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旅行記いろいろ

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ちょっとした旅行についての小文をまとめました。
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2023年4月の記事一覧

ブラチスラバに死す。あるいは絶対的な遅れ

ブラチスラバに死す。あるいは絶対的な遅れ

受験生の頃の6月だったか、高校の世界史のアングルが描いた「ベルタン氏」みたいな教員が「いかにもヨーロッパ、みたいな雰囲気を味わいたい場合、フランスとかイギリス、ドイツの観光地より東欧の街の方がいいぞ」と授業中に言っていた。私はとても不真面目な生徒だったので、1年間の授業で今も覚えていることはその言葉だけだ。

しばらくしてウィーンとブダペストでその意味を知ることになるが、では「いかにもヨーロッパ」

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マーストリヒト即興

マーストリヒト即興

気が滅入る曇り空。湿った石畳。「古都」を体感するには知識が必要だと思った。縁が無さすぎたのだ。古いことは分かるがそれが身体の中に沈静することなく目から滑り落ちていく。まったく街の歴史を知らないということは、何も見えないことと同じなのかもしれない。結局のところ知識が時間を掴むのだろうか。知識が感性を左右するのだろうか、とお堅く考えるものの低気圧でダウン…。

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目眩のする輝き TEFAFレポート 後編

目眩のする輝き TEFAFレポート 後編

散策していると、売り込みに積極的なところと「売れなくてもいいや」みたいな雰囲気のところがあります。前者は一点売れたら奥から補充があり、忙しそうに動きまわるのですが、全く動かずなにも変わらず、代表が椅子に将軍のように座っているギャラリーも。

もう大御所ギャラリーはVIP向けにいくつか売れていてノルマを果たしているのでしょう。必死に名前を売らなければならない新参者のギャラリーと明確に違いがありました

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世界で一番ゴージャスなアートフェア⁈  TEFAFレポート 前編

世界で一番ゴージャスなアートフェア⁈ TEFAFレポート 前編

毎年3月に世界最大級のアートフェアがオランダのマーストリヒトで開かれます。TEFAFと呼ばれるそのアートフェアの特徴は古典絵画が中心だということです。日本ではほぼ知られていないようで、日本語の記事を検索しても基本情報以外は出てこないですから、TEFAFの紹介にもなればなと思います。

概要

The European Fine Arts Fairの頭文字をとってTEFAFとなっています。元は197

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