源氏、読むしか! (仮)#1-前編 「光る君へ」にハマるふたり
登場人物紹介
高橋
東京在住。往来堂書店の文芸・文庫・海外文学・フードカルチャー棚担当。
最近の悪癖は、深夜にたこ焼きを焼き始めること。
小腹(以下「ばら」)
京都在住。イラスト・デザイン業。
つい毎日カフェに行ってしまう。おのれ、京都め…。
収録日:2024年1月29日
課題範囲=「桐壺」「帚木」「空蝉」
近況報告etc…
高橋
さてさて、いよいよ読み始めたわけですが、最初の感触としてはどんな感じかしら。
ばら
今のところ「ハマってる」って感じではなくて。でも、大河のおかげもあってか、進んでは、いる…!
高橋
ほうほう。こちらは逆に「どっぷりハマりかけ」って感じかな。
ばら
マジでか。というと?
高橋
翻訳が合ってるのかなあ、と思ったな。すっきりとしていてエレガントなんだけれども、格調高すぎてとっつきにくい感じはなく、程よくプレーン。
ばら
角田訳もプレーンさあるよ。
高橋
たしかに、お店でパラパラ見た感じそう思った。すいすい読めそうだなって。
ばら
あとがきで、そもそも角田さん自身が「源氏物語にとくべつな愛着があるわけでもない、平安時代や古典文学にくわしいわけでもない」と言っていて。だから、客観性高めというか…「まず読む源氏物語」って感じなのかも。あまり知らない状態から着手したっていうのはうちらもだし、近い立場から読めてるんだと思う。
前回から三週間くらい経ったけど、なんか買ったりした?
高橋
いろいろ買ったね。まず形から入ろうと思って、『源氏』専用のノートをおろしたよ。グレージュのロルバーンLサイズに、フラワー柄のプロテクターをつけたやつ。写真送ったね。
ばら
あら、私もロルバーン沼に住んでますよ? クリーム色のLサイズを普段使いしてるわ。こんなおしゃれなの売ってんだ。
高橋
上野のスミスだったかな、このプロテクターは直営店限定みたい。かわいらしすぎず、派手すぎずで気に入ってます。さっそく今回からガシガシ書いてる。
本も何冊か買いましたよ。まず、前回も話題になってた岩波文庫ね。ひとまず最初の巻だけ買ってみました。
お値段は張るけど、いいねこれ。ウェイリー版を読み進めながら、気になったところだけ参照してるんだけど、あるのとないのとでは解像度が全然違うや。注も助かる。
ばら
ふううん…注あるのはいいなあ。
高橋
さっきウェイリー訳はプレーンと言ったけれど、単語単位でみると癖があって。前回も話したかな。基本的に登場人物名は全部カタカナだったりするわけですよ。あとは、家具とかしつらえとかが、イギリスの読者が想像しやすいような単語に置き換わってたりするわけ。ベランダ、とか、ワインカップ、とか。
ばら
(ページ参照…)帚木の「雨夜の品定め」のところか。ウェイリー的にはワインカップだったんだね、あの空気感。
高橋
そうそう。面白いよね。ただ、ばらちゃんと違う訳で読んでるから齟齬があっちゃいけないと思って、それで岩波でちょこちょこ確認してて。その分自分の理解度も上がるしね。古文の知識が高校以来とんでるから、まあイマイチつかみきれないところはあるんだけど。でも改めて見比べてみるとなかなか面白い。古文単語ひとつとってみても、こんなに噛み砕いて訳しているのをみると、一単語にどれだけの意味が込められていたかわかってねえ。
ばら
いやあ、じゃあ買うかあ、岩波を…………。
高橋
岩波はどうかねえ、まあちょっとみてみてもいいかも。全巻買うとなかなかに高いんで。
ばら
ンンンーーーーー(脳内算盤中)。
高橋
あと、買ったけど読んでない『更級日記』。
ばら
(笑)前回話したけど、三宅香帆さんの記事に引用されていたね。
高橋
これは、角田役と同じく河出の「日本文学全集」の文庫化ですね。江國香織訳。まだ全く読んでないんだけど。
菅原孝標女の日記なんだけど、この人が『源氏物語』にずっと憧れてて、それが日記にも出てくるらしいんだよね。元祖強火オタク的な。ちょっと話逸れるけど、「らんまん」って観てた?
