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変な話『永田ックレコード』
三月十四日、月曜日。
大学生の永田は、目覚めた。時計は、十二時を回っていた。午前中の講義を寝過ごしていた。
既婚者の永田は、仕事の昼休憩を使って、職場の目の前にあるケーキ屋で妻へのバレンタインのお返しを買う為に列に並んでいた。
年老いた永田は、病室のベッドからイケ好かないナースに文句を付けようと、ナースコールを連打していた。
何も言えない永田は、満員電車に揺られながら、知らないおじさんに足を踏まれていた。
ズボラな永田は、一年間ため込んでしまった明細書や領収書の山をため息混じりに眺めていた。
夜勤明けの永田は、コンビニで買ったカップ麺を食べ終わり、そのまま眠りに就こうとしていた。
グラビアアイドルの永田は、撮影現場のケータリングの前で、美味しそうな差し入れのマカロンに手を出そうか、出さまいか葛藤していた。
窓際社員の永田は、年下の上司からクビを宣告されていた。
二十三歳美容師見習いの永田は、好きな人とランチデートの最中であった。
母になる永田は、第一子を出産した。
永田は、天寿を全うした。
永田は、ぎっくり腰を労わりながら、うどんを捏ねていた。
永田は、信号待ちをしている最中に天使と遭遇した。
永田は、「わかっちゃった人」と遭遇した。
永田は、何処にでも存在する。だから大丈夫。