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anがnaくなっていて日刊アルバイトニュースの略だったと知らなかった話

ガキの頃に電車で帰った折にコンビニでアルバイト情報誌を読んでいたことがありました。結局そこからアルバイトを見つけることはなかった。

当時どのような雑誌があったのか割とマジで覚えていないのですが、週に2回もしくは一度程度出版しているような(求人情報ならばそれぐらいの頻度で市井に提供されないことには求職者にとって平等ではないようにも思えます。ただ求職者にとって週に2回も定期購読しなければならないという状況は尋常ではない出費を喚ぶことにもなりそうです)頻度であったように思います。

こんなに分厚い仕様で、そこまで頻繁に出版するというフットワークの軽さに驚いた記憶があります。割と他では見かけない紙質だったりもしたので、ああいった紙であれば低コストなのかなぁぐらいの想像しかできません。

an

その中で思い出せた名称がanでした。読み方はアンでいいでしょうか。おそらくいいでしょうね。

このanですが出版社はリクルートだと思っていましたが全く違った。

『an』(アン)は、パーソルキャリア(旧・学生援護会→インテリジェンス)が過去に発行していた、アルバイト・パートタイマー向けの求人情報誌および同社が運営していた求人情報ウェブサイト

人材をどうこうする企業はリクルートだけなんじゃないかという固定概念が何故かぼくの中にはあったようでした。リクナビとかの印象がよっぽど強いのか、考えれば他にも色々あるはずなのにですね。

それこそマイナビとかもリクルートだと思っていた。じゃなかったら毎日新聞のサービスの一部だと思っていた。

現代の勢力図としてはそれこそリクルートが発行しているFromAやタウンワークが台頭しているような雰囲気です(上記リンクより)。

あるいはanが提携先として2015年頃から台頭し始めたLINEを選び、アプリ用求人サイトを情報提供という形で設立しており、そのLINEバイトがanが撤退した後の提携先をマイナビとしているため、その2つが大きなポータルサイトとなっている感じでしょうか。

タウンワークまでリクルートなんですね。それぞれのタウンごとにワークを紹介するなら何かしらの独立行政法人が運営しているのかと思ってしまっていた。またタウンワークといえば無料で冊子が大量に置かれており、情報を無償提供してくれるイメージがあるため、より企業運営というイメージがなかった。

そしてFromAとanの区別が小さい頃それらを知った時期にはおそらくついていなかったように感じます。

現在ではanは無くなった。この世から消えてしまったという意味です。

雑誌媒体も2017年で休刊になった。しかしその2年後には全サービス終了が決まった。8月に発表して11月終わりに撤退なのでかなり計画的にプロジェクトが畳まれたのでしょうか。

anのはじまり

はじめはanという名前ではなかった。

1967年に学生援護会が首都圏で『アルバイトニュース速報』の題号で創刊した。創刊当時の価格は10円[4]。翌1968年には発行形態の「日刊」を前面に出し、誌名を『日刊アルバイトニュース』に変更[5]、「求められる人を求める人に」のキャッチコピーによるCMなどで知名度を上げ、関西、中京、九州など日本全国に進出し、1986年に誌名を『an』に変更する(副誌名として「アルバイトニュース」の名称は残す)。(Wikipedia)

ぼくらが生まれてくるずっとずっと前から日刊アルバイトニュースという名前ではなくなり、anになったみたいです。日刊であれば、上記で述べたような求職者にとっての機会損失も限りなく少なくできそうに思います。

当時を知る記者の面白い話が読めました。村上春樹のエッセイは物心ついた頃に読んだため知っているのですが、村上朝日堂ですね。

必ずしもアルバイトの話をしていないためアルバイト情報誌に載せる内容として適しているかどうかわかりませんが、朝日堂に掲載されている内容自体はバラエティに富んでおり読み応えがあると思います。

普通に読みたがらない人もいるであろう毛虫の話が載っていたり、挿絵担当の安西水丸を困らせるために豆腐の話が何回にも渡るほど続いたりした(どんな内容で連載を書いたとしても、安西が毎回挿絵をパーフェクトに仕上げてくるため何か画家としての安西を困らせることはできないかと考えた処、豆腐は絵として単純すぎるため、どういう挿絵にすればいいかわからないだろうという村上の弁)ため、オンタイムで読まれていた方々が抱かれた感想は意味不明でしかないというものだったのではないでしょうか……

そもそもanも後年、有料版を先に休刊し、フリー版のみが最後まで紙媒体として存続したようなのでそもそも求職者が金銭を支払って求人情報を求めるという形態は既に時流に即してはいないのかもしれない。新しいスタンダードとして合理的ですね。

日刊で求人情報を発信できていたという事実にも驚かされます。1967年とは全くバブル期でもないように思えますが、印刷業界が隆盛にあった時期だったのでしょうか。

別冊an

バブル期ついでに別冊anについても触れます。

夏と冬に年2回発行。夏季と冬季のリゾートバイトを中心に、農業などの求人情報も掲載する臨時号で、主に夏季はマリンリゾートや山間部を中心とした避暑地、冬季は発刊当時スキーブーム期であったため、スキーリゾート関連業種の求人を特集して掲載した。(同上)

避暑地やその逆(季節的な意味で)が流行るのはどうにもバブル期のイメージがあった。バブル期を経験したことがないためどうしても勝手なイメージを抱いてしまいました。

さらに重ねて勝手な言い分といいますか余計なお世話ですが、仮にanがサービス提供を続けていたとしても時勢的に別冊anだけは撤退せざるを得なかったように思えます。とはいえ年に2回の発行であるようなので、発令状況に依っては余裕で掲載数も増えたりするのでしょうか。

後記

単純に毎年新しい命が生まれ、つまりは職の業を遂行することが許される年齢層も新しく登場するため、求人情報媒体の供給がなくなるなんてことはないのではないだろうかとスムーズに考えてしまっていた。

今回調べたことはそのような勝手な常識はそんなに通用しないのだというものでした。

同社の担当者は「市場環境や競争環境の変化に伴い、競合優位性や収益性が低下していた」と説明、転職サービスの「doda」など主力事業に経営資本を集中するとしている。実際、アルバイト・パートの求人サービス業界では、慢性的な人手不足で求人ニーズがある一方で、海外勢の「indeed」といったプレイヤーの増加で市場の競争が激化していた。

お読みくださりありがとうございました。

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中村風景
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