ばら
あー、観てなかった!
高橋
「らんまん」でね、主人公・万太郎(神木隆之介)の妻・寿恵子(浜辺美波)が滝沢馬琴オタクなのよ。夢中になって『南総里見八犬伝』読み耽って、「尊い!」とか叫んでて。まあこの描写は現代に寄せたものだけど、当時の人たちもそうやってエンタメとして楽しんでたんだと思うと、急に親近感が湧くよね。菅原孝標女もそんな感じだったのかなって思って、読んでみようかと。
ばら
夢中になってる人が語ることって面白いよねえ。
高橋
まだ全く読んでないから推測でしかないんだけどね。薄くて級数も大きめだから、結構すぐ読めちゃうんじゃないかなと思ってます。あとは時間作るだけ……。
「光る君へ」みた?
ばら
大河、観ました?
高橋
三話まではみた! 昨日の四話はまだ観れてない〜〜ごめん。どうやら大きな動きがあったらしいね。
ばら
うむ………。まひろが五節の舞で、実は〇〇が〇〇で、〇〇が〇〇の〇だってことを知ってしまうんだけどーーー
高橋
申し訳ない。なんか大河もそうだけど、ドラマ自体観るのが久々だったから、張り切ってちょこちょこメモとりながらじっくり観てて。巻き戻したりもするから思った以上に時間かかっちゃってね。いやあ、すごいね今作。どれだけしっかり観てるつもりでも、まだまだ取りこぼしてる情報があるんだろうなと思う。
ばら
ほんとにね…。ツイッターで考察している皆さんの力を借りてるよ。大河は毎年TLが盛り上がるけども、今年もすごい観てて楽しい。
高橋
ぬえさんの記事送ったよね、あれはすごいね。自分ひとりじゃああいう考察には到底辿り着けないだろうなって思う。
古典作品ってさ、なんだろう、単体だけじゃ完結しないというか。作品同士の関係性だったり時代背景だったりを知っておかないと、ちゃんと理解できない感があるよね。
ばら
そうなんだよね、本当は自分でわかりたいけど、無理だから有識者の皆様がそのあたりを辿ってくれていて、感謝。ぬえさんと南天さんの連載も、追います!
ばら
そんで、どうだね、3話までは。
高橋
いやあ、道兼ですよ。一話の最後は衝撃だったね。
ばら
ね~、、、、、!!!
高橋
悪いことしたヤツ、ではあるんだけど、よくよく人物造形を見ていくと、根っからの悪人というわけではないことがわかってくる。悲しきモンスター、と簡単に言ってしまうのもアレだけどさ。
ばら
一話の時点ではまだ本人が成熟しきってなくて、それが故にああいう傍若無人ぶりを発揮する、という感じがあったんだけど、話が進むにつれて(=成長するにつれて)罪悪感みたいなものが芽生え出してしまってるんだよね。
高橋
次男坊であるがゆえの苦しみが、一話の事件以降も垣間見える。まずお父さんの兼家が相当狡猾だよね。長男を守るための捨て駒的に次男を使ったり、毒を盛らせる任を担わせたり。あとはまあ、「男としてこうあるべき」みたいなこともお母さんから言われてたっけ。
道兼に限らず、「役割」というのがすごく顕著な作品だなと思ったね。まあ身分のこともあるし。詮子(吉田羊)も、「天皇の子を産む」という役目のために入内して、産んだんだけど結局天皇とはうまくいかずで。
ばら
そうだねえ。みんなレールに乗っからされててキツそうだな~と思いながら観てる。
高橋
そう、まひろは逆に、性別によって役割から外されたというか、「女がこんなに勉強してもね」みたいに言われちゃう。レールに乗せてもらえない苦しみも、描かれているんだね。
ばら
道兼の話だけどさ、当時って血や死に近づくと「穢れ」にふれてしまう、という考え方だったじゃない。お父さん(兼家)が「じゃあ汚れ仕事は道兼にさせよう」って判断したのも、道兼の粗暴さに加えて根底にある「穢れ観」だと思うし。それで、道兼の悪行に拍車がかかって、本人の意思とは別にどんどん加速してしまって…。
高橋
悲しきモンスターだね。なんだか知らないけど、道兼視点で観るのがしっくりくるな、このドラマは。
ばら
なんで?????自分のこと道兼だと思ってる???
