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芙蓉歌句集

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わたくしが詠みました短歌・俳句をこちらでご紹介させて頂きます。
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2019年10月の記事一覧

無花果の丸く馬匹の音すなり

無花果の丸く馬匹の音すなり

今日往来を歩いておりましたら、無花果の実が庭先に生っているお家があったことをふと思い出しました。

古書街の匂ひや色なき風の触る

古書街の匂ひや色なき風の触る

ごきげんよう。今週は神田の神保町のほうで古書祭が催されておりますわね。わたくしも早速足を運びまして何冊かの古い本を手に入れて参りましたわ。

手にしておりますのはそのうちの一冊で「詩學貫珠」と題が書かれておりますわ。日付を見ますと天保辛卯ですから11代将軍徳川家斉さまの頃、西暦ですと1831年ですわね。

漢詩を作るための本のようで、中々内容が難しいのですけれども、読んでおりましたら、一度漢詩とい

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うら枯や帽子ゆきかふ喫茶店

うら枯や帽子ゆきかふ喫茶店

皆さまごきげんよう。
本日10月24日は二十四節気の「霜降(そうこう)」ということで、いよいよ秋も終わりの節となってまいりました。「木枯らし」の吹く季節ですわね。

徐々に色づき、そして寂しくなってまいります街路樹を眺めておりますと、否が応でも一年の経過というものを意識いたしますわ――。

この時期に吹きます強い北寄りの季節風を「木枯らし」あるいは「凩」と漢字で書きますけれども、俳句の歳時記ですと

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秋深き明治の音や銀時計

秋深き明治の音や銀時計

皆さまごきげんよう。
10月23日は、西暦1868年に元号が慶應から明治に改元された日ですわね。

本邦で新暦が用いられましたのは明治6年でまだ当時は旧暦ですからややこしいのですけれども、この秋空の下で「明治改元の詔」が発せられたと思いますと、なんだか「明治」にも季節感が感ぜられますわ。

そうそう。「明治」という元号はくじ引きで決めたそうでしてよ。

他のくじにはなんて書いてあったのかしら――。

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柿の実の若さのままに朽ちにけり

柿の実の若さのままに朽ちにけり

柿の実の若さのままに朽ちにけり

曳船や水音細き菊の宿

提灯の裏側にある夜寒かな

夜を寒み図書館の灯の煙りたり

香台の若き香りや菊供養

秋旻や実験室の色薄し

雨音や夕餉静けき予報円   創作季語(予報円:仲秋)

【第十五回俳樂會】結果及び選評

【第十五回俳樂會】結果及び選評

0.ご挨拶皆さまごきげんよう。芙蓉セツ子と申します。
段々と肌寒い風が頬を掠めるようになりまして、鈍色の低い空は冬の足音すらも感じさせるような今日この頃ですけれども、如何お過ごしでしょうか。

さて、先週末に催させて頂きました句会【第十五回俳樂會】なのですけれども、一連の行事が無事終了いたしましたので、改めてこちらでご報告させていただきたく存じますわ。皆さま、まことにありがとう存じます。

まず、

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『一歩目からの俳句体験』

『一歩目からの俳句体験』

【0:はじめての一歩】皆さまごきげんよう。芙蓉セツ子と申します。
わたくしは最近、俳句からのご縁で様々な方と交流をさせて頂きましたり、句会を催させて頂いているのですけれども、その中で時折、
「俳句は楽しそうだけれども作り方が難しそうだから眺めて楽しんでいる」
といったお声をかけて頂くことがございます。

もちろん俳句は鑑賞することで美観を楽しむことが出来る文芸の一つです。
けれども、もし「決まり事

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【開催告知】第十五回俳樂會【10月18日】

【開催告知】第十五回俳樂會【10月18日】

【第十五回俳樂會】
兼題:季語『夜寒』、漢字「実」、題材〔新しい季語を考案して一句〕
席題:放送内にて当日発表いたします
放送予定:10月18日(金)23時~24時30分(投稿締切は24時)
投句用紙:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdufE4_uHbOmMdeecWamdcxeIQdZk0ctMYUwnQaQ2jmPapX6Q/viewform

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煤けたる銀の器やライスカレー

煤けたる銀の器やライスカレー

皆さまごきげんよう。

突然なのですけれども「カレーライス」をもし歳時記に入れるとしましたら季節は「春夏秋冬」どれが似合いますかしら?

わたくしは「夏」のような気がしておりますの。
ですから表題の句は今のところ無季句ですけれども、カレーライスがもし未来で季語に採用されましたら、この一句は夏の句として発表したいですわ。

あるいはカレーライスだけで200句くらい詠むことが出来れば、夏野菜から冬野菜

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秋をしむ白煙細き陸蒸気

秋をしむ白煙細き陸蒸気

皆さまごきげんよう。本日は二十四節気「寒露」ということで、月の始め頃と比べますと朝晩は幾分肌寒さを感じる日も増えてきたのではないかしら。
季語の世界ですといよいよ「晩秋」ということで、冬の足音も聞こえて参りますわね。

わたくしは今週から衣替えをしたのですけれども、暑すぎることもなく丁度良い頃合いでしたわ。先週はまだ汗ばみましたものね。ただ心配なのが週末のお天気でして「野分」と表現するには少々危険

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しづしづと石畳縫ふ秋の雨

しづしづと石畳縫ふ秋の雨

皆さまごきげんよう。本日は旧暦の9月9日ということで「御九日(おくんち)」と申すそうでしてよ。「9」が重なるということで、簡単に申しますと重陽の節句なのですけれども、例えば「長崎くんち」はちょうど今日からではないかしら。
この「長崎くんち」一説では「くんち」の由来が「御九日」だとされておりますわ。

わたくし、長崎くんち自体は拝見したこと無いのですけれども、何やら異国の趣がある祭りだそうですわね。

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