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【キューバが好き!】映画 『ゴッドファーザーpart 2』とキューバ🇨🇺

さて、
『ゴッドファーザー』シリーズをこれまた何十回目か観ているのだが、
キューバの大ファンになってから「part 2」を観直すと全く違った映画として見えてくるのでご紹介したい。

パート2の舞台は1950年代で、アメリカのマフィアが当時のキューバの独裁政権であるバティスタ大統領と結託して利権を独占する。

キューバの主要産業である「フルーツ」「砂糖」「観光」を、アメリカのそれぞれのマフィア・ファミリーと独裁者バティスタと手を結んで利権を独占しているのである。

その首領がマイアミのマイフィア、ロス(実在のマフィア、マイヤー・ランスキーがモデル)である。

そして、
キューバで生産された利益が全て独裁政権とアメリカン・マフィアに流れて行く下で、
搾取されるキューバ国民は貧困に喘いでいた。

アメリカン・マフィアによるキューバ利権のシマの分配で、コルネオーレ・ファミリーの二代目、『ゴッドファーザー』第一作目でヴィトー・コルネオーレ(マーロン・ブランドー)からファミリーを継いだ三男マイケル・コルネオーレ(アル・パチーノ)に当てがわれたキューバの利権は「観光」である。

ロスはユダヤ人であり、コルネオーレ一家らのシチリア・マフィアとは出自が異なる。

マイケルはロスの招きでキューバはハバナに行き、
一旦ロスとの手打ちを見せかける。

しかし、ハバナのテラス・カフェでの「バナナダイキリ」の注文をきっかけに兄フレドの裏切りに気が付く。

初めて来た筈のキューバでフレドは「バナナダイキリはスペイン語で何て言うんだ?」とマイケルに尋ねた直後、
「ウン バナナタイキリ ポルファボール」とキューバ人給仕にスペイン語で注文するのだ。

マイケルの自宅のベッドルームマシンガンで銃撃された事件の裏で、情報を漏らしていたのは兄フレドだったのだ。

そして、その裏でロスが糸を引いていてマイケル一家を殺そうとした謀略がハバナで明らかになる。

そして車で移動中、
マイケルはハバナの路上でカストロ率いる革命軍が自爆してまで戦う姿を見て、彼らの勝利を確信する。

この時、バティスタの独裁腐敗政権を倒すべくメキシコからキューバに乗り込んだフィデル・カストロ率いる革命軍は、チェ・ゲバラらと共に山岳ゲリラ戦を戦い、キューバの地方都市を制圧しながら首都ハバナへと迫っていた。

その時のマイケルの脳裏には「自分たちvsロス」と「カストロ軍vsバティスタ」の構図が重なっていた。

ちなみに、「バナナダイキリ」のシーンで流れているのが、かの『ブエナビスタ・ソシアル・クラブ』が現役だった頃のキューバ音楽である。

もしかしたら、ブエナビスタのメンバーがマイケルたちの後ろで演奏していた可能性はある。

そして、1959年1月1日の新春パーティーの最中、バティスタは突然辞任演説を行う。

その直後、カストロ軍がハバナに侵攻してきてバティスタは国外に逃亡。
マイケル、フレド、ロスも這う這うの体でアメリカに飛んで帰る。

そしてカストロ&ゲバラが1月8日にババナに乗り込んでくる。

つまり、マイケルとカストロ&ゲバラはかなり近い距離でニアミスしているのだ。

姿こそ現れないが、
『ゴッドファーザーPart2』の時空にはフィデル・カストロとチェ・ゲバラが裏出演しているのである。

チェ・ゲバラとフィデル・カストロ

そして、
カストロ革命軍がバティスタ政権を打ち破った直後、マイケルも老マフィアの親分ロスを抹殺する。

そして、裏切り者フレドはマイケルによって粛正される。

同じ頃キューバでは、
カストロ革命政権によってバティスタ政権の腐敗閣僚の粛正が行われていた。

アメリカン・マフィアとの利権関係を断ち切ったカストロの革命政権はアメリカとの対立を強めて行き、1962年には米ソ核戦争勃発寸前の「キューバ危機」に至るも、カストロはアメリカ相手に一歩も引かなかった。

マイケルもカストロも「決して引かない男」なのだ。

完。


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