「英語などの諸外国語を習得する以前の大前提条件-それは日本語力(母語能力)の強化-」
今回は、母語である日本語力を高めることが、自己形成や外国語学習、ひいてはグローバルな場での成功にどのように結びつくのかということについて詳しく考えていきます。
1. 日本語(母語)語彙能力の強化
語彙力の意義
日本語の語彙は、単に言葉の知識にとどまらず、次のような面に深く関わっています。
思考の深みと柔軟性: 言葉は思考を形作る道具です。例えば、「感謝」「畏敬」「無常」など日本語特有の概念を理解し、使いこなすことで、豊かで深い思考が可能になります。
具体例: 複雑な社会問題を議論する際、語彙が多い人ほど、異なる視点を理解し、論点を明確に整理できます。
コミュニケーションの精度: 語彙が豊かであれば、自分の感情や考えを正確に表現でき、他者との誤解を減らします。
具体例: ビジネス場面で「お詫び申し上げます」と「失礼しました」では印象が異なります。適切な表現が信頼関係の構築に繋がります。
語彙力を鍛える方法
読書の多様化: 古典、現代文学、ニュース記事、専門書など幅広いジャンルの本を読むことで、新しい言葉や表現を学べます。
例: 夏目漱石の『こころ』を読むと、「自我」や「道徳」といった哲学的テーマに触れ、独特な表現に親しめます。
語彙ノートをつける: 日々新しく学んだ言葉を記録し、文章や会話で実際に使うことで定着させます。
2. TPOに応じた日本語(母語)会話能力の向上
なぜTPOに応じた会話能力が重要か
日本社会では、相手や状況に応じた言葉遣いが特に重視されます。これには、文化的背景や社会的文脈を理解し、適応する能力が含まれます。
敬語の正確な使用:
日本語特有の敬語システム(尊敬語・謙譲語・丁寧語)を正確に使うことで、相手に敬意を伝えられます。
例: ビジネスメールで「ご確認ください」と書くべき場面で「確認して」と書くと、不適切であるとみなされる可能性があります。
場面に応じた話題選び:
公の場、親しい友人との会話、フォーマルなビジネスの場では、それぞれ適切な話題や言葉遣いがあります。
例: 上司との会話では、自分の意見を述べる際にも「恐れ入りますが」「もし差し支えなければ」といったクッション言葉が必要です。
文脈を読む力: 日本語では、特に暗黙の了解や察し文化が重視されます。直接的な言い回しを避け、婉曲表現や文脈に基づく推測が求められる場面が多いです。
例: 「検討させていただきます」という表現は、文脈によっては「お断り」の意味になることもあります。
会話能力を向上させる方法
実践を重ねる: 異なる場面での会話を意識的に練習します。ロールプレイングや実際のビジネスシーンでの練習が有効です。
話し方の参考例を観察: ドラマやニュースのアナウンサー、ビジネスマンの話し方を参考にし、どのように表現しているかを分析します。
3. 日本語(母語)での文章読解能力の向上
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?