空の入り口で本を買う【#散歩日記】
多分、疲れていたのだ、心から。
一向に減らない仕事、グチばかりの同僚たち。
なんだかすべてがうんざりで、何もかもうまくいかない気がした。
こんな日は、気分転換するに限る。
お散歩気分で、空港に出向くことにした。
私が住む博多の街は、最寄りの福岡空港までおよそ10分。あっという間の距離である。
別に旅に出なくても、ぷらっと空港散策が楽しめるのだ。
空港のデッキに出て、飛行機が飛び立つのを眺めるのが好きな人、空港グルメを楽しむ人など、さまざまだ。
私のお気に入りは、空港に入っている書店である。
空港書店のいいところは、ただ本を選んでいるだけでも、旅立つ人の高揚感でこちらまで心浮き立つ気持ちになれるところ。
発着の短い時間でも本を選びやすいよう、見やすい陳列にしているところだ。
その日もスーツケースを引いて、これから旅に出ようという方、あるいは出迎えに来て到着を待つ方などで、空港は賑わっていた。
なんだか他人のウキウキ気分がこちらにも伝わって、エネルギーをもらえる。
空港って不思議な場所だ。
TSUTAYA BOOKSTORE 福岡空港店は、
コンセプトが『“旅”と“仕事”を心地よくする本屋』だそう。
「旅に連れていく本、旅をわくわくさせる本」がテーマなので、気分が上がる書籍を提案してくれる。
今回、手に取ったのは、枡野俊明・著『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力』である。
普段、私が好んで読んでいるのは小説である。
空港の書店じゃなきゃ目に入らなかったと思う。今のくさくさした気分じゃなきゃ、手にも取らなかっただろう。
いわゆる自己啓発本に目がいくのは、自分の心の状態がちょっと傾いてる証拠だ。
選んだのは、ビジネス書ランキング2位だったからというのもあるかも知れない。
自分の気持ちの持ちようで、人生って変わる。
今日は、改めてそんな本を読みたい気がした。
著者は「世界が尊敬する日本人100人」にも選ばれた僧侶であり、庭園デザイナーもなさっているお方だそう。
私にとって、はじめましての方だ。
パラパラめくると、快適に生きる術が1ページに大きく書かれていて、次ページに禅の教えを元に優しく解説してくれる。
もう、ホントそれ。
わかっちゃいるけど、ついつい自分を変化させずに人を変えようとしちゃうんだよなぁ。
で、人が変わってくれないことでイライラして。
じゃ、自分をコントロールするには、どうしたらいいの?
って方法が、いくつも提示してある。
きっとねぇ、書いてある言葉は「もう知ってるよ!」ってことばかりだと思う。
でもその「知ってるよ!」が、なかなか実行にうつせないんだよな、これが。
この本は読みやすくて、ささくれた私の心にするりと入ってきた。
気になったページ、どこからでも読めて、見開きで完結しているから、とってもお手軽だ。
もう割りきって、ドライに生きていいんだよって教えてくれる。
読んでいる内に、キリキリしていた気持ちが少しほぐれていた。
気分転換って大事。
お散歩に空港の書店を選んだのは、正解だった。
いつの間にか、イライラした気分が解消されていた。
ちなみに福岡空港の書店は、有料で入室できるカフェラウンジがあって、窓の向こうに飛び立つ飛行機を見ながら、休憩できるそう。
時間がある時に、利用してみたい。