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食べきれるだけ、売ってください

世の中には「○○使いきりレシピ」とか「調理して小分けにして冷凍」とか、食材を使いきるためのテクニックが情報としてたくさんあります。

しかし私のように面倒くさがりで、世帯規模もお財布も胃袋も小さい人間にとっては「使いきるための努力をするくらいなら、最初から一回で使いきれるだけ売ってくれればいいのに」と思うものもたくさんあるのです。

1、野菜と果物

なぜか青果物というのは袋か箱かパック単位で売りたいもののようです。
なかにはバラ売りもありますが、すごく種類が少なかったり、あからさまに鮮度が悪かったりします。
ピーマンやナスのように、せっかく1個がひとりぶんにちょうどいい大きさに育ってくれているものまで、わざわざ5個くらいに計量してポリ袋に詰めるのは手間なうえあまり地球にやさしくない気もしますが、売る側にはそれを上回るメリットがあるのでしょう。

「みかん、1個ずつ売ってくれないかなあ」というのが長年の希望でした。果物のように傷みやすく冷蔵庫に入れておけばどんどん風味が落ちるものをどうしてキロ単位で売りたがるのか不思議です。実家は5人家族でしたが、それですら箱買いしたみかんを最後には腐らせていました。
たとえば1パック2千円のいちごとか、桐箱入り5千円のさくらんぼとかは、私のような者には死ぬまで買う機会はないと思いますが、もし「1粒単位」で売ってくれるなら、せいぜい100円程度ですから、プチ贅沢として手が届かなくもありません。駄菓子を買うよりヘルシーですし、最近の果物はすごく甘いので、どのみちそんなにたくさん食べられるものでもないです。どんな高級品でも腐ってしまえばただの生ゴミなので、お金持ちが食べきれないほど買うよりは、みんなに少しずつ食べてもらったほうがいいのではないでしょうか。

2、連結されたパック

なぜか納豆は「3個パック」で買わないと許されないもののようです。
1個売りのものもありますが、選択肢が少なくたいてい高級品で、下手をすると1個で3個パックより高かったりするので手が出せません。
うちでは「納豆1個余るの法則」があり、必ず賞味期限切れになります。納豆菌というのはけっこう作用の強いものなので、猛烈に食べたくなるときもあれば、どうしても喉を通らない日もあるんですよね…。もちろん納豆は賞味期限切れでも食べられるので捨てたりはしませんが、味は悪いです。
10個パックの卵、3個セットのヨーグルト、5個連結されたハムも同様です(1個売りは選択肢が少なく…以下同文)。

調味料や佃煮・漬物なども、以前は「この量を『開封後はお早目に』使いきれるわけがないだろ!何を考えてるんだ!」と思うようなものが多かったのですが、さすがに最近はメーカーも目が覚めたのか、個包装も選べるようになってきました。ただ残念なのは、せっかく個包装なのに20個セットだったりするので結局使い切れないのですね。1度に1個買えればいいのですが。

3、外食

デカ盛りだのメガ盛りだのギガ盛りだの「量が多い」ことを売りにするお店はありますが「食べきれるだけ」売ってくれるお店はなかなか見つかりません。

普通のメニューを見ても、ガテン系の人か、運動部の男子高生を基準にしているとしか思えないことがあります。たとえ男性だとしても、40過ぎたデスクワークの会社員の食事量としては多すぎではないでしょうか。
もちろん量の少ないお店もありますが、高級店か女子向けのオシャレなお店だったりして、なかなか手頃なごはんに適量ありつく、というのは難しいです。「選択肢は回転寿司だけ、それも2皿が限界」とか「麺とセットのミニ丼だけ単品で頼めればいいのに」とか「なんならお子様ランチでいい」とかいう少食の人は、そもそも外食自体をあきらめていることもあります。

「必要なものを必要なだけ」というサービス

環境問題だとか食品ロスだとかで、消費者に「食べ物を無駄にするのはやめよう」と呼びかけられていることはよくあります。
一方で売る側に「食べきれるだけ売るように」と指導が入っているのはあまり聞きません。
お店が在庫を抱えれば損になってしまいますが、お客さんの冷蔵庫で腐るぶんにはかまわない、という事情もありそうです。

もちろん「大家族で、週末に車でまとめ買いをするからいつも大容量を買っている。そのほうがお得で便利。食べきれないことなんかない」という人もいると思います。
ただ、大容量しか選択肢がない状態では1個買うことはできませんが、バラ売りされているものはまとめ買いすることを妨げるものではありません。10個必要なら10個買えばいいのです。

お店が必要以上のものを売りつけるために、体が欲していない量を無理して食べたり、カロリーの摂りすぎで肥満になったり、不安を感じながら期限切れで劣化したものを食べたり、作り置きしてラップに包み冷凍するような作業に忙殺されたり、というのはどうも納得がいきません。

「割高でもいいから少量規格の高級品を買えばいいじゃないか。外食も毎回量を減らしてもらうように頼めばいい」という考え方もあります。

ですが、ひとりぐらしだったり、車を所有していなかったり、胃腸が弱くて少食だったり、まとめ買いできるだけの余剰資力がなかったり、といった人ほど負担のかかる仕組みというのはどうなんでしょうか。

「必要なものを必要なだけ売ってくれる」ということがサービスとしてきちんと評価されるようになればいいな、と思います。

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