まあ、見どころのあるキャラだよね、今後も道兼がストーリーを動かしていくであろう。
高橋
それでさ、気になってネットでちょろっと調べたりしたらさ、「歴史というネタバレ」を喰らってしまってね。
ばら
あー。
高橋
まあ薄目でしか見てないんだけど。今後のストーリーに大きく関わってきそうな史実に触れてしまって。歴史モノって史実との向き合い方が難しいよなあと。知識がほとんどない状態だからこそ、なおさらね。ぜーんぶ情報入れた上でも楽しめる作品だとは思っているけれども。
ばら
あんまりネタバレされたくない派? そういうの。
高橋
うーん、普段もネタバレは踏みたくない派ではあるんだけど、歴史をネタバレとするのか、前提とするのか、バランスがわからなくて。歴史モノのフィクションはまったくと言っていいほど触れてこなかったからなあ。
ばら
私は逆に、あらかじめ展開知ってた方が好きかもな。現状歴史ものに慣れてないからわかりやすいほうがありがたいし、あのシーンがどう描かれるのか、とか、演出にもワクワクできる。
高橋
なるほどねえ。ともかく、ハマりそうですわ、『光る君へ』。
ばら
私も今のところ、『源氏』より『光る君へ』の方が面白くて笑
高橋
ちょっとわかる笑
ところどころに『源氏』とのリンクが仕込まれてて、併せて楽しめるのもいいよね。
ほか、なにか近況的なことはある?
ばら
あとまあ、ただの近況なんだけど、来週引っ越すんだよね。二条のほうなんですけど。
高橋
おお!
ばら
内裏のほうに近くなりますので。
高橋
栄転ですね。
ばら
そう、出世したんですよ笑 なので建物とか、遺跡とかももうちょっと見に行けたらいいなって。
高橋
いいなあ、京都行きたいなあ。大河終わったタイミングで行こうかな、でもその頃なんて特に混んでるかね。
ばら
京都はいつ来ても混んでるからいつ来ても大丈夫だよ?
高橋
ワハハ。まあ『源氏』完走した後にでも行こうかね、一年後ぐらいになるかなあ。
ばら
1回と言わずに。2回、3回でも。
高橋
ガハガハ。
読み進めてみて、どうよ?
高橋
今回は「桐壺」「帚木」「空蝉」の3帖を読んできたけれど、実際に読み進めてみて、どう?
ばら
内容に関しては、まだそんなに言いたいことも少なくて…。ハマってないから思うようには進まないわけですよ。それで、音読することにしたんだけど。
高橋
ほーう。音読。
ばら
んで、声に出してみて思ったけど、和歌の読み方って結構難しいなって。和歌とか手紙でやりとりする貴族たちも、ふとした瞬間に声に出して読んでしまっていたのではないかと思うんだけど…音声機器のない時代、これは高度なテクニックが必要だぞ、と思った。当時の発声を聴いてみたい…。
まあ、単に音読って難しいよね、って話だな、これは。
そちらはどんな感じで読んでるの?
高橋
こまめに注を参照しながらウェイリー版を読み進めて、表現に気になるところがあれば適宜岩波で原文参照、って感じかな。あ、でもその前に『源氏物語の解剖図鑑』に目を通してますねー。これは本当に買ってよかった、すごく重宝してます。
ばら
私も先に読んでる。やっぱり本文と注だけじゃ掴みきれないよね。
高橋
現代小説みたいな読みはできてない気がする。知識が増えるにつれて解像度も上がっていくといいんだけどね〜。
ばら
ね〜。
高橋
でもなかなかいいペースで進んだな。分量としては、ウェイリー訳だと「桐壺」〜「空蝉」までで110ページくらい。角田訳もそんな感じかな?
