高見温| On Takami

旅日記だったり、つらつらと長文を書くこともあったりします。気ままに読んでくださいませ。 サポート代はお紅茶代に充てさせていただきます。連絡や依頼はontakami92@gmail.comまで

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基本的には展覧会評や書評及びエッセイを書きます。海外の美術館情報や小ネタも投稿します。美術好きなら面白いと思うのでぜひ。記事は3日に一本くらいを予定しております。

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    オランダ旅行といくつかの美術の小論が載っています。ひとつひとつ読むよりお得です。

最近の記事

フランク・アウエルバッハ追悼

フランク・アウエルバッハ(Frank Auerbach 1931~2024)が今月亡くなりました。ナチスの迫害で両親を失い、英国・ロンドンに移住という第二次大戦の惨禍を体現したような画家です。英国を筆頭にヨーロッパでは知られた存在なのに、日本ではほとんど知られておらず、日本語の追悼記事は見当たりませんでした。 英語読みのオーベルバックの方がいいのかもしれませんがアウエルバッハでいきます。1947年からロンドンに住み美術の道へ。1948年からセント・マーティン美術学校、195

    • 凡庸への飛翔

      「感性を磨く」「教養をつける」これらの語をよく目にしますし聞きますが、しかし何のために? 思索にせよ行動にせよ、目的・目標設定が肝心で、それがないと適当に嵩が増すだけです。生活や理想とも離れた雑学でおしまいですし、血肉になることはないので使わなくなって腐臭を放つのがオチです。「世界がつまらない」といった発想も、病的な嫉妬心や知的マウントもおそらく使わないまま錆びついた感性や教養の発する腐臭のせいです。

      • チェコについて🇨🇿①

        「国家とは嘘である、国境はない」と20世紀後半の平和主義者は口々に言っていたと思いますが、現実問題としてそれは嘘ではなく仄めかされる形であるとはいえ、拘束力を持つ実体です。ですから嘘や幻想というより何かもっといい言葉はないだろうか、実体はあるが煙の中のような、ユーモラスでありグロテスクなもので…、と探す際におそらくチェコ出身の小説家ミラン・クンデラなら『冗談』と答えるでしょう。 クンデラは1975年にフランスに亡命して執筆を続けます。世界的ベストセラーの『耐えられない存在の

        • ヨン・フォッセ『朝と夕』

          2023年にノーベル文学賞を受賞したノルウェーの作家で、主に戯曲の分野で有名な方ですが、『朝と夕』は小説の形式です。昨年の受賞で一気に翻訳紹介が進み、2024年に本作含む4作品ほど出たと思います。 作者は1959年生まれ。その功績から同国の文豪イプセンの再来と呼ばれているそうです。「言葉で表せないものに声を与えた」という言葉をノーベル賞委員会が出しています。 ストーリー二部構成。共にフィヨルドの街 141ページ 一部は息子の誕生を待つオーライという男の随想のようなもの。

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          凡庸への飛翔

          「感性を磨く」「教養をつける」これらの語をよく目にしますし聞きますが、しかし何のために? 思索にせよ行動にせよ、目的・目標設定が肝心で、それがないと適当に嵩が増すだけです。生活や理想とも離れた雑学でおしまいですし、血肉になることはないので使わなくなって腐臭を放つのがオチです。「世界がつまらない」といった発想も、病的な嫉妬心や知的マウントもおそらく使わないまま錆びついた感性や教養の発する腐臭のせいです。

          凡庸への飛翔

          チェコについて🇨🇿①

          「国家とは嘘である、国境はない」と20世紀後半の平和主義者は口々に言っていたと思いますが、現実問題としてそれは嘘ではなく仄めかされる形であるとはいえ、拘束力を持つ実体です。ですから嘘や幻想というより何かもっといい言葉はないだろうか、実体はあるが煙の中のような、ユーモラスでありグロテスクなもので…、と探す際におそらくチェコ出身の小説家ミラン・クンデラなら『冗談』と答えるでしょう。 クンデラは1975年にフランスに亡命して執筆を続けます。世界的ベストセラーの『耐えられない存在の

