晴れる

図書館司書。図書館業界、読書術、書評、仕事と生活をあれこれ書いてます。

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マガジン

  • 図書館

    図書館全般についての記事をまとめています。

  • 「提案」シリーズ

    社会制度改革の提案集です

  • 料理・食生活

    しがない図書館員の食生活術、効率よくおいしいものをつくる工夫です。

  • 【小説】おいしいものを、すこしだけ(無料版)

    図書館司書が書く、図書館司書の登場する小説です。 全23話(完結済)

  • 図書館のお仕事紹介

    あまり一般で紹介されないマニアックな業務を解説しています。

最近の記事

  • 固定された記事

図書館のお仕事紹介(番外編) とある司書の一日

これまで図書館の各業務について個別にご紹介してきましたが、では具体的に私の一日のなかでどういう流れになっているのかを解説してみようと思います。 実際には時期によって業務は異なり、たとえば蔵書点検の時期は朝から晩までぜんぶ蔵書点検だったりしますので、比較的バランスの良い日を想定しています。 また、規模の大きな図書館では担当業務がもっと細分化されていることが多いのでここまであれこれやっていないでしょうし、逆にワンオペの図書室などではひとりですべての業務をこなさなければなりません

    • 「責任の重さが違う」という謎理論

      「責任の重さが違う」。 この言葉が問題なのは「格差を正当化するために持ち出されることがほとんどだから」です。 現代では、正社員と非正規の格差を説明する理由に挙げられることが多いですね。 これに対して「責任とは具体的にどのようなものですか?たとえば賃金格差が年収で300万円あるとしたら、どの責任がどれだけの金額に該当するのか、内訳を示してください」と言ったら、たぶん誰も答えられないです。 責任の定義があいまいなことは、異議を唱える者を脅す効果があります。「なんだかわからない

      • 司書の雇い止めで話題になった、狭山市立中央図書館に行ってみました

        先日、用事があって埼玉県にある狭山市駅周辺で時間を潰さなければならず、近くの狭山市立中央図書館に行ってみました。 ここは、2023年に図書館司書の雇い止め問題で話題になったところです。 我々図書館業界人のあいだでも(悪い意味で)話題になっていました。 どうせならもっと素敵なことで話題になっている図書館に行きたかったのですが、仕方がありません。 図書館に一歩入って感じたのが「空いている」ということです。 館内には数えるほどしか利用者がいません。1階の児童書フロアでは靴を脱

        • 税金=悪なのか?

          先日の衆院選で、賃上げを公約に掲げる政党が多かったですが。 それに対して「賃上げより減税や社会保険料の値下げをしてほしい。国民負担率を下げろ」という声があり、実際「消費税を5%に」とか「消費税ゼロにする」という政党までありましたね。 ですが、それってどうなんでしょうか。 私自身、少ない給料から容赦なく税金と社会保険料を引かれている身ですが、税金を安くしてほしいとは思ったことがありません(給料は上げてほしいです)。 もし政府が「わかりました、税金も社会保険料もゼロにします

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        図書館のお仕事紹介(番外編) とある司書の一日

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        記事

          中小企業の人手不足解消法を考えてみました

          中小企業の人手不足が深刻だそうで、人手不足倒産なんかも問題になっていますね。 だったら、大企業の社員さんに中小企業で働いてもらう、というのはどうでしょうか。 大企業に就職すると、もれなく中小企業でのアルバイトがセットで付いてくる、という仕組みです。 具体的には、大企業社員は大企業では8割までしか働けず、残りの2割は人手不足の中小企業でしか働けないことにします。 所定労働時間が週40時間の社員なら、大企業で働けるのは週32時間までで、残りの8時間は中小企業でアルバイトです

          中小企業の人手不足解消法を考えてみました

          図書館の電子化はなぜ進まないのか?

          「もうすぐ紙の本は滅びる、これからは図書館も電子の時代!」みたいなことは、思えば何十年も前から言われていた気がします。 何十年も経った今、「そうはなってないな」というのが正直な感想です。 たしかにコロナ禍を機に、私の勤め先でも来館せずに使えるサービスを増やそうという動きはありました。実際に電子書籍・電子ジャーナルも拡充していますし、利用者向けの電子資料活用講習会にも力を入れています。 ただ、図書館業界全体としては電子化が急速に進んでいるとは言えず、紙の本に取って代わるには

          図書館の電子化はなぜ進まないのか?

          「スキ」を押す基準

          自分の記事に「スキ」を押していただけるのはもちろんとてもうれしいことですが、たまに先方のプロフィールや投稿の傾向と私の記事内容がまったく結びつかず「もしかしてまちがって押したのかな?」「けしからんと思って『キライ』の意味で押されたのかな?」と戸惑うことがあります。 逆に私が「スキ」を押した相手にも同様の不安を招いているかもしれないと思い、自分が「スキ」を押す基準をまとめてみることにしました。 実用的「スキ」・役に立つ情報が含まれていたので後で参照しよう ・時間が無くてざっ

          「スキ」を押す基準

          信用できない言葉・3選

          ①率直に批判してください賭けてもいいですが、そう言う人は率直に批判すると怒ります。 「率直に批判してください」と言われてわかることは「率直に批判していいんだな」ということではなく「この人は批判するのに自分の許可が必要だと思っているのだな」ということです。 「率直に批判してください」が意味するのはせいぜい「批判に見せかけて実はそれほど批判ではないことを言ってほしい」とか「自分の許容範囲内で批判してほしい」とかいったことです。 逆に「自分は弱メンタルなので批判しないでください

