ビート -心を解き放て- のかんそう
あまりに野暮過ぎる用事が積み重なったのか一ヶ月も映画をみずに生きてしまった。ヘッダ画像をお借りしています。
最近頭がヒップホップめいていて、英語のライムばかり刻んで生きているのでサウス・セントラルLAとかボーイズオンザフッドみてえなスラム街の黒人ミュージック的な映画を見たいと思った。
するとビート(心を解き放て)という映画があったので見始めるとなかなかのスラム街であり、古い映画が良かったのだが2019年で、昨今のスラム街でも携帯はスマートフォンであり、番地が違うだけで喧嘩を施すガキどもが別の番地からやってきてたちしょんしているところを撮影しているという始まりであり期待通りに心が震える。
するとクソガキ共を迎えに来たガキの一人のお姉ちゃんが、たぶん連中が粉をかけた番地の連中から報復を受けぶっ殺された。あまりに刹那的だ。始まって6分ぐらいしか経っていない。つまり5分程度でこの感想を書き始めているのだ。それぐらいビンゴだった。
奇しくもお姉ちゃんはクソバカな弟がちょっかいをかけた番地の連中に追われてたのを銃による威嚇で追い返してやった、つまりクソバカ弟を守ってやった直前に登場していたここいらの番長みてえなクソガキと元・同級生?かなにかで弟を迎えに来た時に、弟ぐらい自由に遊ばせてやれ=ギャングになりたがってる人材を連れ戻そうとするな、というようなことを言われていた。
それをガン無視して弟と帰路についていた時、あんな野郎になろうとしちゃだめだ、そのうち路地で死んでいるようなやつだと弟を諭していたさなかにぶっ殺される。母ちゃんはこれから職の業に行くから、せっかくクソバカ弟のぶんまでごはんを作ってくれていて、お姉ちゃんは作曲をしていたところだったのにバカを迎えに行かされたせいで死んじまった……
なにもぼくはこのひどい有様を体感して震えているのではなく、こんなひどいこと起きてほしくはない。しかしながらここまであっさりとひどすぎる事象を、主人公の体をなぞることで追体験できるという映画の底知れなさに改めて驚いたという意味で震えているのだ。ぼくが泣いているのはとても悔しいからです、とかつて吉田拓郎は謳ったが、ぼくが震えているのはとても恐ろしいからです。人の尊さ、優しさが残酷に踏みにじられるけど現実の誰一人として傷ついてはいない体験が映画ではできることに恐ろしさを感じているのだ。
恐ろしいのはこのあと90分ぐらい見ていたら、このガキはとんでもない精神疾患を負い、家からでられなくなった。姉の幻影を追いかけてトラックメイカーとなり、W主人公といえるロメロと出会う……とんとん拍子で歌作りの才能を発揮するかと思いきや母ちゃんが姉の死でいささかおかしくなってしまったようでガキを監禁状態にしてしまい、ロメロはかつて不義理をはたらいてしまったという業界仲間とまた新しく事業を始めるつもりだったが裏切られ……と話はうまく進まない。まさしくこれが映画だ
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