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「にしき」って書こうとすると「綿」になちゃう人の話 その弐
それでは、前回の続きをばツラツラと。基本脱線メインなので全然ツラツラ書けてないけれど、書いてる本人がツラツラというのだから仕方ない。
「にしき」って書こうとすると「綿」になちゃう人の話 その壱はコチラ。
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「夢の吊り橋をノーハンドで渡る!」という日本で二人目の偉業を成し遂げたワタシは、すっかり気を良くして一方通行(狭い吊り橋があるからね)の山道、しかも数百メートルを一気に石段で登るという荒業(R5指定)にも果敢に挑み展望台に到着。そこには男女兼用、一人用、蜂が入ってきたらチャック前回で逃げ出すYO!的な小さいトイレがあった。
なぜに彼らはああなのだろう?前回の話にもほんの少し出てきた欧米のグループ。仲間が用を足している時に外壁に石を投げつけて「HA HA HA!」と盛り上がっていた。そんな光景を微笑ましく眺めながら、二箱目の森永キャラメルを開けた。
ここからは車を止めてある駐車場へ数キロの道のり、しかも前後に人の影も濃い。いやー、順調順調!足取りも軽くザムザムと下っていく。やはり沢山の沢筋がダムに流れ込んでいるので橋が多い。
こっわ!
「夢の吊り橋」がこの高さだったら「悪夢の吊り橋」である。幸いにも頑丈な橋だったので写真を撮る余裕もあるというものだ。
そのままザムザムと歩き無事に駐車場へ到着。
ちょうどお昼時ということもあって周辺のお店は賑わっていた、食事を終えて帰るお客を従業員が元気な声で、気の利いた一言なんか添えて笑顔で見送っていた。
いいぞ!あったかいぞ!寸又峡!!
13時くらい。宿もそんなに遠くない。ちょっとドライブでもしてチェックインするのかな?と、夢の吊り橋での成功に平和ボケしたボクはぼんやりと外の景色を眺めていた。
ん?
どうもウチの人が意思のある運転をしている。行き当たりばったりではなく、目的を持った運転だ。
「何か行きたい場所でもあるのかね?」と平和ボケしながら訊いてみた。
さらに奥地にある「畑薙大吊橋」というところに行くという。
そんな予定は聞いてない。。。
しかし、助手席ウォーマーのワタシに選択権など元々ないのだ。
しょんぼりテロも怖い(その壱参照)。
選択権はないが、以前飲みすぎた罰としてコチラから発行した「洗濯券」は有効なので毎週木曜日は洗濯をしている。
車はどんどん山奥へ入っていく。
以前、四万十川に行った時、川面まで10数メートルの崖の上の道路を走った時と遜色のない道幅だ。場所によっては離合もままならない。四万十のトキは珍しくボクが運転していた。
ウチの人は助手席でグーグー寝ていた。「こんな命のやり取りをしないと通れないような道でグーグー眠れるというのは、なんと胆力のあるヒトだろうか!!」と本気で尊敬のような念を覚えた。しかし、そんなことで尊敬されるのも不本意だろう。
九十九折の道が永遠に続くように感じる。お尻で餅が焼けるんじゃないだろうか?ってくらい助手席をウォームした。
先ほどの寸又峡と違って先行する車も、後ろから付いてくる車も殆どない。明らかに「ひと気のない場所」に連れて行かれている。契約違反だ!不正選挙だ!I make me great again !グレートだったコトがないから無理だ。
すると先行する車発見!結構狭いポイントで対向車とすれ違うべく端に寄せて止まっていた。我々の車も慎重に後ろにつく。ウチは軽自動車なのでまだ良いが、先の車、対向車、お互い大きめのファミリーカーで、なかなかうまくいかず慎重に切り返したりしていた。
「道が狭くて大変だけど、ひと気も少しはありそうだな。」
と、胸を撫で下ろす為の胸をアマゾンで注文しようとしていた時、後ろからバイクのエンジン音が。
「おーっ!ツーリングの皆さんもやってきた!!やはりひと気も少しはありそうだな。」と、胸を撫で下ろした時に吐く息をなるべく綺麗にする為にガムでも噛もうと思った。
ん?なんか音が違う。
旅行やドライブに行く時は、ボクが望まないと望まないに関わらず必然的に山になる我々。これまでと幾度となくツーリングの集団には遭遇してきた。
しかし今回、明らかに紅葉の景色とは違和感のあるエンジン音。しかもかなりの台数の音。どっちかというと、夜の帳が下りて、盗んだバイクで走り出して、窓ガラスを割って、なんか勝手に卒業する、そんな方面の音。
そう、暴走族。
ぼ、ぼ、暴走族?
生息数が少なすぎてワシントン条約の対象になってる、あの?
