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勇者クエスト ~サガ2~
前回はこちら。
ロールプレイングゲームを買った。
調子にのった自分は、
誤った選択肢を選んでしまい、
ゲーム続行不可能に。
そして……
「はあぁ~~。
課金しちゃったよ。
しかも安いプラン選んだら、
王様の前で土下座から始まるなんて、
勇者がこんな格好悪い旅立ち方するの、
初めてみたよ。
土下座と350円でゲーム再開。
あまり深く考えないことにしよう…。
よし!
気を取り直して魔王を倒しに行くか!
とその前に、街で情報収集だな。
旅先の情報は大事だから、
ここは面倒でも、
一軒一軒聞いて回らないと。
まずはこの家から行くか」
近くの二階建ての民家に入る。
リビングに人気はない。
部屋を見渡すと隅にツボが置いてあった。
「これもあるあるだな。
ツボの中にアイテム。
何でゲーム内では、
わざわざこのツボ割るんだろうね。
中覗いて取り出せばいいのに。
まあ細かいことはいいか」
ガシャーン!
勇者は薬草を見つけた。
「ラッキー!
でもちょっとこれ臭いな」
「そこにいるのは誰ですか?
ん?あなた様は勇者様?」
老婆が声を掛けてきた。
「すいません。
驚かしてしまったみたいで」
「てっきり泥棒かと。
勇者様、何かご用ですか?」
「何か耳寄りな情報はないですか?」
「外に出ると魔物が出ます。
特に森の魔物は強いので、
最初は平地を歩くといいですよ」
「なるほど、なるほど。
初歩的な情報だな。
他に情報はないですか?」
「孫娘にでも聞いてみて下さい」
奥から現れた若い娘。
「じゃあ早速、娘にも聞いてみよう。
何か耳寄りな情報はない?」
「私のタンスは絶対、
勝手に開けないでよね!」
「おっとこれは何かあるぞ!
ゲームの世界では、
ツボの他にもゴミ箱、
クローゼットにタンスの引き出し。
これらを調べるとアイテムが、
見つかることがある。
この娘が開けるなと釘を差すのは、
開けると何か入ってるという、
前フリみたいなものだな。
わかってるわかってる。
そしてまだ最初の街だから、
どうせ父ちゃんのパンツとか、
モモヒキが出てくるんだろ。
娘のタンスだから、
ムフフなものが出てくる淡い期待を、
笑いで落とすという手法。
思春期男性ゲーマーが、
落胆するところだな、ここは。
それでも私は、あえて開ける。
なぜなら気になるから。
よし開けるぞ!」
勇者はセクシーな下着を見つけた。
「おっと、これは!
以外な展開!」
「キャーーー変態!!!」
「ちょっと待って!
いや、騒がないでお願いだから!」
「通報よ!
通報ーーー!!」
ゲーム画面が消える。
そして…
真っ赤な画面に、
ビックリマークと警告の文字。
【あなたは人として、
あるまじき行為をしました。
よってあなたの個人アカウントで、
この非道な行為をSNSで拡散します】
「ええ~~!!
ゲーム内のことなのに~!!」
【私、◯◯◯◯は、
人の家に勝手に上がり込み、
10万円のツボを割りました。
そして中の高級高麗人参を盗みました。
被害額は35万円。
器物破損・窃盗で飽き足らず、
その家の娘の部屋に不法侵入。
挙句の果てにタンスから、
娘の下着を拝借し、
娘に見せびらかしました】
「止めろ~~!!
頼むから止めてくれ~!!
何でゲームのアイテムに、
ガチな値段がついてんだよ~!
しかも最後にやってもいない、
炎上用の燃料みたいな文章くっつけて!
その文章は絶対に誤解されるって!!
はっ!
またチュートリアル!
何か書いてあるに違いない。
【チュートリアル選択】」
【注意事項】
ゲーム内とはいえ、
この国にも現実世界と、
同等の法律があります。
それを破ったものには、
それなりの懲罰を与えます。
【謝罪して許してもらいますか?】
はい
いいえ
「何だよそのルール。
そしてまた選択肢…。
こんなの【はい】に決まってるって」
【どのように弁明しますか?】
1.ちょっとムラムラしちゃって
2.ほんの出来心ってやつでして
3.そこにタンスがあったから開けた
「これは…どれを選んでも、
ヤバいんじゃないの?
……はっ!
わかった!
古株ゲーマーなめるなよ。
今まで様々な難問を解決し、
クリアに導いてきた、
過去の経験から…
この場合の選択肢はこれだ!
……
……
……」
「弁明はしないのですね。
言い訳はせず、罪を認めるその姿勢。
初犯ということもあり、
その態度に免じて今回は、
執行猶予付きとします」
「良かったぁ~。
ありがとうございます。
やっぱり、何も選択しないで大正解。
これでまた魔王討伐の旅に出れます」
「異議あり!
被告のア◯ゾン購入履歴に、
いかがわしい商品がありました!
この人物は信用するに値しません!
あと老婆から、
損害賠償の訴えも出ています!」
【ここからゲームは裁判モードに入ります】
「頼むから、
魔王倒しに行かせてくれよ~!」
このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。
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