マガジンのカバー画像

朗読用ショートショート

平日にショートショートを1編ずつ追加していきます。無料です。ご支援いただける場合はご購読いただけると励みになります。 朗読会や音声配信サービスなどで自由にご利用ください。その際に…
このマガジンに含まれているショートショートは無料で読めます。
¥500 / 月 初月無料
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

目次

この記事はマガジンを購入した人だけが読めます

深川岳志
3年前
52

【ショートショート】異音

「じっそーや、じっそー」  外からのどかな声が聞こえる。 「あ、ちょうどいいや」  オレは…

深川岳志
6時間前
5

【ショートショート】告白

「あなた、野崎砂男さん?」  オレは驚いた。若い女性、しかもクールビューティーと称してい…

深川岳志
2日前
7

【ショートショート】電球のない読書灯

 鄙びた高原に旅したときのことである。  町に一軒しかない雑貨屋に立ち寄ったところ、妙な…

深川岳志
3日前
7

【ショートショート】田舎の仕事

 田舎に移住した。  借りたのは田んぼのなかの一軒家。  ある程度の貯金はあるが、収入は確…

深川岳志
5日前
8

【ショートショート】大きな男

 自分がモテないのは身長のせいであるとコバヤシは思っていた。  身長一六〇センチは、男性…

深川岳志
6日前
4

【ショートショート】革命前夜

 神様は老人ホームにいた。  もぢろん、ホーム側は気づかない。本来は空き部屋のはずだが、何年も前からそこに神様(仮称タナカ)が入居していると思い込んでいる。 「タナカさーん、ご飯ですよー」  介護士のイマムラがドアを開けて、タナカに声をかけた。  タナカは大きな食堂に行った。  長机にずらりと並べられたプレート飯と味噌汁。  大音量の大型テレビ。 「うわあ。すっごいおいしいです、このシフォンケーキ!」  とタレントが甲高い声で叫ぶが、食堂は静けさに包まれている。  タナカは目

【ショートショート】カツカレー

 昼休み、オレたちはビルの食堂に行った。  昔はいろいろな店が並び、さらに各店にはメニュ…

深川岳志
9日前
9

【ショートショート】石臼の庭

 定年退職して一戸建てにひとりで住んでいると、あっと言う間にひとりぼっちだ。  予想して…

深川岳志
10日前
5

【ショートショート】無名

 ぼくは頭にスチールの輪っかを装着した。  自動的に電源が入って、頭上、数十センチの高さ…

深川岳志
11日前
9

【ショートショート】進撃のミミズ

 自分はミミズである。  前世は人であった。  息子の様子がおかしいとおもったら、上司がパ…

深川岳志
12日前
8

【ショートショート】雑貨の泉

 火曜日は定休日。  私はゆっくり眠って、好きな時間に起きる。  朝食をとってシャワーを浴…

深川岳志
13日前
9

【ショートショート】家の下

 まっ暗で、温かい。土の匂いがする。  っていうか、これ、土なのでは?  不意に記憶が戻っ…

深川岳志
2週間前
4

【ショートショート】井戸移動

 朝刊を取りに出て、ちらと庭を見た。金木犀が一本生えているだけの細長い空間だ。 「あっ」  端のほうに見慣れぬ木枠があった。 「井戸だ」  私は思わず呟いた。  移動する井戸はSNSで拡散された都市伝説である。  失踪した人は、井戸のなかにいる。だが、井戸はすぐに移動してしまうので、二度と地上に戻ってくることはない。  ならば、それを言っているおまえは誰だと思い、いままで信じないできたが、本物の井戸を目にしたからには嫌も応もない。  私はすぐにホームセンターに走り、縄梯子を買