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祖母との温かい思い出がいっぱい詰まった「栗きんとん」と「水ようかん」
新年を迎えるにあたり、「おせち料理」はかかせないもの。
健康、長寿、金運などおせち料理にはおめでたい意味が含まれています。
その中で金運を意味し、黄金に輝いている「栗きんとん」
そして、我が家ではもう一つ大切なものがあるのです。
それは、冷たくさっぱとした甘さの「水ようかん」
「栗きんとん」と「水ようかん」
これだけは和のスイーツとして、毎年私がこだわって手作りしています。
そしてこれこそが私にとって、祖母との温かい思い出がいっぱい詰まった大切なものなのです。
♦上品な甘さの「栗きんとん」作り
大晦日の午前中。
私は栗きんとん作りを始めます。
まずは、下準備から・・・
選ぶさつまいもはホクホク食感の「紅あずま」
①さつまいもを3~4㎝の厚さに切り皮をむいたら、すぐ水に浸し1時間ほどしたら水気を切ります。
色付けには「くちなしの実」
②くちなしの実を軽く割り、だし袋に入れておきます。
下準備が終わったらいよいよ栗きんとん作りの始まりです。
①さつまいも、くちなしの実を鍋に入れてさつまいもを柔らかくなるまでゆでます。(このときのゆで汁は残しておいた方がいいです)
②さつまいもを細かく刻み、とっておいた少量のゆで汁と上白糖2/3を加えて裏ごしします。
この裏ごしは、私には大変な作業に感じます。
さつまいもに熱さがまだ残っている状態で、柔らかくする効果のある砂糖を加えての裏ごし。
これが意外に重労働なのです。
③鍋に移し、残りのゆで汁、上白糖、栗の甘露煮のシロップ、みりん、塩を加え、混ぜながら弱火にかけます。
④栗の甘露煮、水あめを加え、鍋に線が書けるまで詰めたら火からおろし、トレイに開け粗熱を取ったら冷蔵庫で冷やし出来上がりです。
煮詰める作業も、優しくかき混ぜながらの作業。
冬の寒さなのにここだけは夏の暑さのようになります。
栗の甘露煮は、いろいろと試しましたが、我が家は「富澤商店」さんの「国産栗甘露煮」が一番あっている感じがします。
国産はお値段も高くなるので、外国産、国内産とわず自分のお好きな食感と味で選ぶといいですよ。
さあ、これでほどよい甘さの我が家の「栗きんとん」が出来上がりました。
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大晦日の夕方近くなると「水ようかん」作りを始めます。
♦優しい甘さの柔らか食感「水ようかん」作り
まずは、下準備から・・・
①棒寒天をたっぷりの水で6時間くらい浸しておきます。
②葛粉をごく少量の水で溶かし、茶こしでこしておきます。
下準備が終わったら「水ようかん」作りの始まりです。
①水につけておいた寒天を引き上げ、水を加えて火にかけます。
②木杓子でゆっくりかき混ぜながら、沸騰したら弱火にして寒天を溶かしきります。
③寒天が溶かしきっていることを確認したら、砂糖を加え、再度沸騰させたら火を止めます。
④ふるいでこしながらボウルにうつし、不純物を取り除き、再び鍋に戻します。
⑤小豆漉し餡を加え、沸騰させ、強火から弱火にしながら溶かします。
⑥火を止め、水で溶いた葛粉を加え、沸騰させます。
⑦火からおろし、冷水にあてて、木杓子で混ぜながら少しとろみがでるまで粗熱をとり、人肌まで冷まします。
⑧粉ふるいでこして、ダマをとりながら型に流し、冷蔵庫で3時間くらい冷やしたら出来上がりです。
水ようかんは、材料は意外と少ないのですが、手間がかかりますね。
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これで水ようかんも完成しました。
♦あの頃の祖母の味に少しでも近づきたい
100歳まで精一杯生き抜いた祖母。
私が幼い頃から、おせち料理はすべて祖母の手作り。
特に祖母の作る「栗きんとん」と「水ようかん」は絶品でした。
お正月に、あたり前に食べていた「水ようかん」
これは全国では珍しいことなのですね。
最近気がつきました。
栃木県の我が家では、普通にお正月のお膳に並んでいました。
はっきりした理由は分からないのですが、ねっとりとした甘さの「栗きんとん」とさっぱりした「水ようかん」の相性は抜群なんです。
是非、一緒に取り入れて頂きたい組み合わせです。
栃木県日光市にある「鬼平の羊羹本舗」といったら、誰もが美味しいと言ってしまう「水ようかん」があります。
さっぱりとした優しい甘さで、とても柔らかくて粗末に扱うと崩れてしまいそうな繊細な絶品水ようかん。
祖母の作ってくれていた水ようかんは、まさにそんな感じの水ようかん。
本当に美味しくて、私が値段をつけて販売したくなるくらい。
「そんな祖母の水ようかんに少しでも近づきたい!」
そう思って、漉し餡の種類や寒天の量にこだわり続けてやっと今の配分にたどり着きました。
「あっ!これかもしれない。」
そう思った瞬間、祖母の優しい顔が思い浮かびました。
祖母の作る栗きんとんもいつも絶品。
いつもお知り合いに配るため、大量に作るので家中甘い香りに包まれていました。
出来上がった水ようかんと栗きんとんを、毎年一番最初に私に味見させてくれた祖母。
少しは祖母の味に近づいたでしょうか?
そんなことを思いながら、私は毎年栗きんとんと水ようかんを作っています。