愛の神
何万人もの人々が、
たったひとりの人物の、
一挙手一投足に注目している。
静かに現れたその人物は、
大衆に向けて口を開く。
「私の可愛い子羊たちよ!
今宵は皆に、
私の偉大な力を授けよう!
心して使うがよいぞ!」
「はは~。
ありがたき幸せ」
「思い願ったものが実体化する力じゃ!」
「はは~」
「ただひとつ!
これだけ守るのだ。
その力を使用した際、
どのように願ったか…
どのようなものが現れたかを、
必ず私に報告するように。
よいな!」
「はは~。
仰せのままに」
「では次は7日後にまた会おうぞ。
あとは良きに計らえ」
教祖は社の奥へと消えていった。
「ラッキー!何これ!
ものすげえもの貰ったじゃん!
教祖の力やべえ!
これで大金持ちじゃん!」
「そうか!
これ打ち出の小槌だ!
俺、今日で仕事辞めるわ!
これ毎日、願ってるだけでいいんだろ!
一生、楽できるじゃん!」
信者は次々と自分が望むものを、
力で生み出します。
そして信者たちは逐次、
その願ったものと、
それによって出現したものを、
教祖の側近へと報告する。
そして側近はその全てを記帳した。
実はこの力…
1日3回という制限があった。
教祖は神のお告げとして、
強い信仰心により、
10回まで増えると信者に伝えた。
信者は力で得た金を、
お布施として教祖に捧げる。
すると寄附者の金額に応じて、
振る回数が少しずつ増えていく…。
信者はどんどん豊かになり、
教団も比例して大きくなっていく。
「教祖様~
教祖様~」
「私の可愛い子羊たちよ!
お主らのお陰で私は、
また新たな神の力を手に入れた!」
「おお~教祖様~」
「この力を使えば、
森羅万象すべてのものを、
私は想像できるようになった!
ついに時が来た!
我が教団は独立国家として建国する!
お主らの信仰心と願いが、
私の原動力となったのだ!
感謝するぞ!」
「おお~教祖様~。
勿体なき御言葉~」
「私はこの神の力を、
大和の瞳と名付けた!
これがあれば我は無敵ぞ!」
「おお~AIの神よ~
おお~AIの神よ~」