          チェコについて🇨🇿①

          翻訳について

          『ロリータ』等で有名な小説家ナボコフは、エッセイで翻訳について論じている。彼自身ロシア語と英語の双方で傑作を残し、それぞれを本人訳で発表してきた筋金入りの翻訳家だ。無論プーシキンなどロシアの古典を英語に翻訳しているどころか、イタリア語にも精通していたようで、イタリア語へ翻訳した小品もあるなど言語的才覚に恵まれた教養人である ナボコフは「原著で著者がどんな意味や願いを込めていたのか、というようなオリジナル尊重の解釈を施すなどすると、翻訳はダメになる」と書いている。これは意外だ

          翻訳について

          京都古民家・町屋系ギャラリーについて

          コロナ明けの京都はそれはそれは多くのアートギャラリーができました。アート系書店も含めれば十数個も、しかもひとつの街に短期間でギャラリーができるという、はっきり言ってバブル状態です。喜ばしさより異常性がまず頭に入ってきます。 京都が国際的な観光都市として脚光を浴び、京都で展示をしてみたいというアーティストや商機だと思って飛んでくるギャラリストが増えました。この沸騰は間違いなく双方の野心が結びついたものです。 そこで、京都ならではの展示をと考えるに、真っ先に「和風の空間で展示

          京都古民家・町屋系ギャラリーについて

          「現代」を改名しよう

          「サイコパスに憧れる人が多いのはサイコパスという響きが中途半端にかっこいいからだ。これがオタンコナスだったら誰もそうだと自称しないだろう」 いつの日か見かけた文章で、なるほどと思ったものです。美術でも多少その感覚は当てはまるように思い、たとえばフェルメールが英語発音で「ヴァーミャー」だったら、これほど日本で人気が出なかっただろうな、ということは直感します。衣服ブランドのラルフローレンが世界的に成功している理由のひとつに、そのLの滑らかな発音があるという分析もあるそうです。

          「現代」を改名しよう

          供養2

          『映画芸術』という雑誌は毎年末に「ベスト&ワースト映画10」という、日本の芸術系雑誌で最も面白く価値のある企画をやっていますが、美術でこれをやったらその雑誌は色々終わりそうです。 昔から内容の批判がなく宣伝だけ。このことが日本の展覧会と現代美術界隈の問題だと言われてきましたが、結果的に先人たちはそのような場を作ることに躊躇ってきましたし、今ではジャンル自体が縮小し皆顔見知りだったりするので、強く言えないのが当たり前になってしまいました。 一見すると批判がない「やさしい世界

        記事

          翻訳について

          『ロリータ』等で有名な小説家ナボコフは、エッセイで翻訳について論じている。彼自身ロシア語と英語の双方で傑作を残し、それぞれを本人訳で発表してきた筋金入りの翻訳家だ。無論プーシキンなどロシアの古典を英語に翻訳しているどころか、イタリア語にも精通していたようで、イタリア語へ翻訳した小品もあるなど言語的才覚に恵まれた教養人である ナボコフは「原著で著者がどんな意味や願いを込めていたのか、というようなオリジナル尊重の解釈を施すなどすると、翻訳はダメになる」と書いている。これは意外だ

          翻訳について

          京都古民家・町屋系ギャラリーについて

          コロナ明けの京都はそれはそれは多くのアートギャラリーができました。アート系書店も含めれば十数個も、しかもひとつの街に短期間でギャラリーができるという、はっきり言ってバブル状態です。喜ばしさより異常性がまず頭に入ってきます。 京都が国際的な観光都市として脚光を浴び、京都で展示をしてみたいというアーティストや商機だと思って飛んでくるギャラリストが増えました。この沸騰は間違いなく双方の野心が結びついたものです。 そこで、京都ならではの展示をと考えるに、真っ先に「和風の空間で展示

          京都古民家・町屋系ギャラリーについて

          「現代」を改名しよう

          「サイコパスに憧れる人が多いのはサイコパスという響きが中途半端にかっこいいからだ。これがオタンコナスだったら誰もそうだと自称しないだろう」 いつの日か見かけた文章で、なるほどと思ったものです。美術でも多少その感覚は当てはまるように思い、たとえばフェルメールが英語発音で「ヴァーミャー」だったら、これほど日本で人気が出なかっただろうな、ということは直感します。衣服ブランドのラルフローレンが世界的に成功している理由のひとつに、そのLの滑らかな発音があるという分析もあるそうです。