ばら
そうだね、それくらい。
高橋
ひと月に3帖ずつ進めるのがちょうどいいかな。あ、でも次の3帖は結構長いんだな。
ばら
んん、まあこれくらいだったらいけそうかな。序盤はまだ有名がゆえに読みやすいし。来月も3帖でいいと思います。
高橋
『源氏』は全体で54帖、割る3だと18ヶ月くらいかかる計算になるのか。どこかでガガっと進めたいね。一年ちょっとで完走したい。
ばら
徐々にペースを上げていくのだ。
高橋
じゃあ次回は「夕顔」〜「末摘花」で。ちょうどここで岩波は一冊目が終わりますね。
ばら
角田訳も一巻が終わるよ。
高橋
ああ、そうなんだ。ウェイリー版はまだまだだね。ぶあつい。
ばら
これは文庫化しないのかなあ。
高橋
いや〜〜しないだろうね。まだまだ単行本で売れるだろうし。
そうだ、このウェイリー版の毬谷+森山姉妹訳なんだけど、一巻の巻末に訳者あとがきがあって。ここも先に読んじゃいました。なかなか興味深いことが書いてあったよ。
ばら
ほーう。
高橋
この前「戻し訳」の話をしたじゃない。なんでわざわざ英語に翻訳されたものを日本語に戻すんだろうって。お二人は今回の戻し訳のことを「螺旋訳」と呼んでいるそうで。
ばら
らせん。
高橋
ヘーゲルの提唱する「螺旋的発展」という概念が下敷きにあるんだと。よく「歴史は繰り返す」とか言うじゃないですか。
ばら
はいはいはい。
高橋
世の事物はくるくると円を描くように繰り返している。でもそれは円ではなくて、バネのようなものなのだと。真上から見るとたしかに同じところをループしているように見えるけれど、横から見るとちょっとずつ階層が上がりながら回っている。この戻し訳もそれなのだと書かれていて。
ばら
ほえ~。
高橋
面白いよね。たしかに日本語から出発して日本語に戻ってきてるんですよ。だけどただ同じ道を辿って戻ってきたわけじゃない。紫式部が書いてから900年くらいして英訳するときに、当時のヨーロッパの文化的背景とかもちょこっとずつ含まれて、それからさらに100年経って改めて日本語に戻す、となると現代の感覚とか見地とかもまた添加されて……と、段階を経るごとに蓄積されていくわけです。
ばら
なるほどねえ。色んな人の手に渡っていくのは、演劇とか、音楽のremixとか、二次創作とかと似てるけど、ガッツリ時を超えているスケール感は古典ならではだ。実際に読んでみないと体感できなさそうだし、気になるね。
高橋
そうね、ぜひ実物を見てほしい。
「桐壺」
高橋
さてさて。まず桐壺ですね。いよいよ物語が始まります。書き出しのあたりとか、まさに授業でやったところ。なんとなく覚えてたな。
ひとつ思ったのが、源氏のお母さん、桐壺更衣自体の描写がやけに少ないなって。見た目とか性格とか、ほとんどね、説明されてないんですよ。
ばら
あー、たしかにそうか。ほとんど書かれてないね。
高橋
見た目に関しては、亡くなった後にちょろっと言われてはいるんだけど、なぜこんなにも帝の寵愛を受けたのか、みたいなところがあまり明かされていない。いやいや、そこ重要じゃない?と思うんだけど、あまりにもあっけなく死んでしまったから、そこが気になって。
身分的に、中宮にはなり得ない「更衣」というポジションにもかかわらず、帝がすごい贔屓しちゃってると。それにはそれなりの理由があって然るべきなんだけど、どうやら美しそう、ということくらいまでしかわからない。息子である光る君(光源氏)が端正な顔立ちをしているとか、よく似ているといわれる藤壺がすごく綺麗だとか、そういう間接的な情報しかないのが、なんか引っかかったんだよね。
ばら
妄想しろってことかな?
