【ショートショート】危険なアジト
オレは高原にあるコテージだ。
青い屋根と白い壁が印象的な、小さな家である。
家族連れの夏休みやワーケーション、女子会など、さまざまな用途に対応する。
明日の客は男三人。ヤバそうな雰囲気がふんぷん。予約ページに入力された住所はデタラメで、名前も架空のものだ。
オレは契約している探偵事務所に連絡し、メールアドレスや携帯番号から情報を洗ってもらった。
本名が割れた。特殊詐欺グループらしい。
すぐに地元の警察に通報する。これがオレの本来の仕事。
ミナミ刑事に代わった。
「やあ、ブルースカイさん。あなたの情報はいつも確かだから助かるんだ」
翌日、詐欺グループがやってきた。
リーダーらしい中年男性と若い長髪の男がふたり。
入退室はスマホをかざして行うことになっている。かれらは部屋に入るなり、盗聴器や隠しカメラを探し始めた。
そんなものにひっかかるオレではない。
三人は安堵の表情を浮かべると、鞄からパソコンと多数のスマホを取り出した。オレオレ詐欺か。
ふたりはさっそく寝室とリビングに分かれ、電話をかけはじめた。
その様子はすべて記録している。
証拠となるデータは刑事に送信した。
ミナミ刑事たちは翌日の午後、オレを取り囲み、犯人を逮捕した。
リーダーは愕然としている。
「いったい、どこでバレた」
(了)
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