          「現代」を改名しよう

          供養2

          『映画芸術』という雑誌は毎年末に「ベスト&ワースト映画10」という、日本の芸術系雑誌で最も面白く価値のある企画をやっていますが、美術でこれをやったらその雑誌は色々終わりそうです。 昔から内容の批判がなく宣伝だけ。このことが日本の展覧会と現代美術界隈の問題だと言われてきましたが、結果的に先人たちはそのような場を作ることに躊躇ってきましたし、今ではジャンル自体が縮小し皆顔見知りだったりするので、強く言えないのが当たり前になってしまいました。 一見すると批判がない「やさしい世界

          人生は戦いである

          人口も経済力も縮小する日本社会では共創共栄などほぼ不可能で、ビジネスだけでなく、どの文化芸術ジャンルも互いのパイを奪い合うことになります。極論ですが、例えば読書人口を増やそうという運動は他の芸術活動の金や人を奪う行為と解釈できます。限られた、そしてどんどん減っていく市場という環境において、どこかが伸びればどこかが衰退するのは必然です。 そのため綺麗事を言おうが戦いであり、奪い合いです。昔の文化人がこれ以上豊かになってどうすると言っていましたが、豊かでない社会は当然縮小傾向に

          人生は戦いである

          デューラーとタトゥー

          2024年の展覧会の中ではかなり異色の展示があります。実質的には写真展で、会場はドイツ・ニュルンベルクのデューラーの家です。ここは博物館になっていますが、そこで催されたものがデューラーのタトゥー展です。

          デューラーとタトゥー

          供養1

          昔から心のモヤモヤは声に出して吐き出したり、文章に書いて落ち着かせるといった、外部に射出する形が推奨されてきました。しかし世界は宇宙のように広大ではなく、外に出された怨嗟といった毒はどこかに溜まりますし誰かが被ることになります。 何かや誰かを傷つけることでスッキリするは最低という割には、上のような精神安定法は好まれるというよく分からない世の中です。 ということで色々吐き出します笑 Twitterでボソッと呟いて12万インプレッションというので、影響力を持ちすぎた感があり

          読書記録(2024年 10月)

          振り返るとエッセイや小説を多く読んだ月になりました。読書の秋というプロパガンダに乗る気はありませんが、いくつか紹介します。 文芸書①ハン・ジョンウォン『旅と散策』 韓国の詩人のエッセイ。繊細で時にチクリと刺すような毒がある面白いエッセイ。時をおいて何度も読みたくなるような味わいがありますし、古今東西の詩が引用されていて、詩文学がよく分からない、詩情をくみ取るのが苦手という方にはその入門として最適なのではと思います。冬に関しての内容が多いのでこれから寒くなる季節のお供に。

          読書記録(2024年 10月)

          見立て 流し書

          さて、このケーキは一体なんだろう。

          見立て 流し書

          追悼

          高階秀爾氏が92歳で亡くなりました。60以上歳が離れていることもあり生前に交流はないのですが、ご冥福をお祈り申し上げます。 西洋美術史に興味を持った人間なら、氏の著作を一作は絶対に読んでいるというくらい膨大な本を書き、この国の西洋美術史観に巨大な影響を与えた人物です。あまりにも巨大なので賛否はありますが、無視できない個性であったことは疑いようがないです。 一作読むなら何がいいかと聞かれたら、即答で中公新書の『フィレンツェ』を挙げます。1966年に出版されていますが未だに版

          コンセプチュアルアートについて(トニ・ゴドフリーの見解)

          もはやプレミア価格になってしまっている名著。色々な作例を載せて詳細に解説してあるため、古本屋で見つけたら買った方がいいです。図書館にもあるかもしれません。 内容を要約すると大きく2点。

          コンセプチュアルアートについて(トニ・ゴドフリーの見解)

          ブログ知識人の行末

          昔、具体的には2000年代のはてなブログに書かれた大量の学術系記事は、非常に面白く豊かでさえあると思います。ネットサーフィンをしていても必ず最後は、なにかしらのはてなブログの記事に辿り着きます。概ねその面白い記事を書いていたブロガーの人は2010年代初頭には消えていたりと、もう書いていないのですが。

          ブログ知識人の行末