夢中さ、君に に惹き込まれた

先日、和山やま氏の「夢中さ、君に」(ビームコミックス)を拝読した。

元々、ピクシブで知っていて、この本で収録されている「後ろの二階堂」が、その端正な絵と独特のセリフ回しが、印象的だった。

読後しばらくして、書店の店頭でこの本が平積みにされている様子を目にすることが多くなった。どうしよう、買おうか、買うまいか。試し読みで面白いことは間違いないことは分かっていたが、懐が寒かったこともあり、うだうだ悩んでいたのである。

しかし、ある時転機が訪れる。

母が買っていた。

というわけで、今回は「夢中さ、君に」の感想を述べたいと思う。(前振りが長かった。)

本作は短編集である。現代の男子高校生が主人公だ。web公開されていた「後ろの二階堂」は、クラスで、いや学年で、会話などをすると不吉なことが起きると噂されている不気味で暗い、例えるなら伊藤潤二の漫画に出てきそうな二階堂と、席替えで偶然、そんななるべく関わりたくない彼の前の席に座ることになった目高の交流の話である。目高はクラスで程よくノリの良い感じの、気だるそうだが友達も多い、いわゆる教室カースト内で上位の人間、二階堂は逆に孤立している(本人はわざとそうしている)下位の人間。この対照的な二人がひょんなことから関わりを持ち、目高は二階堂の「ある秘密」を知ることになる。

と、ここまで書いたが、決してシリアスな話ではなく、どちらかというと男の子達の何気ない日常にほのぼのとする話である。シリアスでもいけそうな端正で精緻な絵柄だが、この作品以外でも、テンポ?言い回し?が他とは違い、おもわずにんまりしてしまう。デジタルを使用しているだろうに、何故か手書きで書かれたような不思議な絵。

そう、私が今まで読んできた漫画の中で近い雰囲気なのは、「動物のお医者さん」だろうか。それよりももっとセリフを落ち着かせたような感じの。動物は出てこないけど。(パンダなら着ぐるみで出てくる。)

学園もの、男子高校生の日常系の話が好きな人なら、夢中になることは間違いない。そうでない人も、是非、試し読みから。きっとこの世界に夢中になることだろう。



#マンガ感想文

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?