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整形外科論文ナナメ読み 2025年1月号

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整形外科論文ナナメ読みです。整形外科の論文の抄読会にすぐ使える内容になっています。 すべて興味がある内容ではないと思いますが、購読いただければ、雑誌代わりに整形外科の最新知識のア…
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記事一覧

1椎間および2椎間の腰椎全椎間板置換術後の臨床成績:1,187例の7年から21年の長期経過観察(Marnay, Thierry P., et al. "Clinical Outcomes After 1 and 2-Level Lumbar Total Disc Arthroplasty: 1,187 Patients with 7 to 21-Year Follow-up." JBJS (2025))

1椎間および2椎間の腰椎全椎間板置換術後の臨床成績:1,187例の7年から21年の長期経過観察(Marnay, Thierry P., et al. "Clinical Outcomes After 1 and 2-Level Lumbar Total Disc Arthroplasty: 1,187 Patients with 7 to 21-Year Follow-up." JBJS (2025))

JBJS: Clinical Outcomes After 1 and 2-Level Lumbar Total Disc Arthroplasty

不安定性を伴う腰椎の変性疾患(腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症)に対しては腰椎除圧固定術がゴールデンスタンダードと認識しています。
腰椎固定術後には、長期的には隣接椎間および椎体障害。腰椎の可動域低下などの合併症が生じることが分かっています。
これら

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高齢者の肘頭骨折に対する手術治療(SOFIE無作為割付試験の結果から)Joshi MA,  J Bone Joint Surg Am. 2025

高齢者の肘頭骨折に対する手術治療(SOFIE無作為割付試験の結果から)Joshi MA, J Bone Joint Surg Am. 2025

Surgery for Olecranon Fractures in the Elderly (SOFIE): Results of the SOFIE Randomized Controlled Trial - PubMed

昨今、欧米では高齢者の上肢の骨折に対して手術治療をわざわざ行わなくてもいいのでは?みたいな流れになっています

上腕骨近位端骨折 

手術群と非手術群で差なし
Li Y,

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胸腰椎骨折後の自然経過。Thoracolumbar FractureA Natural History Study of Survival Following Injury.J Bone Joint Surg Am. 2025 

胸腰椎骨折後の自然経過。Thoracolumbar FractureA Natural History Study of Survival Following Injury.J Bone Joint Surg Am. 2025 

JBJS (←クリックすると雑誌のページに飛びます) 2025年1月号からです。

胸腰椎骨折は、他の外傷と同様に、年齢分布において二分化しており、高齢者では低エネルギー外傷として、若年患者ではより高エネルギー外傷として発生します。

胸腰椎移行部の損傷は神経機能を脅かし、運動性に影響を与える可能性があるため、受傷後の罹患率が上昇するリスクが高く、生存率にも悪影響を及ぼす可能性があります。

ほと

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80歳以上の高齢者に対する股関節骨折リスク分析ツールの評価 Ensrud KE et al. Hip Fracture Risk Assessment Tools for Adults Aged 80 Years and Older. JAMA Netw Open. 2024;7(6):e2418612.

80歳以上の高齢者に対する股関節骨折リスク分析ツールの評価 Ensrud KE et al. Hip Fracture Risk Assessment Tools for Adults Aged 80 Years and Older. JAMA Netw Open. 2024;7(6):e2418612.


高齢者の股関節骨折を予防するためにアメリカでの股関節骨折の現状

●米国では股関節骨折の70%が80歳以上の高齢者で発生しており、これらの患者の20-30%が1年以内に死亡
● 股関節骨折後の生存者においても、移動能力の低下や日常生活動作の障害、施設入所が必要となることが多く、さらに骨折関連の医療費全体の72%を股関節骨折が占めている

予防的介入ツールとしての骨折リスク評価ツール

●低骨密度

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セメント人工骨頭の際の血圧変化 Fernandez, Miguel A et al. “Haemodynamic measurements during hip hemiarthroplasty surgery for hip fracture.” The bone & joint journal vol. 107-B,1 103-107. 1 Jan. 2025

セメント人工骨頭の際の血圧変化 Fernandez, Miguel A et al. “Haemodynamic measurements during hip hemiarthroplasty surgery for hip fracture.” The bone & joint journal vol. 107-B,1 103-107. 1 Jan. 2025

転位型大腿骨頸部骨折に対するセメント人工骨頭はガイドラインで以下の理由で推奨されている
●早期のQOL改善
●術中骨折リスクの低下
●12ヶ月生存率の改善
●費用対効果が良好
• 大腿骨髄腔の手術操作は心血管系の障害と関連することが知られている

• セメント使用は術後24時間以内の早期死亡率増加と関連する(複数の大規模研究で証明)
• 骨セメント挿入症候群(BCIS)は特に高齢者の股関節骨折手術

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