美しいものが、生活を変える
絵のオーナーになった方が教えてくださった漫画『乙嫁語り』
表紙をめくると、赤い紙を一枚跨いで本編を読めるようになっています。(見返しという部分)
触れた瞬間、美しいと思いました。
一枚のその紙が、無性に心地い。
同じ紙が一枚、机の上に置かれているだけではダメだったと思う。教えてくださった人、タイミングと、あのお話に綴じられていたことが、大切だったと思います。
この一枚の紙は、わたしの方向性を明確にしてくれました。
本の単価は670円。
けれど、作者の方の細やかな描写・丁寧に調べられたのであろう中東ーアフリカの民族の世界観・物語を紡ぐことの意味を、深く考えて作られたのであろう装丁と編集
そこには、本の単価以上の価値がありました。人生に長く寄り添い、心潤してくれる何かがある。実際、わたしの目線すら変えてしまったのだから。
美しいものは、生活を変える。
作中にも、手仕事で作られる刺繍の話や、職人さん、生活のためによく働く人たちの話が出てきます。
ものを作る・働くということの豊かさと、ゆっくり流れる時間のなかにある情緒について伝えてくれる、大切なお話が詰まっている漫画です。
この世界に残る美しいものは、そうして作られてきました。これからも、物はそうあってほしいと思います。なぜなら、ものの後ろにあるストーリーは、必ず人に伝わるから。
手にする美しいものが、高価である必要はありません。
本当に心に触れる、丁寧に作られたものであれば、どんな年代・どんな値段のものにも、生活を変える可能性は含まれています。
美しいものを、無縁のもの・手に入らないものとは思わず、心に響くものを、進んで手にとっていける人生を歩んでいけたら。
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