見出し画像

ケガをしにくいランニングフォーム『FASTER』!!!

はじめに

今回はランニングフォームのことを書いていきます。
前回のブログでMTSSとシンスプリントの予防について書きました!
興味ある方は下からどうぞ!


結果的にはランニングフォームの修正が良いとのことでしたが、どんなフォームが良いのかを書いていませんでした。
というよりその時点では見つけていなかったんですけどね、、、

今回は、ケガをしにくいランニングフォームの紹介をしたいと思います。
著者の方はクラブチームや軍隊でランニングフォームの指導をしている方でした。
ブログで軍隊の方法を載せていたので、今回も勉強になりました。



FASTER

画像1

『FASTER』は速く走るのではなく、ケガをしにくいランニングフォームのポイントの6つの頭文字です。
F:Forward Leam前傾姿勢
A;Arms腕の振り
S:Stride length close to center of gravityストライド幅
T:Trail width—step width歩隔
E:Explode—landing on the midfoot, pushing off of the big toe 中足部での着地と母趾での蹴り出し
R:RPM or rate of leg turnover cadence 1分間のステップ数

文字だけで見るとわかりにくいですが、ポイントは6つだけなので覚えやすいです。

F:Forward Leam

前傾姿勢を示しています。

画像2

体幹の前傾ではなく全身での前傾を示唆しています。
これはより良い姿勢であり大腿四頭筋よりも大殿筋などの殿筋群が活性化しやすくなります。

A;Arms

ランニングにおいて腕の振りはランニング効率において非常に重要です。
腕を左右に振ると身体の回旋が起こり、下肢へ余計なストレスを引き起こし、前方推進力の阻害になります。

画像3

腕の振りは腰から乳頭までです。肩を動かして身体を回旋させないことです。
上下の重心移動を少なくして、前方推進力を発生させます。
腰の後ろまで腕を振るのは、効率が悪く、エネルギーの浪費になるようです。

S:Stride length close to center of gravity

ストライド幅は重心の近くにします。多くの研究でストライド幅が広くなることはケガのリスクの増加だと報告されています。

画像4

ストライド幅が伸びることは着地時の膝の伸展を示唆し、ブレーキ力の増加で推進力の低下を意味します。
また、オーバーストライドはエネルギー消費を示唆し、中長距離ランニングには向いていません。
重心の近くに着地することで膝が屈曲し、ブレーキ力の低下、エネルギー効率アップ、ケガのリスクが下がります。

T:Trail width—step width

足の幅です。

画像5

少し議論があるようですが、図のような幅で一定の位置に着地することがいいようです。
歩隔が狭いほうがエネルギー効率は良いようですが、脛骨の傾斜と回旋が起こり、腸脛靭帯炎を惹起させる可能性があるようです。
腸脛靭帯炎を惹起させないようにするためには、前額面上での骨盤の制御が必要です。

画像6

骨盤を制御するためには殿筋や腸肋筋、脊柱起立筋などの働きが必要です。
これは以前のブログで説明していますのでそちらを参考にしていただければと思います。

E:Explode—landing on the midfoot, pushing off of the big toe

着地する際は中足部及び前足部で行います。

画像7


後足部(踵)での着地はストライドの延長やブレーキ力の増加を示唆します。
中足部で着地することで母趾での蹴り出しやすいポジションとなり、推進力を得やすくなります。

画像8

ここでのフェーズで推進力の85%が得られるようです。

R:RPM or rate of leg turnover cadence

1分間の回転数です。著者らのトレーナーは180RPMを推奨しています。
つまり1分間に180歩です。

画像9


レクレーションランナーで155RPMですが、エリートアスリートではジョギングでも170RPMです。
RPMが5~15%増加すると膝や筋へのストレスが減少します。
また、歩幅が小さくなることで膝の伸展が減少しブレーキ力の軽減、つまり速度の向上に繋がります。

まとめ

今回はランニングフォームの紹介でした。
ランニングフォームの改善はとても重要で、MTSSなどのケガの再発率は50%に及ぶとも言われています。
今回の論文で紹介されたものでも正しいフォームでランニングすることで、パフォーマンスの向上と受傷率の低下が報告されています。
MTSSなどは、従来『オーバーユースによるケガ』だと言われていましたが、現在では『トレーニングエラーによるケガ』だと認知されてきています。
つまり、正しいフォームの学習などで受傷率や再発率を下げることができるのです。

参考にしていただければ幸いです。

理学療法士 稲吉直哉

参考文献

 Žiga Kozinc, Nejc Šarabon: Common Running Overuse Injuries and Prevention. Monten. J. Sports Sci. Med. 6 (2017) 2: 67–74 | UDC 796.412.5:613.64

 Donald F. Kessler:VRunning FASTER: Changing Running Technique to Reduce Stress Injuries. International Journal of Athletic Therapy and Training, 2020, 25, 49-53 https://doi.org/10.1123/ijatt.2020-0011

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?