陰陽の融合
「陰陽の融合」という作品は、相反する要素が融合し、バランスと調和を生み出す概念を視覚的に表現しています。ここでは、東洋哲学の中心的存在である陰陽の原理を、深いコントラストと柔らかな曲線を用いて描いています。この原理は、全ての物事は相反する力―陽(明るく、活発、男性的なエネルギー)と陰(暗く、静か、女性的なエネルギー)―から成り立っていると説くものです。
中央に位置する二つの円は、陰陽のシンボルを思わせますが、ここでの表現は伝統的なものから一歩進んでいます。白と黒の明瞭な境界線はありますが、内部には混沌とした形状や曖昧な境界が見られます。この不確かさは、現実世界においても、物事が常に変化し、流動的であることを示唆しています。
白い部分には暗い点があり、黒い部分には明るい点が浮かんでいます。これは、絶対的な陰や陽は存在せず、常に対のエネルギーが含まれているという哲学を表しています。この点は、対立する要素の中にも共存と相互依存があることを象徴しています。
周囲の曖昧な霧は、限定された人間の視野を超えた、宇宙の広大な知識と存在を思わせます。それは、私たちの認識の範囲外にある真実を暗示し、また、すべてがつながっているという宇宙的な一体感を表現しています。
「陰陽の融合」は、見る者に内省と調和の探求を促します。今回の作品は、私たちが住む世界がいかに複雑で相互に関連しているか、そしてその中での自己の位置を再考する機会を提供します。それは、対立する力が結合し、絶えず変化する宇宙のオーダーの中で、美しさと平和を見出すための象徴です。
* 陰陽道のシンボル、陰陽(いんよう)または太極図(たいきょくず)を連想させます。陰陽道は、すべてのものは陰と陽という二つの相反する力によって成り立っているという中国の哲学的、宗教的な考え方です。陰陽は、対立するものが実は互いに依存し合っているということを象徴しており、自然界や人生、宇宙のバランスと調和の原理を表しています。
陰陽の図は、白黒のセクションで分けられており、それぞれのセクションには対照的な色の点が含まれています。これは、陰の中に陽が、陽の中に陰が存在することを示し、相反するエネルギーが共存し、絶えず動いていることを表現しています。また、このマークは、対立する要素が互いに影響し合いながらも、全体としては完全なるバランスを保っていることを象徴しているとも言えます。