だんだん近づいてくる。
もちろん離合に苦労している先行の車がいるのですぐに追いつかれた。
ウチの車のスグ後ろ、暴走族www。
窓を開けて「ぅおりゃ!シンガリ!しっかりポリ止めとけよ!!」とか叫びたくなったが、根性焼き入れられてクリリンみたいなおデコになったら嫌だからヤメタ。
程なくして、先の車の離合が完了して走り出せたのだが、こんな命のやり取りを要する山道で、後ろに暴走族を従えて更に命のやり取りの要素を増やすのは得策ではない。そのまま停車してやり過ごすコトにした。
はっきり数えてはないが20台以上はいただろう。みんな火ばさみみたいなハンドルで、荷台のところはチョロQのジャンプ台に丁度良さそうに跳ね上がっていた。茶髪の女の子を後ろに乗せたバイクもいた。なんとか連合って書いてあったな。
「おらーっ!お前ら、今日は紅葉狩りすっから、気合い入れていけよ!!」とか「一番綺麗な葉っぱは総長のもんだから、隠したらヤキ入れっぞ!!」とか「道の駅でソフト舐めっからよー、抹茶とかにすんなよ!!俺たちの走りの心は純白なんだからバニラ上等だ!」とか「山に入っから!オメーら、熊鈴持ってけよ!!!」とか言って気合いを入れてるのだろうか。
想像したらニヤニヤが止まらなくなった。一緒に写真撮りたかった。が、「紅葉を見る会で反社の方と一緒に写真撮られてますよね!?」とか野党の皆さんの追求を受けるのは面倒くさいので諦めた。
それからしばらく走って「長島ダム」というところに到着。
「なんとかって言うゲートに車止めるんだってー。」とウチの人は言いながら、たまたま道路脇に出現した山道に通じる門みたいなところに車を止めようとする。
ちょっと待てーい!!ただの山じゃないか!吊り橋とかそういう観光資源がある気配が全くない!いやっ、資源はあるが森林とダムだけじゃないか!ここじゃなーい!と、「プチしょんぼりテロ」を見て見ぬ振りして車を先に進めてもらった。
有りました、有りましたよ「なんとかゲート」が。
ちゃんと門番的なおじちゃんもいる。
おじちゃん曰く、25分くらい歩くと吊り橋があるから気をつけて行ってらっしゃいとのこと。「おっ!熊のことはなにも言わないね!さてはこの辺は人が出入りするから全然現れないのかな?」と、安心しながら20mくらい進んだら「熊出没注意」の看板発見。。。
ああ、、、もう恐ろしい。。。
熊鈴は着けた。しかし彼ら、彼女らはもう鈴の音に慣れてちっとも警戒しないかもしれない。。。こうなったら手拍子だ。
ということで、足音をカウント代わりに16ビートのリズムフレーズを手拍子しながら歩いた。音楽やってて良かった。さすがの熊も、2拍3連叩きながら山を歩く人にはそう出会うまい。
程なく、川の上に電線のようなものを渡してあるのが見えた。いつ熊が出るかも判らない山道を歩くのが嫌で、最初はそれが吊り橋だと思って小躍りしたが、よく考えてみるとあんな電線みたいなのを渡る方が命に直結する。同時進行する恐怖は判断力を鈍らせるのだな、きっと。
さらに電線に近づいた。
それが、吊り橋だった。。。
夢の吊り橋はちゃんと一方通行というルールがあったが、ここにはそんな取り決めがない。先に一人渡っているではないか!帰ってきたらどうするのだろうか?立ったまますれ違うのは不可能だろう。
心に決めた。
もしそうなったら、ボクが腹ばいに寝転がってその上を渡っていただこう、と。この状況で他人に踏みつけにされようが、そんなことは何の屈辱でもない!ワッハッハッハ!!!
変なテンションだったので、動画を撮った。
ご覧いただこう。
高所恐怖症のヒトが、ただ吊り橋を渡っているだけだ。
先行していたカップルはちゃんと待っていてくれて、なんとか腹ばいでの辱めを受けることはなかった。
茶臼岳はじめ南アルプスの入山口であるらしい。山に行くのは怖いが山の番組を見るのは好きなので少し萌えた。
「行きはヨイヨイ帰りは怖い。」と歌にあるが、ボクの場合はどちらも怖い。そして「夜は酔い酔い帰ると怖い。」である。
無事に橋を往復して車まで向かう道沿いはすっかり秋。
綺麗だったな。
2泊3日の静岡の旅であったが、しょんぼりテロに遭遇することもなく、渋滞にも巻き込まれず概ね大成功であった。
伊豆の海は綺麗だったし、修善寺は安定の観光地だった。
そして宿のご飯は美味しかった!
初日の宿の帳場にかけてあった。宿のヒトに尋ねた所「ご商売益々繁盛」という意味らしい。
壹斗「五升の倍」→ご商売
貳升「升が二つ」→益々
五合「一升の半分」→繁盛
気が利いている。
最寄りのインターから一番近いSAで買った、食べる激辛唐辛子が美味しい。次の日お尻が苦しい。
個人的阿鼻叫喚の2泊3日も、帰ってからは楽しい思い出に変わる。そして、お酒を飲んで調子が出てきたタイミングで、いつの日かまたどこかに行く約束をする。ボクの華麗なるルーティンである。
おしまい。