを前もってしっかり決めておくことは、先延ばししたことで辞退されてしまうリスクも防げるし、候補者の方にとってもよいことですよね。
4:役員がリファラルで連れてきたから通そう
二井
これはベンチャーあるあるかもしれません。社長や役員がいきなり連れてきて「あの人、友達だから通してあげてよ」みたいなケース、とくに10人未満くらいのスタートアップだと一回くらいは経験あるんじゃないかなと。
面接してみないといい人材なのかわからないけど、「社長が言うならまあいいか」で受け入れてしまい、結局全くパフォーマンスが出せない。そして最終的に「あの人、どういうつもりで採用したの?」となぜか採用担当が詰められるみたいな悲劇も起こりがちです。
〜入社後活躍編〜
5:こんなやつ入社させたのは誰だ
二井
全員が採用計画に対して「どういう人が必要」ということをちゃんと理解し、その共通認識を持つことが大事です。
先ほどの「社長の連れてきた人だから通そう」のようなケースでもそうですが、基本的には選考プロセスの例外を認めないという態度が非常に有効。
「社員の友人であっても選考フローは変えない」といった決まりごとを徹底することが大切です。
6:思ってたのと違う
二井
これもベンチャーにありがちかなと思うんですが、「面接のとき新サービスやりたいって言ってたし、話してた内容と違うけど新サービスの立ち上げ任せちゃおう!サプライズ抜擢だ!」みたいな。
でも採用された当人は新しい環境に馴染むのに時間がかかる上に、慣れてない仕事をやらされてオーバーしかねない。入社して最初の仕事は選考時に伝えておくとミスマッチがある程度防げる。
まとめ:採用における事故は、曖昧さから起こる
二井
候補者が入社してくれる理由を人事が描けていない状態では、正しいスカウトが打てません。
そして、誰が選考プロセスに責任を持っているか、きちんと決めておかないとゴールがブレて失敗します。すべては採用要件の曖昧さが原因です。
将来起こるかもしれない採用の事故が防ぐために、プロセスに曖昧な箇所がないか、ぜひ明日にでも確認していただけると嬉しいです。
LAPRASの運営者であり、スタートアップならではの組織課題に取り組んできた二井さんならではのお話が聞けました。
そしてここからは、モデレーターとしてゲームエイトの西尾さんを交えてトークセッション。
モデレーターのプロフィール
西尾 健太郎 / 株式会社ゲームエイト 代表取締役社長
1989年生まれ。首都大学東京卒。2011年 株式会社Labit共同創業、2013年代表取締役就任。リクルートホールディングス子会社に事業を譲渡。2014年 株式会社ゲームエイト創業、代表取締役就任(現任)。2015年 株式会社Gunosyへ売却、2018年8月同社執行役員就任。
Twitter : https://twitter.com/kentaronishio
株式会社ゲームエイト
株式会社Gunosyの2015年よりグループ会社となり、独立拠点で自由度高く経営を行っている。 創業から、アルバイトに事業機会を通じて成長しさせ積極的に社員登用していく特殊な文化を持っており、特化した人事制度を構築。直近1年で幹部採用を強化し、非ゲーム領域も視野に入れた多角化を進行しています。>> https://game8.co.jp/
トークセッション『とはいえ聞きたい採用のリアル』
採用に関するテーマでいろいろなことが語られたトークセッション。その中からいくつかのお話をご紹介します。
西尾さん(以下、西尾)
JobgramもLAPRASも、カルチャーとスキルの部分でそれぞれ尖ってると思うんだけれど、その観点から見てリファレンスチェックはどの程度有効だと考えてるのか聞いてみたい。
小出
リファレンスチェックの有効性、正直怪しいかなと思っていて。
いらないとまでは言わないけれど、結局は「誰が評価しているのか」という部分が重要になってくるので、採用において『失敗がなくなる魔法の道具』では決してないかなと。
二井
僕も有効性は感じていないんですが、採用要件がまだ曖昧なフェーズだったり、採用する側に専門知識がなくて判断しにくいケースでは一定ワークするのかなと。しっかり要件定義できてしまえば不要かもしれない。
今回のイベントでは「Slido」を活用しました。Slido経由で会場の参加者からリアルタイムに質問が届き、モデレーターの西尾さんに気になったものをピックアップ。
『スキルは充分でカルチャーに対するマインドも一見マッチしているのに、入社後に求職者本人と会社が互いに向ける期待値(これくらい出来るだろう、やらせてくれるだろう等)がズレていたせいでオンボードに失敗するケースがあります。
確認不足が生んだ不幸ではあるのですが、皆様はその点、選考過程や入社後にどのように調整されていますか?』
小出
これは西尾さんが得意なやつじゃないですか?
西尾
モデレーターが自分で喋るの?(笑)
僕がよくやるのは、求職者の人と入社前にかなりの頻度で会う。そして、その際にもう入社後の目標設定をしてもらうんです。そうすると、お互いの期待値の調整もできて、「なぜ入社してほしいのか」がクリアになるので採用のグリップにもなるっていう。
自己完結しちゃったけど、そんな感じだと思います(笑)
西尾
これは二井さん向きの質問かな? いけてるスカウトって何だろうっていうのは、多くの人事が悩んでいるポイントだと思うんだけど。
二井
そうですね。これまでスカウトたくさん書いてきて思うのは、採用要件に関する理解度を上げることが、やっぱりいちばん大事だなと。
小手先のテクニックもあるにはあるんですけど、結局は採用要件をどれだけ理解しているかですね。
西尾
採用担当はそのプロジェクトのメンバーですらなかったりすることもあるから、「このポジションがなぜ今必要なのか」を正しく深く理解するのって、難しいよね。
二井
自分だけでは難しいっていう場合は、事業責任者にがっつりヒアリングするといいですね。現場の人と上手に壁打ちをやっていくのがいいプロセスなのかなと。
西尾
なるほど。Jobgramは性格診断をベースにしているサービスなわけだけど、スカウトってどんな風に打ってるの?
小出
ユーザーの性格傾向を把握しているので、その人が欲しい情報がある程度わかるんですよね。このユーザーが何を大事にしているのかっていう価値基準を知ってるというか。例えば、「福利厚生を重視するタイプだからそこを細かく盛り込もう」っていうアプローチをしています。
ちょっぴり時間をオーバーして、トークセッションは終了。
その後に行われた懇親会では、皆さん用意されたピザを食べつつ、お酒を飲みつつのカジュアルな雰囲気の中、採用と向き合う方たちの交流が深まっていました。
イベントに参加してくださった皆さま、どうもありがとうございました!
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そして最後になりましたが、今回のイベント開催にあたっていろいろとご教示・ご協力いただきましたLAPRASの皆さま、本当にどうもありがとうございました!
LAPRASは「あらゆる事象を必然化し、世の中のミスマッチをなくす」というミッションを掲げ、機械学習やクローリング技術を活用して企業向けの採用サービス、個人向けのスキル可視化サービスを提供しています。LAPRASの公式サイトはこちら>>
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またこのような採用に関するイベントを、定期的に開催できたらと思っていますので、その際はぜひご参加いただければ嬉しいです。
こちらのnoteにて告知しますので、気になる方はぜひフォローをお願いします!
今回のイベントには参加できなかったけど、「自社のハイパフォーマー傾向を知りたい」「性格傾向を用いた採用に興味がある」という方は、ぜひ小出までお気軽にご相談ください!
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