高橋
笑
ばら
それか、藤壺に投影するかたちで、今後徐々に明かされていくとか。
高橋
それもありえるね。
今パッと思いついたんだけど、お母さん(桐壺更衣)が死んじゃうのって光源氏が10歳とかそこらの時だよね。その当時の母親に対する解像度なのかなって。
ばら
あ〜〜なるほど。
高橋
どうやら藤壺がお母さんに似ているらしいと。そこからお母さんのことが気になりだすわけですよ。それ以前はもしかしたらあんまりお母さんのことをしっかり見れていなかったのかなって。そういう意味での解像度。知識の少なさに合わせているというか。まあ、ちょっと無理があるけど。
ばら
ふむふむ。
高橋
あと、構造のことでひとつ。ウェイリー自身も丁寧な注をつけてるんだけど、ここの書き出しはまだ筆のスタイルが定まっていないと指摘しているんだよね。クロニクル(宮中年代記)とフェアリーテイル(おとぎ話)が混在している、と。「いづれの御時にか」という昔話的な書き出しで始まって、最後は「〜と言い伝えたり」と、伝記のようなかたちで終わる、この定まってない感じ。ただもうこの感じはこれ以降出てこないから、まだ書き出しで紫式部自身もどう展開するか予期していなかったのではないか、みたいな。
ばら
この締め方が、プロローグ感あるよね。ここだけ後から書き足された説もあるらしいね。
高橋
ほうほう、必ずしも頭から順番に書いたとも限らないか。どうなんだろうねえ。
ばら
プロローグだからと、意図的にこういう書き方をしている可能性もあるよね。
そんで、最初のほうはまだいまいち話が動き出してくる感じがしないんだよな。「空蝉」あたりから物語っぽくなってきたように思えた。
高橋
ちょっと退屈、と言うとあれだけど、下地作りというか。でもこれが後から効いてくるんだろうね。
ばら
そうなんだろうと期待してますよ?
高橋
信じながら読むしかないね笑
前回もチラッと言ったけど、ウェイリー版はやっぱカタカナが多く、「光る君」は「シャイニング・プリンス」で、「輝く日の君(藤壺)」は「プリンセス・グリタリング・サンシャイン」と書かれてて。
ばら
やばい、笑っちゃう……! たしかにそうなんだけど。
高橋
「シャイニング・プリンス」のキラキラ感すごいよね。
ばら
イメージと合ってるよね。みんなからそう思われてるわけだし。
高橋
一回他の言語を通した感が、こういうところからちゃんと感じられるね。高麗人(こまうど)は、「コリアのフォーチュンテラー」。
ばら
まあそうだけどさ…笑
でもなんかちょっと分かりやすくなってんの面白いな…。
高橋
そうそう、だからさ、なんとなく我々は元の単語でも想像できるからまだいいけど、当時のイギリスとかではゼロからイメージを立ち上げないといけないわけ。だからスムーズに立ち上がるように、言葉をはめてるんだろうな。
ばら
そら「シャイニング・プリンス」って言わないとだね。
表音文字と表意文字の違いもあるし、うちらは「光る君」だけで十分伝わってくるけど。
高橋
固有名詞はこれからずっとこんな感じで、ちょっと愉快な感じで続いていくのよ。
ばら
典侍とか近衛中将とかは、全部カタカナなのかな?
高橋
えーっと……役職で特定の人物を指すときはカタカナだね、トウノチュウジョウとか。ただ、役職名として出てくるときは、軍隊になぞらえてるね。キャプテンとか。ウェイリーが注で説明してるそれを、さらに訳注で補足してあって、わかりやすくなってる。
ばら
いや〜〜面白いな。序列のついた組織は軍隊なんだ。なるほどなるほど。
後編はこちら