体力のある娘と体力のない母。
#20240412-381
2024年4月12日(金)
体力って、どうしたらつくのだろう。
ノコ(娘小5)を見ていると、つくづく私と異なる生き物だと感じる。
里親家庭である我が家は、夫はもちろん、娘であるノコ、私と家族3人全員血のつながりがない。遺伝子上、似るはずはないのだが、見事なほど自分の子どもの頃と重ねることができない。
私は成人するまで入院するような大病はしなかったが、とにかく体が弱かった。
とはいえ、生まれたときから虚弱体質なのかはわからない。
なんせ母によると、私が3歳まで育った家は車通りの激しい国道沿いで外遊びに出せなかったという。父は高度成長期と若手ということもあり、仕事に忙しかった。帰宅は遅く、休日は日曜日のみ。自動車の運転免許証を持たない母の日々は、家事と私を背負っての買い出しで過ぎていったという。
近所に同じ年頃の子どももいなかった。
私は1人静かに黙々とブロック遊びをするような子どもで、外遊びをせがまなかったらしい。
外遊びをあまりしなかったから、運動神経が発達しなかったのか、体力がつかなかったのか、それはわからない。
よく熱を出し、腹を壊していたのを覚えている。
寝ている時間が長かったせいか、よく空想はした。天井を見つめては、もし世界が上下逆ならどうすれば別の部屋へ移動できるか考えた。逆さまの世界ではドアのノブはかなり高い位置にある。引き戸ならともかく、開き戸となると部屋を出るのでさえ苦戦する。
親は私の体に気を配ったし、頻繁に「無理しないの」といわれた。
自分の限界を試すような無理や無茶はご法度だった。
子どもの時分の私が今のノコのような生活を送っていたら、とてもじゃないが、夜までもたないと思う。
私とて、ノコにハードな日程を課したいわけではない。
習い事は本人の希望によるものだ。
学校の宿題が夜遅くまでかかるのは、本人が遊びを優先したからだ。
最近、ますますノコとの体力の差が大きくなってきている。
夕食後、眠気と戦いながら食事の後片付けと翌朝の準備を済ます。洗い物などをためると、あとで自分がうんざりするから、なんとか気力で乗り切る。
風呂から出ると、もうダメだ。
目が開いているのやら、閉じているのやら。
意識はあるつもりだが、瞼がおりていることもある。
いや、それは完全に寝ている!
そういや、電車で通学、通勤しているときも立ったまま寝るのが得意だったことを思い出す。
うつらうつらしていると、ノコが宿題の丸つけをしてくれとノートをぐいぐいと押し付けてくる。
答えがある宿題ならいいが、頭が寝ているので小学生の問題とはいえチンプンカンプンだ。字を目で追うことすらできない。
もうダメじゃ……
早朝出勤だったむーくん(夫)は、居間のソファーでうたた寝をしている。
「ごめん、ノコさん、ママ、限界……」
30分後にタブレットのアラームをセットし、横たわるむーくんの腹の上に置く。
明朝もむーくんは早朝出勤ゆえ、そう遅くまでソファーで寝かせてあげられない。
なんとか丸つけを済まし、ノコにノートを返す。宿題はまだあるという。
「あとは、パパに、いって……」
よろよろと立ち上がり、廊下の壁に寄りかかりながらズリズリと寝室へ向かった。
結局、ノコは宿題が終わらず、23時に寝たという。
むーくんは日をまたぎ、1時に目が覚めてベッドへ入ったという。
アラームが鳴った記憶はないと2人ともいう。どういうことだろう。
子どもは起きていて、親が起きていられない夜、ほかの家庭はどうしているのだろう。
気力体力で目を見開き、頑張っているのだろうか。
今後、ノコが成長するにつれ、夜遅くまで起きていることが増える。遊びであれ、勉強であれ、翌日をこなせるのならノコに早寝を強いることはどんどん難しくなる。
そういえば、受験生時代に先に休んだはずの母が起きてきて、リビング学習をしている私にいったことを思い出す。
「いい加減に寝なさい!」
母なりに心配で深く眠れなかったのだろう。
今の私なら、気をもむより睡魔が圧勝して、朝まで熟睡してしまう。
ノコには悪いが、本当に身も心ももたないのだ。