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ステルス値上げ革命

「では、袴田はかまだ大臣お願いします」
 
「え~、頼まれてもいないことを、
 やってしまうことで有名な、
 あの●●袴田です。
 
 これより新たな政策の、
 発表させて頂きます。
 
 物価高騰こうとうが以前続いているのは、
 皆様もご存知かと思います。
 
 政府としても様々な対策を講じてますが、
 世界情勢が不安定なこともあり、
 出口の見えない状況です。
 
 そんな中、よく耳にするのは、
 ステルス値上げの話題です。
 
 値段え置きで、
 内容量を減らす手法ですね。
 
 すでに実体験されてる方も、
 多いことと思います。
 
 世界的インフレにより欧米では、
 これが社会問題にもなってまして、
 裁判沙汰さいばんざたになってる国もございます。
 
 消費者の方からは量はそのままで、
 単純に値段を上げてくれという、
 ご意見も多く上がってるようです。
 
 ですがそれをしてしまうと、
 その商品は店舗に置いて貰えないという、
 きびしい裏事情もあるという話も聞きます。
 
 でも消費者の方々にすれば、
 誤魔化ごまかされた…
 だまされた感いなめないと思います。
 
 そこで私の考えた政策です。
 
 話の流れでお分かりかと思いますが、
 【ステルス値上げ防止法案】です。
 
 ご存知の通り各メーカーは、
 様々な方法で商品をアピールします。
 
 【◯◯%増量中!】
 【通常の約◯倍!】
 【美味しさ◯◯%UP!】
 
 でも値上げや、
 量が減った時はどうですか?
 
 知らさず…知らせず…
 こっそり商品棚に並べてますね。
 
 おかしくないですか?
 
 散々、増やす時は、
 派手な広告を打つのに、
 減らした時はそしらぬふり。
 
 だから減らした場合においても、
 商品にハッキリと明記するよう、
 各メーカーに通達することにします。
 
 この法案を通す前、
 いつものように特区内の、
 あるスーパーに協力をお願いしました。
 
 その店舗に納品するものに限り、
 ステルス値上げに関して、
 表記するよう各メーカーに指示しました。
 
 もちろんパッケージ変更は、
 膨大ぼうだいな費用がかかります。
 
 あくまで小規模な市場テストなので、
 各メーカー毎に、
 独自にシールを作って頂き、
 それを貼り付けるという方法で、
 実施しました。
 
 もちろんその費用は、
 私のポケットマネーでまかないました。
 
 そして私はその初日。
 当然、現地視察に。
 
 スーパーに入って陳列棚ちんれつだなを見ると、
 ステルス値上げとわかる商品が並んでます。
 
 ひと目でわかる手作りシール。
 
 では各メーカーが、
 どのような文言をシールに表記したのか、
 ここで紹介したいと思います。
 
 【20%減量】
 【2mm薄い】
 【30%ほど減量】
 【2cmぐらい短いかも】
 
 予想はしてましたが、ひどいものです。
 正直、唖然あぜんとしました。
 
 その減った容量と、
 品目数の多さに驚きました。
 
 私もこんなにステルス値上げが、
 横行してるのを目の当たりにして、
 初めて実感した次第です。

 お恥ずかしい話ですが…。
 
 ですがこのように、
 馬鹿●●正直に表記されてたのは、
 極一部の企業だけで、
 他はちょっとおもむきが異なってました。
 
 では、
 他の企業はどんなものだったか。

 いくつか、ご紹介しましょう。
 
 【20%減量!
  糖質30%OFF!
 
 【30%減量中!
  ダイエット中にもうってつけ!
 
 【内容量1キロダウン!
  これであなたも1キロダウン!
 
 どうです?
 この転んでもただでは起きない感じ。
 
 この逆転の発想。
 
 さらに…
 
 【こまかくコンパクトに!
 
 【可愛くリニューアル!
 
 【開けてビックリ!
 
 この3つを見たときには、
 不謹慎ふきんしんとは思いながらも…
 …笑ってしまいました。
 
 きっと、
 企業や商品イメージを下げないよう、
 知恵しぼったんだろうなと、
 うかがい知れたからです。
 
 私もこの政策が、
 根本的な解決にもならないのは、
 重々承知じゅうじゅうしょうちしております。
 
 そして物価を下げるのが、
 容易でないことも…。
 
 私がしたかったのは、
 皆様の中にくすぶってる、
 このモヤモヤを取り除きたかった。
 
 日本人も…
 日本の企業も…
 正直で誠実に頑張っているのだと。
 
 そうあってほしいと。
 
 昔、ある会社が、
 10円の値上げのために、
 わざわざCMを流しました。
 
 海外からはあの会社は変だ。
 おかしいCrazyと言われ、
 笑われたりもしました。
 
 でも、私は日本らしいと思いました。
 消費者を大事にする日本。
 
 政府もインフレをおさえるために、
 精一杯努力します。
 
 これは日本人の心のための政策です。
 
 いつか本当に、
 皆様と笑えるその日が来ることを願って

 

このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。 

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