【新番組】環境戦隊エコレンジャー
「キャーー!」
「逃げろー!」
「うわーー助けてくれ~!」
「グヘヘヘッ!
逃げろ逃げろ人間ども!
わしのオシッコは猛毒だ!
これで1級河川を、
普通河川に下げてやる!
お前らもやれ!」
「ピー!」 「ピー!」 「ピー!」
「ピー!」 「ピー!」 「ピー!」
「待てっ!」
「誰だ!」
「そこまでだ、立ちション怪人!」
「勝手に変な名前をつけるな!
わしの名前はターションだ!」
「ほぼ一緒だ!
おのれターション!
この美しい河を汚すやつは、
我らが断じて許さん!
俺は、ここの天然鮎が大好物なんだ!
だからお前を倒す!
みんな変身だ!」
キラキラキラキラ!
スタッ!
「環境戦隊 エコレンジャー!」
ドカーン!
「水素グリーン!
俺は太陽光・風力など、
再生エネルギーで水素を作る!」
(急に説明が…)
「水素ブルー!
僕は化石燃料から水素を抽出し、
CO2を排出しない!」
(おいおい、なに言ってるんだ…こいつら)
「水素イエロー!
私は太陽光発電と、
原子力発電を使って、
二酸化炭素を電気分解!
だから私もCO2を排出しないけど…
ちょっと核廃棄物がでるのぉ…」
(後ろめたいせいで、
語尾の声がちっちゃい!)
「水素ターコイズ!
俺はプラ、プラズム?違う。
プラズマ…照射から…あれ、
何だっけ?おならと同じ…
メタン!
メタンを熱分解して、
水素をアレするんだ!」
(ちゃんと覚えてこい!
全然、説明が入ってこない!
しかも戦隊モノで、
ターコイズってなんだ!)
「水素ホワイト!
俺はよくわからないけど、
それ以外から抽出される水素だ!
詳しくはホームページで!」
(ざっくりしてるな!
しかも自己紹介、スマホで確認って!)
「水素ピンク!
原子力発電を使って、
二酸化炭素を電気分解!
だから私もCO2を排出しないけど…
ちょっと核廃棄物がでるのぉ…」
(おや?
さっき聞いたぞ、この説明…)
「ちょっと!
あなたは今回、
選考から漏れたのに、
なぜ、ここにいるの!」
「いいじゃない!
イエローは欲張り過ぎなのよ!
そっちは太陽光だけでいいでしょ!
原子力は私に譲ってよ!」
「それは国が決めたことよ!
あなたも従いなさいよ!
水素ブラウンと水素ブラックも、
分類が微妙で選ばれなかったでしょ。
あなた今日は、
彼らと事務所で留守番でしょ!
私が入れば事足りるんだから、
あなたも大人しく事務所戻りなさいよ!」
「ひどい!
私だって水素戦隊の一員なんだし、
たまには出撃させてよ!」
(おいおい、揉めるな揉めるな)
「ハハハハッ!
待たせたな!」
「誰だ!」 「誰だ!」 「誰!」
「誰だ!」 「誰だ!」 「誰!」
(ほんとに誰だ?)
「誰かって?
戦隊モノでは必ず、
後から加わるメンバーがいるだろ?
そう!
俺は7人目の戦士!
水素グレー!」
「水素グレー?」
「シルバーじゃなくて?」
「なんか…おっさんっぽい…」
「おっさんとか言うな!
細かいところはいいんだよ!
俺は化石燃料から水素を抽出する!
しかもガッツリCO2を排出する!
よろしく!!」
「ダメだろ!」
「CO2は!」
「核廃棄物でも肩身が狭いのに…」
「おいおい身内批判かい?
いいかよく聞け!
現在の生産されてる水素…
その95%を作ってるのは俺なんだぜ!
そう!オレは主役!」
「それを言われると…」
「返す言葉も…」
「………」
(何をやってるんだ…こいつら)
「待てい!!」
「誰だ!」 「誰だ!」 「誰!」
「誰だ!」 「誰だ!」 「誰!」
「誰だ?!」
(このくだり…まだやるのか?)
「真の主役は最後に登場する!
俺は…赤!
水素レッドだ!!」
「レッド?!」
「水素レッド!エースっぽい!」
「レッドなんてあった?!」
「ニセモノじゃないの?!
そんなの聞いたことないわよ!」
「お前らが知らないのも無理はない。
俺は未来のエネルギー。
核融合エネルギーによって、
水素を作り出すからな!」
「なんだって?!」
「まだ核融合って、先の話じゃないの?!」
「核融合って実証実験段階のはずだ!」
「驚いたろ!
真打ちってのはやっぱり、
派手に登場しないとな!
さらに俺の必殺技…お前ら驚くぞ!
名付けて!
クラスター中性子アタック!」
「ダメダメダメ!」
「もう名前からしてダメ!」
「敵味方全滅よね、それ!」
「ダメだ!
ちょっと!
みんな集まれ!
……
はい!かけ足!
……
もう1回…選抜会議やるぞ!」
「…」 「…」 「…」 「…」
「…」 「…」 「…」
「おいお前たち…。
オシッコして引き上げだ」
「ピー!」 「ピー!」 「ピー!」
「ピー!」 「ピー!」 「ピー!」
お疲れ様でした。