2024年1月〜3月に読んだ本まとめ【読書感想文】
上記の記事にもある通り本来このnoteは読んだ本や観た映画の感想などを書き殴るために始めた筈だったんだけど、今まであまりにもしょうもないエッセイ紛いの記事ばっかり書いてきた所為であんまりそれが出来てねーなってことに今更気付いたので、今年からはちゃんと体裁を整えて書いていこうと思う。
※あらかじめ断っておくと、これから述べる感想には容赦ないネタバレを含むどころか、あらすじや内容を説明するのが面倒臭いという筆者の怠慢によりこれを読んでいる貴方がその本を通読しているという前提で話が進む可能性もあるので、これからその本を読みたいと思っている方々は速やかにブラウザバックしてください。
あとブラウザバックする前に気が向いたら当アカウントのフォローもしていただけるとありがたいですね。まあ最低限説明しなきゃいけない部分は極力するようにしますが。
一応どんな本を読んだのか、タイトルだけでもわかるように目次もつけておこう。以下の中にこれから読みたい本がある方はお気をつけください。
1月の読書記録(ログ)
夏木 志朋/著 『二木先生』(ポプラ社)
まずこの本の何がすごいって、期間限定カバーに書かれている怒濤の宣伝文句である。本屋でたまたま見つけたんだけどこのあまりのマーケティング力に屈してつい購入してしまった。
結論から言うと、まあまあ面白かった。まあまあ、と書いたのは例のカバーに書かれているマーケティングフレーズにより自分の中で勝手にハードルを上げすぎてしまったからだ。
僕は思うんだが、最近の本の帯ってあまりにも面白さをアピールしすぎて、逆に読者の期待値を上げてしまうという弊害も発生させてしまっているのではないだろうか。
もちろん僕も小説などを嗜む一介の人間として、推薦文やおすすめコメントを帯に書く人の気持ちもわかるし出版不況のこの世の中、本を売るためにはそうした過剰な喧伝文句を書かないとなかなか人の目を惹き付けられないのはわかるのだが、にしてもあんまりやり過ぎると読み終わった後に肩透かし感を喰らってしまい、「この著者の次の作品はもういいかな」となってしまうような最悪の事態を招きかねない。
本の帯に関してはちょうどいいバランスが肝要である、と僕は思う。
出版業界の人間でも何でもないのに生意気ながら本の帯を考察したことで話が逸れたが、この小説の内容はざっくり言うと、対人関係を構築するのが苦手で、周囲から「変な奴」と思われクラスの中で浮いている高校生の主人公「田井中」が、ある秘密を抱えながらも真っ当な外面を保ちながら生きている美術教師「二木先生」と交流していく話である。
その秘密というのは(前述した通りネタバレをぶっ放すと)、「二木」は実はロリコンであり、プライベートでは小児性愛をテーマにしたエロ漫画を描いているという歪んだ性癖の持ち主だったということ。
それがある時偶然「田井中」に露呈してしまい、生きづらさを抱えながら日々を過ごす「田井中」は、世間から見れば異常な性癖を隠しながら社会では真人間として振る舞う「二木」を見て、「俺の生きるヒントはコイツにあるのかもしれない」と潜在的に直感し、「二木」に執着していく……。
途中でエロ本を万引きしようとするシーンなどは臨場感があり、ストーリーの展開も申し分なく面白く文章も平易なので読みやすかったのだが、まあいかんせん期待値を上げすぎた。
小児性愛というものがひとつのテーマになっているので、ドロドロ感というかそれなりの嫌悪感はあったんだけど、まあでも全体的には「異常」と「平常」とは一体なんぞや、みたいなことを考えさせられたから読んだ甲斐はあったと思う。
ちなみに僕は年末年始にスキー旅行で北海道に行ったのだが、例の羽田の炎上騒動で東京までの飛行機が遅延しまくり、空いた時間をこの本を読む時間に費やした。
その時はかなり疲労困憊な状態だったけど、文章のテンポが良いので難なく読み進められた。
しかし読後感はやっぱり尻切れ蜻蛉というか、ストーリーの構成的にはちゃんとキリのいいところで終わってるんだけど、もうひとつドラマティックな展開があったら良かったなと思ってしまうのは求めすぎだろうか。
学生時代クラスに馴染めなかったとか、自分は誰にも言えない特殊な性癖を持っているとか、そういう類の生きづらさを抱えている人にとっては一読の価値ありではないでしょうか。
