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現代海外文学のトップランナーがわかる『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち』

こんばんは、古河なつみです。
以前にこのnoteで「本好きがこっそり見に行く図書館のとある「ジャンル」とは?」という記事を書いたのですが、思いのほか反響が大きかったので、この時の記事では紹介しきれなかった変わった書評集(正確には文学史・作家論というジャンルです)を一冊紹介したいと思います。

ちなみに前回の記事はこちらです↓


『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち』とは?

青月社という出版社さんから2014年に発売された本です。
タイトルの通り、おそらくノーベル賞候補として名前が挙がるであろう海外の名作家たちについてその作品のあらすじや、作家の持ち味などがわかりやすく紹介されています。

特徴的なのは紹介されている作家について詳しい方がそれぞれ解説してくださっているアンソロジー形式になっている所です。

38人もの作家を紹介しているので、短めの文章に要点がまとまっていてわかりやすく、そして作家に対する深い洞察と愛を感じます。
この作家のここがいい! という所をきっちりプレゼンしてくれているので、どの解説を読んでも「あっ、これ読んでみたいな……こっちもいいなぁ……!」とウキウキできます。

さらに、この作家が好きな人はこっちも読んでみるといいよ~!といった読書案内のコーナーもついているので、どんどん読書の世界が広がっていきます。

司書的にも助かった「アメリカ・ヨーロッパ圏以外の作家」についての情報

海外で重要視されている現代作家のリストでもあるので「アジア・中東・アフリカ圏の作家」と「海外詩人」の評価の高い作家たちの貴重な情報が得られてレファレンスの時にとても助かりました。

ちょっと脱線しますが、アメリカ・ヨーロッパ圏以外の作家の情報や翻訳本って、本当に少ないのです……ようやく最近になって韓国文学ブームや中国文学の『三体』シリーズのヒットが出て、徐々に日本に紹介される本も増えてきました。図書館や本屋さんでアジア文学・中東文学・アフリカ文学のコーナーを覗くと、意外な本との出会いがあると思います。

私の最近のオススメはチベット小説『風船 ペマ・ツェテン作品集』(ペマ・ツェテン著/春陽堂書店)です。映画版の『羊飼いと風船』も考えさせられるお話だったのでヒューマン系のミニシアターがお好きな方にはオススメです。

的中率の高さもすごい!

2014年に出版された『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち』ですが、「おお……あの本で紹介されてた作家さんが獲ったのか……!」と驚く瞬間がその後何度もありました。

特にびっくりしたのがノーベル文学賞史上、おそらく一番賛否両論となったボブ・ディラン氏のサプライズ受賞をこの『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち』はちゃんと予想していたのです。

他にも2015年のスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチさん、2017年のカズオ・イシグロさん、2019年のペーター・ハントケさんも的中させています。

ここ数年、ノーベル文学賞の選出基準が変わってきたと言われていることと、この本に紹介されている作家さんが2023年1月時点までに何人も亡くなってしまっているのを鑑みると、やっぱりこの本はすごいと思います。

2014年に刊行されてから少し年数が経ってきたので、また第二弾の『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち』が発売されたらいいなぁ~!と密かに思っている一冊です。
もしご興味を持っていただけたら、図書館や書店さんにお問い合わせしてみてくださいね!

ここまでお読みくださりありがとうございました!
それでは、またの夜に。

古河なつみ

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古河なつみ
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