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芙蓉歌句集

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わたくしが詠みました短歌・俳句をこちらでご紹介させて頂きます。
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2019年3月の記事一覧

桜雲や浅草登りて巴里眺む

桜雲や浅草登りて巴里眺む

本日3月31日は1889年(明治22年)に仏蘭西の巴里にてエッフェル塔が完成して開業を迎えた日だそうでしてよ。300mもの天高く聳える鉄塔でありながら、たった2年で完成してしまったのですから凄いですわよね。

東京市内で一番高いのは浅草にあります凌雲閣ですけれども、あの十二階建ての煉瓦塔でも52メートルですから、エッフェル塔の1/6程度ですわね。

それでも展望からは富士山がよく見えるほどですから

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伊達堀や開けて武士の花宴

伊達堀や開けて武士の花宴

ごきげんよう。

本日は万治4(1661年)に神田川の開削工事が完了した日だそうでして、現在の神田川の原型が完成したのが今日だそうでしてよ。

この工事、あの伊達政宗さまも関わっておりまして四代かけて完成した功績は「仙台堀」と言う名で伝わっておりますわ。

飯田橋や御茶ノ水の付近ですわね。

神田川の仙台堀のあたりは、単に川を掘ったのではなくって、台地を削って川を掘っておりますから、実際に歩いてみ

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サクラバナ眺むる国の海や川

サクラバナ眺むる国の海や川

3月27日は明治45年に東京市より米国のワシントンD.C.へ日本の桜が植樹された日だそうでしてよ。
大統領夫人の要請に答える形で、当時の東京市長でした尾崎行雄さまが送られた数千本の桜の木。荒川堤の桜の子が今はポトマック川に植えられておりますわ。

このワシントンへ送られた桜の木、それだけではお話は終わりませんのよ。3年後、今度はお返しにと米国よりハナミズキの木が日本へ送られてまいりますの。ハナミズ

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カチューシャの飾りを添へし落花かな

カチューシャの飾りを添へし落花かな

本日は七十二候『桜始開(さくらはじめてひらく)』ですけれども、それと同時に「カチューシャの唄」が劇中歌として歌われました舞台『復活』が、初演された日ですのよ。

ということで今日は桜の木の下でカチューシャを付けてまいりました――。

さて、わたくしが今日髪にしている髪飾り。
なぜ「カチューシャ」なのかと申しますと、大正3年に初演されました舞台『復活』のヒロインの名前が「カチューシャ」というロシア人

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口福の春満つるなり櫻餅

口福の春満つるなり櫻餅

潮風に緑散るなり桜餅
葉脈のぷつりとぷつり桜餅

わたくし桜餅が好きでよく頂くのですけれども、桜餅、関西と関東では形が違いますのね。わたくし桜餅に関してはお餅みたいな関西風のほうが好きですわ。お家でも昔からそちらのほうが出ていたような気がいたします。

わたくしの寫眞にあるほうは関西風の道明寺だそうで、関東は長命寺と申しまして平たい形だそうでしてよ。けれど、やはり桜餅と聞きますとわたくしは道明寺の

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菩提寺に耳慣れ雀の彼岸かな

菩提寺に耳慣れ雀の彼岸かな

本日は春分の日、お彼岸の中日ということでお墓参りですわね。暖かな一日で「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉のぴったり来る春のお彼岸だったのではないかしら。

さて、七十二候ですと本日から春分の初候「雀始巣(すずめはじめてすくう)」ですわね。「雀の巣」というのは春の季語になっておりますけれども雀というのは面白うございまして季節ごとに「雀」の季語がありますわ。

春の今の時期は「雀の巣」あるいは「雀の子」

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首長く萌葱の日待つ春の庭

首長く萌葱の日待つ春の庭

本日3月20日は、明治15年に本邦初の動物園「上野動物園」が開園した日ですわね。各国から象やライオンなど珍しい動物が集められまして、キリンは明治40年にドイツのハーゲンベック動物園より到着いたしましたわ。

キリンさん、可愛らしゅうございますわよね。

ちなみに昨今の動物園でとりわけ人気なのは象や駱駝でして、上野が花で賑わうこの時期は中々見物するのも難しゅうございますわ。
他にはドイツより来日しま

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うらゝかや知覧のみどり湯に兆し

うらゝかや知覧のみどり湯に兆し

本日は麗らかな一日で、今週中は暖かな日が続くようで良かったですわ。
今日はお彼岸ということでおはぎを頂いたのですけれども、わたくしは黒胡麻のが好みでした。最近は色々な味がありますのね。

ちなみにお茶のほうは最近、知覧茶が気に入っておりますわ。お茶の色のことを「水色(すいしょく)」と申しますけれども、深みのある新緑の色が美しく感ぜられますわ。

味も勿論豊かで美味しいのですけれども、お茶は存外に色

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仏前に彼岸を甘く誘いけり

仏前に彼岸を甘く誘いけり

ぶつぜんのあまくいざなうひがんかな

本日は春のお彼岸の入りということで、お仏壇を綺麗にしてお供えをする日ですわね。地域によっても違いがあるかと存じますけれども概ね「ぼた餅」をお供えすることが多いのかしら。
芙蓉家ではお煎餅でしたり金平糖でしたり、手近なお菓子も一緒にお供えしてしまいますけれども――。

わたくし、あまり見えないものは信じないのですけれども、お経は読めますのでお盆やお彼岸の際にはな

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人はみな花見虱の虱かな

人はみな花見虱の虱かな

今日はまた川沿いをお散歩してきたのですけれども、早咲きの河津桜には若々しい緑が出てまいりまして、他方で八重桜の蕾が開きかけておりました。お彼岸も近づきまして、春もそろそろ次の主役へと交代しようとしているのかしら。

普段どうしても桜を見ますと花に目が行きがちですので、今日は河津桜の新葉をよく観察してきましたわ。細かな歯のある萌黄色が柔らかで、摘んで煎じたらお茶になるのではないかしらと一瞬思ってしま

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初蝶や慣れぬ花壇の通学路

初蝶や慣れぬ花壇の通学路

本日は七十二候「菜虫化蝶(なむしちょうとなる)」ですわね。
暖かくなりまして蛹が蝶へと羽化をする頃。小さな初蝶が花壇に春を運んでまいります。

わたくしは蝶と申しますと、昨年の夏に行く当てもなくフラフラと彷徨うアゲハチョウとすれ違った時のことを思い出すのです。
蝶は何処から来てどこへ帰るのか。 そのようなことを圖書室で調べてみましたところ、アゲハチョウには「蝶道」という通い道があるということを知り

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ふらここの席譲り合ふ雀かな

ふらここの席譲り合ふ雀かな

ふらここの席譲り合ふ雀かな
鞦韆や頬に感ずる海の町
ブランコの校舎に伸びる影ふたつ