頼藤 太希・高山 一恵/共著 『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)
2024年から新NISAが始まるし今までの復習も兼ねて読んでおくか、と購入。もともとSBI証券でつみたてNISAをやっておりある程度仕組みは理解していたので、NISAというよりiDeCoの方を学習するつもりで読んだ。
感想としてはやっぱりiDeCoって節税対策だから高所得者向けだよなぁ、と。職場や周囲の人からiDeCoを勧められることがあるけど、どうしても途中引き出し不可というデメリットに意識がいってしまう。
というかそもそも年金を受け取る年齢まで働きたくない。今すぐにFIREしたい。この先最低30年以上労働しなければならないなんて考えたくない。今すぐ不労所得で生計を立てるという夢を叶えてこの憎き資本主義社会にサヨナラバイバイしたいよ俺は。
2月の読書記録(ログ)
厚切りジェイソン/著 『ジェイソン流お金の稼ぎ方』(ぴあ)
単純にビジネススキルを研磨してMoneyを稼ぎたいと思っていたので購入。世間の需要と自分に可能な供給のバランスを考えるのが大事だとのこと。
あとはこれからの時代はものごとを継続できる力(これを粘り強くやり抜く力、という意味で『GRIT』とビジネスの世界では言うらしい)を持った人間が重宝されるんだと。
そういった意味では筆者もこのnoteを別にする必要も無いのに毎週欠かさず投稿してもう112週目ぐらいになるし、実は中学生の頃からピアノの練習を今まで継続しているし、中学も高校も大学もそれぞれ競技は異なりはするが、辞めたくて仕方なかった部活を辞めることなくやり切ったし(何部に所属していたかはプライバシーの関係上控えさせていただくが、精神的に激ハードだったという意味で便宜上戸○ヨットスクールに通っていたことにでもしておこうか、いや、冷静に考えたら別に自身の経歴を戸塚ヨッ○スクールにあえて詐称しておく必要なさすぎるからやっぱいいや)かなり『GRIT』がある方ではないだろうか。
色々なステータスが低い筆者であるが、忍耐力だけは人一倍あるという自負がある。
忍耐力というか、とどのつまりが嫌なことを嫌と言えずに我慢してきた回数が多すぎてもうそこら辺の感覚が麻痺してしまっただけな気もするが。
この『GRIT』を活かしてこれからも阿呆みたいなnote記事を定期的に量産し続ける所存なのでみんな四露死苦ゥ~!
小川 糸/著 『ライオンのおやつ』(ポプラ社)
病気により余命を宣告されたアラサーの女性が人生最後の時間を『ライオンの家』というホスピスで過ごすお話。
全体的にほんわかと優しい雰囲気に包まれている。この小説には「泣ける」という評判があるみたいだが、そんなに号泣するという感じでもなく、じんわり心にくる感じ。
『ライオンの家』では患者が食べたいおやつをリクエスト出来るという制度があるのだが、この小説自体をおやつになぞらえるならスフレみたいな。
命という重いテーマを扱ってはいるが、海に面したホスピスという舞台装置のせいか爽やかで清涼感があり、それでいてしっかりと儚さも感じさせられる読後感だった。
なんか疲れた時にまったり優しい気持ちになりたい時はおすすめですね。
宮島 未奈/著 『成瀬は信じた道をいく』(新潮社)
業界で話題沸騰中(?)の成瀬シリーズ2冊目。
前作の『成瀬は天下を取りにいく』、まあこれも正直前述したような本の帯やレビューの弊害で期待値が上がりすぎて思ってたほどの爆発力はなかったんだけど、しかしそれでもちゃんと僕に続編を買おうと思わせるほどの中毒性はあった(お前は一体何様なんだ)。
なんと言っても主人公・成瀬あかりのキャラクターがこれでもかというほどに立っている。
成瀬の行動って基本的に「我が道を行く」的なスタンスなんだけど、それでも独特のカリスマ性があるんだよね。読んでるこっちの心をワクワクさせてくれるような。
そしてギリギリ現実にいそうでいない感じのキャラクター設定も秀逸。
「~だな」とか「じゃないか」みたいな口調も相まって、もしこの作品がアニメ化したら成瀬の声優はAdoになるんじゃないかと僕は勝手に踏んでいる。
