見出し画像

2024年5月に読んだ本まとめ【読書感想文】


 ハイ、ということで毎月恒例の読書感想文回です。といってももう5月過ぎて6月ですけどね。まあ5月は31日が金曜日だったししゃーない。31日までの1週間で読んだ本もあったしそれもカウントしなきゃいけないから。

 しかしそれにしても時の流れの早さに戦慄する。ついこの間まで2023年だったよな?このペースだと気付けば2024年が終わってしまう。あ〜やだやだ。

↓いつもの

 ※あらかじめ断っておくと、これから述べる感想には容赦ないネタバレを含むどころか、あらすじや内容を説明するのが面倒臭いという筆者の怠慢によりこれを読んでいる貴方がその本を通読しているという前提で話が進む可能性もあるので、これからその本を読みたいと思っている方々は速やかにブラウザバックしてください。まあ最低限説明しなきゃいけない部分は極力するようにしますが。


5月の読書記録(ログ)

吉田 昌生/著 『1日10分で自分を浄化する方法 マインドフルネス瞑想入門』(WAVE出版)


 ここ数年精神的な不調を感じることが多く精神医学系の本を読み漁っているのだが、それらの本によく「気持ちを落ち着かせるのには瞑想が効果的だ」と書かれているので気になってKindle Unlimitedで読んでみた。


 瞑想と聞くとなんか宗教臭くて取っつきにくいイメージがあるが、昨今マインドフルネスによって集中力が高められたり、眠りの質が良くなったりするということがしきりに主張されているので、まあ減るモンじゃなしに一回騙されたと思ってやってみるかという気持ちになっていたのもある。


 こちらの本の著者曰く、マインドフルネスの肝は過去でも未来でもなく「いま」、この瞬間を感じることであり、その練習として深呼吸を繰り返すことがおすすめらしい。


 筆者も実際にApple Watchのマインドフルネスアプリを使って深呼吸をやってみたのだが、やはり雑念に囚われてしまう。


 何も余計なことを考えずにただ呼吸のみに意識を集中させられるのが理想なのだが、どうしても労働のことや将来のこと、さっき食べた唐揚げおにぎりのカロリーのことチキン南蛮にかけられるべきタルタルソースの適量とは……とかいうどうでもいいことばっかり頭に浮かんでくる。


 しかし、ありがたいことに著者は「最初は上手くいかないと思うが、それでいい」と述べられている。


 サーフィンをするときのように最初は波に乗れず、意識があっちこっち行ったりしてしまうだろうが、練習を重ねるうちに意識を集中出来るようになり、波を乗りこなせるはずだという。


 筋トレをして身体が鍛えられるように、心も瞑想をすることで鍛えられるのだそうだ。


 ならしょうがない、最初は雑念ばかりだろうが、実験を兼ねて意識的に瞑想を生活に取り入れるようにしてみよう。

細川 貂々・水島 広子/著 『それでいい。』(創元社)


 『ツレがうつになりまして。』という本で有名な漫画家の細川貂々氏と、精神科医の水島広子氏による対談本のようなもの。


 この本で特に印象に残ったのは、水島氏による「人間の変化は、現状の肯定からしかあり得ない」という言葉。


 筆者の現状を考えてみる。実家暮らし、コンプレックスの塊、社交不安障害、孤独、休日にピザポテトの表面のあのチーズのプチプチ部分を数えることでしか暇を潰せない哀しき独身男性……でもそれでいいんだ、そんな自分を認めることからこの現状の改革は始まるんだ。まずピザポテトの購入を控えよう(そういう話ではない)。

永田 希/著 『再読だけが創造的な読書術である』(筑摩書房)


 本屋に行くとつい目についた面白そうな本を買っちゃって部屋の中のフリースペースがどんどん狭くなっていくので、再読を習慣づけるような思考を植え付ければ本が増えなくていいんじゃないか?という安易な発想から本屋で購入した(結局部屋の中にまた本が増えてしまったが)。


 多読否定派ということでショーペンハウアーの話が出てくるかなと思ったらやはり出てきた。 


 ショーペンハウアーは『読書について』という著作の中で、「読書とは他人の思考をなぞる行為であり、それを受けて自分の頭で考えることをしなければ意味がない」という持論を展開している。


 この考え方からすると、『再読だけが創造的な読書術である』という本を読めば自分がこの本で主張されている考え方に影響され、再読という行為に最上の価値を見出せるだろうと短絡的に考えてしまった私はショーペンハウアーの敵ということになる。ちょっと反省した。


 本全体を通して再読の意義はまあなんとなくわかったが、でもやっぱり死ぬまでに出来るだけ多くの本に出会って新鮮な刺激を得たいよなぁという想いは変わらず………既知の本と未知の本の取捨選択はとても難しい。

リチャード・バック/著 『かもめのジョナサン 完成版』(新潮文庫)


 Netflixの『全裸監督』内でもちょっとだけ登場していたこの小説。


 最近政治的な文脈ではない方の「自由」についてよく考えるので、ちょっと参考になった。


 ジョナサンにとっての「飛ぶ」という行為を、自分にとっての「自由に生きる」という行為に投影していくとなんとなくスッキリする。


 無我夢中で何かに取り組むという行為は、一見その何かに囚われているように見えるかもしれない。


 しかし、何に情熱的に取り組むかを能動的に、本能的に選択するという行為はきっと果てしなく自由な行為なのだ。


 私も自由に生きたい。そして自由に書きたい。このnoteの内容が支離滅裂だとしても、何を言いたいのか不明瞭な文章になったとしても、私は自由に書くという行為を優先したい(感想文の稚拙さを無理矢理正当化する)。

熊谷 はるか/著 『JK、インドで常識ぶっ壊される』(河出書房新社)


 タイトル通り、JKがインドに行って常識をぶっ壊されるという内容の体験記。


 新聞の書評欄で紹介されていて面白そうだったので本屋で買ってきた。


 読み終わると嘆息。ポップなタイトルや表紙とは裏腹に、インドで目にしたスラム街やストリートチルドレン問題、貧困の格差やドラッグ問題などのシリアスなテーマが描かれていた。


 経済的困窮により勉強がしたくてもできない子どもたちや、親のネグレクトなどに起因する孤独により、ドラッグに走るしかない状況まで精神的に追い込まれてしまう子どもたちなど、インドの闇が克明に映し出される。


 著者は日本にいた時に呑気に「タピオカ飲みたいな~」と思っていた自分を省み、深くインドについて考える。


 最終的にボランティアワークのような活動に参加したり、ドラッグ抑止活動の一端を担ったりという行動にまで及ぶことの出来る著者の胆力に素直に感服した。


 世の中にはこういった貧困問題に関する、綺麗事のような大人の主張は掃いて腐るほど溢れているが、この本にはJKが自ら現地で体験し、インドという国の内情に触発された経緯がリアルに記されているので感情移入しやすく、前向きな気持ちで読めた。


 きっと現地でしか受け取れないインプレッションのようなものがあって、それをエネルギーにして書かれたという感じがする。



 もちろんそういったシリアスなテーマだけでなく、時間にルーズだという文化の違いや、野生のジャガーやゾウとの遭遇などがJK特有のみずみずしい視点から描かれてもおり、紀行文としても申し分なく面白かった。


 「第16回出版甲子園」という企画でグランプリを獲っているだけあり、良書。


おわり

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?