          信用できない言葉・3選

          パンがないなら、ソーダブレッドを焼けばいいじゃない

          各種物価高騰に加え、追い打ちをかけるように米も高いとか、なんなら売ってないとかいう今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。 パン屋さんも大変だろうなと思うのですが、この価格だと私のような者にはたまのご褒美ならともかく、日々の食事としてベーカリーでパンを買うというのはちょっとためらってしまいます。 というわけで、ソーダブレッドを焼くことにしました。 ソーダブレッドのいいところ何と言っても簡単、そして失敗しないところです。 普通のパンと違ってイースト菌を発酵させるとか、寝かせ

          パンがないなら、ソーダブレッドを焼けばいいじゃない

          日本人の武士好きと公家嫌い

          私は「信長・秀吉・家康」的な歴史ドラマはそんなに観ないのですが、今回の大河ドラマは初めて平安貴族を主人公にしたものとあって、初回から興味を持って観ています。 前回の放映でおっと思ったのは、武士の台頭を危惧するような台詞が出てきたことです。 (たしか「このままでは武力によって支配しようとする者たちがのさばってしまう…!」みたいな主旨だったと思います) 同時に朝廷が武力を持つことを促すような台詞も出てきます。 たしかに「征夷大将軍」という地位を設定してその後の武家政権の礎を準

          日本人の武士好きと公家嫌い

          配偶者控除で優遇されているのは主婦ではありません

          配偶者控除という制度をざっくり表現すると「妻の年収が低いと夫が税金をまけてもらえる」&「妻の年収が低いと妻の所得税や社会保険料がかからない」制度と言えるかと思います。 (妻が夫を扶養している世帯もあることは承知していますが、説明を簡単にするため、この文章では納税者=夫、被扶養者=妻と表現することをご容赦ください) この「年収が低い」認定のボーダーラインが103万とか130万とかなので、「103万の壁」「130万の壁」と言ったりしています。 この制度の廃止をめぐる議論で、よ

          配偶者控除で優遇されているのは主婦ではありません

          通勤中に音楽を聴かなくなったら、ディラン効果がひどくなった話

          「ディラン効果」をご存知でしょうか。 「ある瞬間から頭の中で同じ音楽が繰り返し再生されて止まらない」状態を指します(イヤーワームとも言うそうです)。 さて、私は電車通勤中に音楽を聴くのをやめて1年以上になります。 やめた理由は「人身事故による遅延」のような重要車内アナウンスを聞き逃したことがあって耳を塞いでいるのが不安になったのと、やはりイヤホンの長期使用は耳に悪いのではと思ったからです。 これはこれで軽快なので良かったのですが、最近ふと「もしかしてディラン効果が増えてな

          通勤中に音楽を聴かなくなったら、ディラン効果がひどくなった話

          書見台のすすめ

          本を読むとき、大活躍してくれるのが書見台です。 見出し画像の書見台はむかし実家の親をそそのかし、通販で買ってもらったものですが、もう20年くらい愛用しています。 書見台を使うメリット眼が疲れない 本を水平に置いて読むと、意外とページの上下で眼との距離に差があって、焦点を合わせるのに疲れます。 (下のほうが近く、上が遠くなるわけですね) 書見台に立てることによって眼との距離を適切に保つことができるので、眼の疲れ方が全然違います。 固定されているので、手で持ったときのようなブ

          書見台のすすめ

          図書館におけるブルシット・ワーカーの事例

          図書館に、こんな人がいます。 仮にXさんとします。 Xさんは職員として図書館に出勤しているので、傍目には「司書さん」に見えるかもしれませんが、まったく司書ではありません。 人事異動で図書館に配属された一般職員です。 貸出・返却やレファレンスなどの利用者対応、配架や書架整理、本の装備や分類・書誌データ作成、展示の企画、壊れた本の修理など、世間でイメージする図書館司書の仕事はいっさいやっていません。 私の見る限り本好きでもなく、まして図書館というものに何の愛着もなく、自身

          図書館におけるブルシット・ワーカーの事例

          シフト制育児という提案

          要するに「たとえばお父さんが月・水・金で働き、お母さんが火・木・土で働く。仕事に行かない側が交互に家で子どもの面倒を見る」という制度です。 (この曜日でなくてもかまわないでしょうが、隔日のほうが「その件でしたら明日には担当者が出勤して処理しますので」という対応ができますから職場でフォローしやすいのではないかと思います) この制度のメリットは以下のとおりです。 保育園に預けなくていい保育料もかからず、送り迎えもいりません。子どもが急に発熱して預けられないとか、早退して迎え

          シフト制育児という提案

          図書館リサイクル本の転売について

          私の勤めている図書館では、定期的に除籍本を利用者に無料配布しています。 対象となるのは置き場のなくなった複本や、古くなって資料価値がなくなったもの(ソフトウェアのマニュアル本とか)です。 ただこの無料配布本、「もしかして転売されているのでは…?」という疑惑を感じることがあります。 とくに事前予告したわけでもないのに初日からごっそりほぼ全部なくなっていたり、上下巻の下巻だけとか、スーツケースでないと持って帰れないような大型本で「どうせ誰ももらわないだろうけど一応置いておこう

          図書館リサイクル本の転売について