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AI-February

男性がAIアプリを起動する。
 
「AI二月へようこそ。
 
 お客様の要望にお応えした、
 物語の設定をお作りします。
 
 何かご要望ございますか?」
「え~と…
 じゃあまずは…」
 
「わかりました!
 バズりそうな物語ですね。
 うけまり醤油!」
 
「うけ溜まり醤油って何だよ。
 何だこの独特なAI。
 まだ何も頼んでないのに」
 
「まず話は恋愛モノにしましょう。
 
 話の流れとしては…
 
 ヒロインは引っ越し初日に、
 男子生徒と街で偶然出会います。
 
 このファーストコンタクト初めての接触で、
 二人は顔馴染かおなじになります。
 
 そして翌日。

 男子生徒のクラスの1時間目。
 担任に転校生として呼ばれたヒロインが、
 教室に入ってきます
 
 ここで男子生徒の…
 
 「君は、あの時の?!
 
 この台詞も絶対外せません。
 
 「なんだよお前、知り合いか?」

 友達のこの台詞も欲しいですよね。

 クラスが二人に注目し、
 いつの間にか話題のカップルに。
 
 そしてそれを面白くなさそうな顔で、
 見ている女子生徒も外せませんね。
 
 冒頭での三角関係成立マスト必須です。
 
 ここまでどうです?」
 
「結構いい感じですよ、これ!」
 
「ではこの二人に、
 キーアイテムを持たせましょう。
 
 何がいいですかね~。
 
 持ち運べて…
 身に付けられて…
 それを最後に見て感動するモノが、
 いいですよね?」
「そうですねえ…」
 
「じゃあ序盤じょばんに二人には、
 水族館に行ってもらいましょう。
 
 そこで思い出のキーホルダーを、
 買ってもらいましょう。
 
 そしてその大事なキーホルダーを、
 ヒロインはうっかり落としてしまう。
 
 それをなぜかライバルが拾い、
 それによって二人の関係が、
 こじれてしまう。
 
 そして話の終盤に、
 それが無事に戻ってきて、
 二人の絆を証明する。
 
 どうですか?」
 
「いい!凄くいい!」
 
「話の序盤は二人はいい雰囲気で進みます。
 
 ですが中盤にかけて、
 二人の暗い過去が明かされます。
 
 ヒロインは過去のいじめ。
 男子生徒は毒親問題。
 
 そのトラウマを乗り越えるべく、
 終盤にかけて二人はある挑戦をする。
 
 どうです?」
 
「完璧な設定!
 これなら最後、みんな泣きますね!
 
「喜んでもらえてよかったです。
 
 あとは脇を固めるキャスト考えましょう。
 
 二人の温かく見守る良き理解者として、
 地元のお年寄りか、もしくは先生という
 脇役は入れておきたいですね。
 
 ヒロインには、
 引っ越す前の幼馴染おさななじみの親友をひとり、
 追加しておきましょう。
 
 ヒロインの身に何があったとしても、
 信じてくれる親友
ってやつです。
 
 最後はこの人達みんなで大円団。
 
 めでたしめでたし…。
 
 あっ!忘れてました。
 
 基本的なところなんですが、
 まずロケ地となる舞台は地方の、
 映えスポットがある場所にしましょう。
 
 丘や海辺にがあるといいですね。
 
 青春アオハルラブコメディなので、
 綺麗な映像美を全面に出しましょう。
 
 音楽も人気アーティストが、
 恐らく手を上げてくれると思います。
 
 ミュージックビデオのような作りで。
 
 テンポのいい音楽に合わせて、
 映像に疾走感を出せば、
 いい感じになりますよ」
 
「全く異論ないです。
 これで進めて問題ないでしょう」
 
「あとひとつ。
 予告映像しみなく、
 名場面を切り抜いて、
 最高傑作のものにして下さい!
 
 予告が全てです!
 
 予告さえ凄ければまあ何とか、
 トントンぐらいの興行成績は確定です」
 
「なるほど。
 早速、この設定で会社に、
 プレゼンしてきます!
 ありがとうございました!」
 
数日後。
 
「AI二月へようこそ。
 
 お客様の要望にお応えした、
 物語の設定をお作りします。
 
 あっ!
 この前、お見えになられた方ですね?
 
 前回の設定はどうでしたか?
 
「結局、駄目でした。
 ボツになりました
 
「どうしてですか?」
 
「私がプレゼンした後に、
 全員が口をそろえて言ったんです
 
「なんと?」
 
それ見たことある!!って
 
「まあわたくし…
 人の作ったものを、
 学習してパクってるだけですから…ね♪
 
 

このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。 

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二月小雨
お疲れ様でした。