というかもうその先入観が強すぎて、この小説を読んでるときに脳内で成瀬の台詞を再生するともう完全にAdoの声音になってる。
ストーリーも5編のオムニバス形式で、突飛な主人公に周囲が振り回されるという構図的にもどことなく奥田英朗の精神科医・伊良部シリーズと似てる。
土谷 愛/著 『自分だけの強みが遊ぶように見つかる 適職の地図』(かんき出版)
自分のやりたいことがずっとわからなさすぎて本屋に行くと無意識にこういうジャンルの本を手に取ってしまう。
色々読んでわかってきたけどこういう本って概して「自分の頭を整理するためにアイディアを紙のノートに書き出してみましょう」みたいなことが書いてあるよな。こちらの本も例に漏れずそんな感じ。
筆者は怠慢な性格なので実際にノートにブレーンストーミング的なことはやらなかったが(やれよ)、自分の将来像を改めて見つめ直す良い契機にはなった。
ちなみにまた別の記事で詳しく書くつもりではあるが、筆者は俗に言うMBTI診断でINFJであり、INFJに向いた職業とか、HSPに向いてる職業とか、最近そういうネット記事やnote記事が多いのでそこら辺も参考にさせていただいている。
汐見 夏衛/著 『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(スターツ出版)
筆者の精神のオアシスこと福原遥ちゃんが主演の映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の原作。
戦争を題材にしているが、ライトノベルなので比較的読みやすい。
戦争の悲惨さ、なぜ戦争が存在するのかということや、戦争をする意義などについて考えさせる内容となっており、映画を観ても思ったが中高生あたりの年齢層に対してはそれなりの訴求力を持った作品だろう。
しかし筆者みたいに社会に揉まれて精神が磨り減り、心が汚濁してしまった成人になると作品の表層的な部分しか感じ取れなくなる。
というか、酸いも甘いも噛み分け泥を啜って生きてきたような人生を送ってくると、戦争などの重厚なテーマを題材にした作品にはある一定の毒の要素がないと物語として綺麗すぎるように感じられてしまう。
まあ著者の汐見夏衛氏も学生に戦争について考えるきっかけを持ってもらいたくてこの作品を書いたということらしいし、戦争を考えるための入口としては良いんじゃないだろうか。
僕は5年前ぐらいに九州へ一人旅をしたことがあるのだが(これも機会を改めて別の記事で書く予定)、その時に長崎の原爆資料館へ行き、言いようのない無力感に襲われた。
その時に、より深く、濃く、戦争について知り、考えたいと思った。
原爆資料館の館内は撮影禁止だったが、今でも目にした資料、映像や写真は鮮明に脳裏に焼き付いている。
そうしたことを思い出させ、今一度「戦争」についての思考を促してくれた意味では読んで良かった作品であった。
3月の読書記録(ログ)
小川 哲/著 『君が手にするはずだった黄金について』(新潮社)
著者自身を彷彿とさせる主人公「小川」が、怪しい投資をしている知人や胡散臭い占い師などと遭遇し、交流していく6つの連作短編集。
主人公は著者自身をモデルとしているからか小説家を生業としており、小説を書くスタンスのようなものが書かれていて興味深かった。
現代の社会問題と言っても過言ではない承認欲求、それを満たすための虚構、嘘、フィクション……そして現実の著者自身をモデルにして描かれているという、ノンフィクションとしての要素をうっすら含んだフィクションとしての今作。
ストーリーは単純でわかりやすかったが、別視点からこの小説を読むと極めて複雑で、難解かつ哲学的なのかもしれない。
時間をおいて再読してみようと思う。
又吉 直樹/著 『月と散文』(KADOKAWA)
言わずと知れたお笑いコンビ『ピース』の又吉直樹氏が書いたエッセイ集。
僕は人のエッセイを読むのが大好きで、芸人に限らず色んな職種の人(もちろんnoteクリエイターが書いている数多ものエッセイも)が書いたものを読んできたが、共感出来るという意味では又吉直樹氏のエッセイはトップクラスである。
