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#20 【改訂あり】虎に翼〜特別の正体〜

20241003  9:06
一度投稿したものの
読み返して納得出来なかった部分を改訂して
再度投稿しました。



虎に翼
新潟・三条編。
森口美佐江の「特別」とは何だったんだろう。

森口美佐江サイドの視点で、寅子とのやりとりを描いたら、どんな解釈になるのか。

特に裁判所の廊下のシーン。
美佐江と寅子の緊迫したやりとりの中に優未が現れる。
優未の姿を認めた美佐江の表情。
思わず優未を美佐江から守るように抱きしめる寅子。

あのシーン。

美佐江は何を思ったのだろう。

あの瞬間
寅子は究極の選択を迫られた。
寅子は裁判官ではなく、母の自分を選んだ。
その様を美佐江の目の前で。
見せつけてしまった。

状況的にも
心情的にも
他人の子より我が子を抱きしめるのはありだ。
しかし
後々美雪と出会い、手帳を目にした後の
寅子の後悔と葛藤を描くのに適した鮮やかな絵の具みたいなシーンだった。

あのシーンは
結果的にだが美佐江をモンスターのような不気味な存在認定してしまったも同然だったと思った。

そちらの方へと寅子が背中を押した。
意図せずとも。
同時に「あなたなら どうする?」と私たちに突きつけているシーンでもあった。

人と対峙する職業に就いていると
「このタイミング‼︎」
という場面や瞬間に遭遇する。

なんの障壁もなく
タイミングに喰らいついていける時もあれば
そうでない時もある。
環境や人の巡り合わせ組み合わせで撥ね返されることもある。

一度逃したタイミングは
二度と巡ってはこない。
二度目三度目があるにしても
明らかに一度目とは違ってくる。

反面
一度目より
二度目三度目のタイミングがよい時もある。

次が保証されていれば、だが。

美佐江と寅子の場合は
最初で最後のタイミングだった。
裁判所の廊下で
寅子のもとを去る美佐江は遠い世界に
飛び出して行った。

物質的に不自由なく
容姿も美しく
頭脳も明晰
しかし
不全感は埋まらない。

人に影響を与え支配することで
微かに感じられたものが
東京では、奪われていく。
影響力が沈んでいく。
「ただの女」になるということは
かつて自分が支配していた者と同質になるということ。

人や物質で埋められないものの正体がわからないから「特別」に縋る。

我が子を得ても特別な存在にはなれない。
特別になる方法なんてない。
特別にしてくれる人もモノもない。
「特別」自体が存在しないと
気づいていたのかもしれない。
しかし
認めてしまうと
今までの自分がサラサラと崩れていきそうで
崩れた自分を見ることを拒んで
旅立ってしまったのではないか。

「あの日、あと一歩だったのだ。それなのに。それなのに私は…。私のせいで」
というナレーション。

そうかな…?
あと一歩?

とっかかりに辿り着いただけでは?
そこから先が長いはず。
そこから先の真剣勝負は
一人の裁判官が数回面接して
語りかけるだけで
辿り着き
解消できるようなものではなかったはずだ。

貴女は
私の目の前で
我が子を抱きしめたではないか

美佐江が生きていたとしても言わないだろうけど、
優未を登場させることで
美佐江に対する寅子の婉曲的な拒絶が起きた。
寅子の偽善性が描かれた。

そういう矛盾と偽善と後悔を抱えながら
それでも人と対峙していくのだ。
今も「特別」を探して彷徨う心は無数に存在する。

彷徨う心は年齢を問わない。


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