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#つぶやき

「片翼の天使」

「片翼の天使」

何か大切なものを
失くしたような感覚を覚え
辺りを見回してみる
それが何か
明確な答えはでないものの
君の笑顔がそばにないことに気付く

それはいつの間にか
あるべきものへと姿を変え
いつもそばにあると勘違いしていた

自惚れは戒め
願望は侮蔑
勘違いは罪
いつしか振り出しに戻る双六のように
思うように先に進めない感情の
置き場に困り顧みる昨日

昨日まで戻っても何も変わらない事実
その笑顔は僕の

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「三つの足のその犬は」

「三つの足のその犬は」

足を失くしたその犬は
三つの足で必死に駆けて

大きな道路の片隅を
車を避けて必死に駆けて

おそらく家などあるまいに
何を目指すかその瞳

ただ一点を見つめるような
その眼差しが愛おしく

何も出来ないこの僕は
ただその犬を見てるだけ

脇目もふらず突き進む
犬の姿は勇ましく

足の不足を恨むより
生きてる事の大事さを

背負って駆けるその姿
僕はただ、ただ 見送った

「高いピンヒール」

「高いピンヒール」

高いピンヒールの
サンダル履いた女の娘

立ってる姿は素敵だけれど
歩く姿はぎこちない
かかとの高さを持て余してる

そこまで無理をしなくても
も少し普通でいいんじゃない?

そんな僅かな高みから
世間を眺め廻しても
大した違いは無いでしょう

気を付けて
慣れない高さに振り回されて
転んで
心に怪我をしないよう

「虚空」

「虚空」

煙草の煙夜に漂う

闇に溶け込む君の後姿

時間のネジを巻き戻し

少し前の君の暖かさ

ポケットに大事に仕舞い込む

大きな溜息仰ぎ見る夜空

君を見送った後の虚空

踏み出す足は現実回帰

独りの世界へ逆戻り

「路面電車」

「路面電車」

電車に揺られてゆく街は
景色さえがゆったり流れ

ガタゴト車輪の噛む音が
ただ賑わいを振りまいて

乗り合う人の少なさに
絡む視線の照れ臭さ

目のやり場さえ困り果て
ただ意味もなく外眺め

電車に揺られてゆく街の
流れる時間の大人しさ

目的地まではまだまだで
得をするのか損なのか

路面電車はマイペース
己のスタイル貫いて

焦る人々たしなめて
ゆったり気分で進みます

電車に揺られてゆく街は

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