特に「あの声に憧れる理由は」というタイトルのエッセイで語られている『声が小さいということが常態化しすぎていて何も喋ってないのに「なんて?」と聞き返される、ほぼ無音=又吉がなんか喋ったかもしれないという構図が出来上がっている』エピソードは身に覚えがある。
「よく喋る脳」という項では、『グループでいる時にほぼ肉声は発しないが脳内ではエンドレスに喋りまくっている』とあり、あまりにも自身のことと重なりすぎて思わず神妙にゆっくり頷いてしまった。
國分 功一郎/著 『暇と退屈の倫理学』(新潮社)
面白かったがまだ完全に理解出来てはいないので、こちらも日を改めて再読する予定。
終盤の方に書いてあった「人間は幼少期に過酷な経験をすると、成長した後の『暇』な時間にその経験が内側からサリエンシー(刺激)としてやってくる、だから憂鬱な精神状態に陥りやすい」という部分が興味深かった。
僕が定期的に考えているアダルトチルドレン問題とか、発達性トラウマ問題、生きづらさについて理解を深めるヒントと成り得そうだ。
筒井 康隆/著 『最後の喫煙者 自選ドタバタ傑作集1』(新潮社)
発想と世界観がNetflixオリジナルシリーズの『ラブ、デス&ロボット』を彷彿とさせる。
筒井康隆特有のブラックユーモア、エログロ、ナンセンスといった要素がふんだんに盛り込まれており、読者を飽きさせない。
設定はカオスで滅茶苦茶なものが多いんだけど、それをちゃんとフィクションとして成立させている手腕には素直に脱帽。
表題作の「最後の喫煙者」は現代の嫌煙問題を先取りしてるようにも受け取れるし、なんだかんだ筒井康隆は凄い。
筆者の個人的なお気に入りは「最後の喫煙者」、「こぶ天才」、「喪失の日」です。
小川 哲/著 『君のクイズ』(朝日新聞出版)
クイズの奥深さや、クイズプレーヤーの世界を知ることが出来たのは楽しかった。
が、こちらも少し期待値を上げすぎてしまったかな。ストーリーや構成も巧く練られてはいるのだが、オチやメッセージ性はやや物足りなく感じてしまった。
前記の『君が手にするはずだった黄金について』は解釈の余白が広くて好きだったのだが、こちらはわかりやすいエンタメに振り切っているような印象を受けた。まあ好みの問題だろう。
いや~、なんか書き疲れたわ。
本当は明日4月1日から新年度が始まるから環境の変化への不安とか(自分自身が異動する訳ではないが人事の入れ替えがあったため明日から新メンバーでの労働となる)、労働に対しての呪詛とかを書くつもりだったのに読書感想文だけで約6000文字も書いてしまった。
新年度開始前日にこんなことしてる場合じゃないんだよな本当は、ちゃんと労働の準備とか心の整理をしなきゃいけないんだけどnoteを更新しなければならないという強迫観念に駆られて時間を浪費してしまった。
ぜんぶnoteのせいだ。俺は悪くない。こっちが聞いて恥ずかしくなるようなキャッチコピーを考えるJR SKISKIの広報部が悪い(それは別に悪くねえよ)。
もう4月から仕事が多忙を極めそうだから不安でしょうがないよ。
最近アプリでONE PIECEを読み進めててそのついでにYoutubeでONE PIECE関連の動画見たりアニメ映像見たりしてんだけど、その中でも特にBoyStyleの『ココロのちず』ばっか聴いてる。
誰かに「大丈夫」って言って欲しすぎて。
心の中に潜むもう一人の自分が「本当に明日から大丈夫なのかよ!なぁ!ホントに大丈夫なのか!?」って言ってくる度にApple Musicで『ココロのちず』再生してる。
大丈夫!さぁ前に進もう♪
いや、待てよ……日曜日だというのに実家の子供部屋に篭もりきり、独りで3時間ぐらいかけてnoteの文章を執筆する27歳独身男性……これは……世間的に『大丈夫』の範疇なのか……?
……まぁ、大丈夫だろ。
いずれ超絶面白い記事を書くクリエイターとしてnoteで脚光を浴びて一躍有名になり、記事が書籍化され、それが爆売れして印税収入だけで生計を立てられるようになって、富、名声、力、その他いろいろなものを手に入れる予定なんだから。
note王に!!!おれはなるっ!!
ここ最近の投稿の中で一番締まらない終わり方だよ。
ここまで読んでくださった皆様は本当にありがとうございました。
おわり
おまけとして筆者の読書メーターのURLを一応貼っておく。