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10月の読書記録

『小田くん家は南部せんべい店』は、なんとも牧歌的な題だなあと思いながら手に取った。よっしー(祖父)と家族との会話が小気味良く、テンポよい日常生活が描写されながら主人公弘輝(こうき)少年の有り様(よう)が次第に伝わってくる。読みやすいと思いながら順調に読み進めていく。自然に家族間の思いやり、一見少し乱暴な言葉のやり取りのなかに伝わる温かな空気、そしてどこの家庭にもあるような軋轢や友達との行き違った気持ちなど、途中でやめられなくなる。そして最後の方に突然わかってしまった事実。だが弘輝は冷静に受け止めるだけの少年に育っていた。読んでいる私も、弘輝の葛藤を共に味わいその成長を喜ぶと同時にこうした物事の受け止めは、誰の人生にも在り得るし、前向きな生き方の指標になる。読みやすい文章ながら、深い内容の高森美由紀さんの小説。徳間書店から2024年2月の出版だから文庫本はまだだろう。他の作品も読みたくなる。図書館の筆者名検索で調べ、あらすじを見て予約してみよう。

『あきらめません』は、現代の必読書 垣谷美雨さんの小説。こちらは文庫になっていたので即購入。(講談社文庫)ちょうど選挙の時期でテレビも新聞も分かりやすく解説してくれている政策や選挙運動、議会などもフィクションなのでストレスなく、むしろストレス発散出来る内容だった。『うちの父が運転をやめません』とか『老後の資金がありません』『夫の墓には入りません』などは、題名を言うだけで私の友達は大笑いをする。
『あきらめません』は痛快選挙小説なんだそう。本の帯にQ:国会議員の女性比率は◯パーセント?  考えずに答えを見てしまった。そんなもんだった。(私はこの本を余程気に入ったのか、2度目の登場だ)

『すべての白いものたちの』ハン・ガンさんの作品、詩的散文なんだそう  今年のノーベル文学賞。
旧友たちとのおしゃべりのなかで話題になり『あれ、読んだあ?』『まだ』『読めるかなあ。大江健三郎は難しくて分からなかった』などと話題は流れてしまったが、気になったので書店でちらと見、読めそうだったので購入した。店頭に残る最後の一冊、ゲット。
 
(以下は列車の中でのメモから)

急に思いを書き留めたくなる。
河出文庫  『すべての白いものたちの』ハン・ガン  斎藤真理子 訳

数十年振りに会う旧友は、少しずつ顔と名前が一致してくる。会話が弾み、出身地が大江健三郎と一緒とか、誰々は大江健三郎の同級生とか、ふるさと自慢から買ったけど難しかった『平和ノート』とか、あははと笑いながらの談笑は楽しかったあの頃を思い出させる。今年のノーベル文学賞のハン・ガンさんの作品は?

そうだった。こういう知的好奇心のある人たちの多いクラスだった。中学校生活3年間で3校を転校した経験の私にとって、一番のよい思い出のクラス。

朝日新聞 社説 『ハン氏に文学賞 人間性の本質 問い続け』を切り抜いていただけの私だったが、文庫を手に入れ列車の中で読むことにした。記事は折り畳んで栞に。

旅は私にきっかけをくれる。
1  糸  9~12ページ
これは私の好きな書き手だ。訳も。
(私のなかの一瞬で🎵虜バージョン🎶)
やっとのことで息をしながら、一瞬一瞬を生き延びている自分━12ページのラスト6行を何度も読み返す。そう、それでも分け入っていく共感。
白いものの連想に白い世界(『いつかたこぶねになる日』小津夜景)が繋がる。
白は人を無にし、白い世界をさ迷わせる魅力がある。

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382字
世の中の理不尽や疑問を素直に記していくと、興味が拡り意識が変化している・・・そんなプロセスを振り返ることができます。

2022.11.4を契機に5人キンプリの記録や海外進出、働く人やタレントの基本的人権、岸さんへの感謝、BS TBSからの覚え書きやGメンの…

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