自分らしい道を探して—保険営業と私の葛藤
出逢ったのは12月だったけれど、実際に付き合い始めたのは翌年の3月3日でした。この頃、私はまだ休学中で、色々と悩んでいました。特に料理への関心が強く、調理の専門学校に行くことも真剣に考えていて、学校見学にも足を運びました。その話をYにした時、「いいじゃん」と応援してくれました。Yの私に対する感情もなにか変わった気がしました。
でも、結局その道は選びませんでした…。料理を仕事にすることへの憧れはあったけれど、実際に「プレイヤーとしてやりたい」という訳ではなく、学校に通って資格をとった先の自分の姿が見えなかったのです。Yに対しては「何かを目指そうとしている私だから好意を持ってくれたんじゃないかな?」という気持ちがどこかで芽生えて、期待を裏切ってしまったのかも、と感じることもありました。申し訳なさが残っていたのかもしれません。
その後、仕事探しのためにハローワークに通っていた時のことです。保険会社に勤めるお姉さんに声をかけられ、「話を聞くだけで1000円差し上げます」と誘われたんです。よくある話ですが、私は「お金が欲しい」というより、本当に「仕事を見つけたい」という純粋な気持ちで話を聞きに行きました。
話は入社を前提に進み、研修も受けましたが、何かが引っかかっていました。保険という商品に対する理解不足もそうですが、実際に自分で商品を売るというより、先輩たちが頑張っていたのは、どこかネットワークビジネスのような仕組みのためなんじゃないかと感じたんです…。つまり、目的が「商品を売る」ことではなく、その仕組み自体にあるように思えてしまって、どうしても納得できなかったんです。
私はやっぱり、自分が本当に「これはいい」と納得したものを、自信を持って紹介したいんです。誰かに紹介してその何%が自分に入るから…という理由で商品を勧めることには抵抗がありました。何よりも、「本当にいいもの」だけを届けたいという思いが強かったんです。だからこそ、この営業の仕組みには合わないと感じてしまいました。
結局、研修の段階で「自分には合わない」と感じて辞めました。もっと商品のことを学んで、その良さを理解していれば違ったのかもしれませんが、その時の私には自信がなく、心から勧められる気持ちにはなれなかったんです。
保険業界に対する勝手なイメージもありました。ノルマがあり、身近な人に勧めるような仕事になるのではないか、と。後輩が契約を取ると自分の給料や昇進に影響が出るというシステムにも違和感を覚えました。実際に働いていた方々はいい人たちばかりだったと思いますが、私には向いていませんでした。
そして、私はさらに「次はどうしよう?」と迷うことに(笑)。ちなみに、鍼灸の専門学校はこの年の3月に正式に退学しました。
続く…