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王になりたかった男3
「人龍だ!」
そう叫ぶと共に、タムは怪物に向かって矢を放った。ビュンッと勢いよく飛んだ矢は怪物の頭目掛けて目にも止まらぬ速さで向かっていく。しかし、人ではないから人龍と呼ばれるのだ。カッッと口を開き、人龍は地の底から轟くような、周囲をズシリと上から圧をかけるように低く、恐ろしい唸り声をあげて咆哮し、矢を吹き飛ばした。タムもカリムも一瞬動けなくなったが、人龍は今度はカリムに向かって突進していき、腕
王になりたかった男2
新緑豊かな森に囲まれた、うだるような暑さと湿気が年中支配する国、
チュセ。
それがタムとカリムの国の名前である。西瓜の種の形をした島国で、島の北端は大国・翠に近接しており、彼の国からは弁と称されている。国の中心を大河が流れており、南端から北端まで通じていることから流通で重用され、民から命の綱・ドイソウと呼ばれている。ドイソウは流通だけでなく森林の発育、それに関連する農業にも多大な恵みをもたらす
夢中さ、君に に惹き込まれた
先日、和山やま氏の「夢中さ、君に」(ビームコミックス)を拝読した。
元々、ピクシブで知っていて、この本で収録されている「後ろの二階堂」が、その端正な絵と独特のセリフ回しが、印象的だった。
読後しばらくして、書店の店頭でこの本が平積みにされている様子を目にすることが多くなった。どうしよう、買おうか、買うまいか。試し読みで面白いことは間違いないことは分かっていたが、懐が寒かったこともあり、うだうだ