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本日の本請け(2023.4月)
その本に合うお茶請けならぬ「本請け」を用意して読書をしています。
先月コーヒーが多かったため、今月はお茶多めでございました。
『世界ともだち部』週末北欧部chika(講談社)
フィンランドで寿司職人になる、という夢を叶えた著者の、友人たちとのコミックエッセイ。
何度か連載の漫画を読んだこともあったのですが、まとめて読めました。
いつも装丁が素敵です。この方の最初の本は発売日近辺で本屋さんでは取り扱っていなくて電子書籍で買ったのですが、最近はしっかり入荷してくれるので現物を購入するようになりました。
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どの人もとても魅力的だけど、著者の方がネガティブな話を全くしないのもすごいなと思います。
世界の捉え方というか、見方が好感が持てて、だからと言って、圧の強いポジティブ!というわけでもない。心地よい時間を過ごせます。
『怪人デスマーチの退転』西尾維新(講談社)
『怪盗フラヌールの○◯』というタイトルで続くのかなと勝手に思っていたら、次巻のタイトルが変わっていてあれ?となり、最後のページで意味がわかりました。
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Kindleで表示してしまったので表紙がわかりにくいので、リンクを貼っておく。
石川県が舞台。行ったことがあるので、読みながら実感が持てて、けれど西尾維新のお話はだいぶフィクションラインがゆるいので、パラレルワールドに感じたり。
このシリーズかなり好きなので、どういう結末を迎えるのか楽しみです。
『1Q84 BOOK1<4月〜6月>前編』村上春樹(新潮文庫)
オーディオブックは月額でお金を払っているので、一ヶ月に一作品は聴かないと損だよな、という貧乏性からそういえば『1Q84』は読んだことないな、と聴き始めました。
「前編」とあるので聴き終わった後にさあ「後編」と思ったらたくさんあってあれ!?となりました。
なんと全6冊なのです。3・4冊目は5月1日に聴き始められるようになり、5・6冊目は7月1日から。長さを知らなかったため、うーん、我慢できず文庫読んじゃいそう。
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朗読は杏さんと柄本時生さん。男女の物語が交互に語られます。あれ、共通項?というところもちらほら。そのうちつながるのかな。
杏さんはとてもうまくて聴きやすい。柄本さんは妙な違和感があって村上春樹には合ってる気がする。朗読が本職の人が読み上げるものを聴くよりは、多少イントネーションが気になるときがあるのですが、それぞれの人物のセリフ、俳優さんたちが読むと味があって面白いです。
内容は、去年を経て聴くと……。今まで知らなかっただけなんだなと打ちのめされました。
サイトをのぞいてみたらつくりがすごい。
全て読み終わったらいろいろ見たい。
『カーテンコール!』加納朋子(新潮文庫)
読書会で『一万円選書』の岩田徹さんのお話を聞いたのですが、その本の中で紹介されていたらしい本。学生時代、加納朋子をたくさん読んでいたので懐かしくてすぐ買って読みました。
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閉校になった女子大学で、卒業できなかった人たちを集めて補講が行われることに。
それぞれみんな、多かれ少なかれ卒業できなかった理由があります。繊細な描写と、やわらかな結末に、ダメな自分を肯定できる気がする優しい物語でした。
『ななつのこ』を読んだときのこと、『ガラスの麒麟』を何度も読み返したことを思い出しました。ああ、学生時代に出会いたい本だった。加納朋子、やっぱり好きです。
『ポーの一族 青のパンドラ1』萩尾望都(小学館)
あっ新刊出てる!と思って購入したのですが、あれ、待って、新刊いつぶり……?と思って調べたら間を買っていなかったことに気づき、どうせなら、と一気読みすることに。
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が、「一気読み」が、できない……!
今の漫画と違って1ページに情報がぎっしり。あれ、この人だれだっけ?と読み返しているうちに時間がたっていて、一日で一気読みするはずが一日に1巻、というペース……。
『ユニコーン』を読んだときにえっとなってぐいぐい引きつけられてしまいました。
『秘密の花園』、切なかったな……。
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一気読みしたけれど『青のパンドラ』は『I』だったので途中で終わりでした。き、気になる。複雑だし『II』を読むときにはまた一気読みが必要かもしれない。
『仁尾智 猫短歌集 いまから猫のはなしをします』仁尾智(エムディエヌコーポレーション)
猫カフェに久しぶりに言って猫熱が上がっているときに見つけて購入したもの。
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順番によって恣意的にならないように、あいうえお順に短歌が載っています。
特に好きだったやつをご紹介。
どかしてもどかしてもまた乗る猫はどかされるのがまた乗る理由
なぜ猫を愛するように人間を愛せないのかよくわからない
不満げにエサを見つめていた猫がこれぞ「渋々」という顔で食う
猫をなくした、あるいは亡くす予感の短歌もいくつかあって、沁みました。
短歌にハマってから自分でも作れるものかなと思って作ったことが一度だけあって、それは「ねこじゃらし探して歩く帰り道 もううちに猫はいないのにな」でした。
喪失も含めて、猫を飼うことなのです。
『三体0 球状閃電』著・劉 慈欣、翻訳・大森 望、光吉 さくら、ワン チャイ(早川書房)
去年、電子で買っていたのですが読もうとする前にオーディオブックが始まったのであららと思いながら結局オーディオブックで聴きました。
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三体の前日譚的なお話。ディン・イーが『三体』を読んだときからいいキャラで印象に残っていたのですが、今回もよい味出していました。
SF的な驚きよりも、今作は人間ドラマが中心で驚きました。また印象が違ったけれど、三体シリーズとしてというよりこれ単体で楽しめた、という気がします。
『1Q84 BOOK1<4月〜6月>後編』村上春樹(新潮文庫)
続きも聴きました。
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本を朗読してほしい、と天吾が言われるシーンがあるのですが、オーディオブックという朗読のかたちになっているものでそのシーンを読むとなんだか世界の認識が曖昧になるようで面白かったです。
いつの間にか違和感のある月が二つの世界へと行っている、という話なので本の中と現実の境界線が曖昧になる、という感じ?
杏さんの読む「あゆみ」(オーディオブックで聞いていると、登場人物の漢字がわからないのが難点。下手に検索するとネタバレを踏みそうで……)の語尾が軽やかでなんだかキュートだなあって思います。
高校生のときに村上春樹を読んでから、「うーん」と思って、あまり手を出さずに来たのですが、今になって面白く読めるようになってきました。
逆になんでダメだ〜と思ってたんだっけ?と考えていたのですが、この巻に天吾が数学について教えている場面があるのですが、
天吾は教室を見まわし、十七歳か十八歳の少女たちの何人かが、敬意をこめた目で自分をじっと見ていることを知った。彼は数学というチャンネルを通して、彼女たちを誘惑していることを知った。
彼の弁舌は一種の知的な前戯だった。関数が背中を撫で、定理が温かい息を耳に吐きかける。
ここ読んでてあー、こういうところ!って思い出しました。
なんか、こういう文章を読まされているだけでセクハラを受けている気持ちになっていたんですよね……。『1Q84』は今回読むのが初めてなので、他の著作の類する文章、ということですけれど。
教室には少年もいるのにそっちはガン無視で少女の敬意をこめた目線で気持ちよくなってるのキモッ!って今でも思っちゃう。
メタファーだなーとか考えて読み流せるようになった、むしろこれは何を表してるかなーって考えられるようになったので面白く感じられるようになってきたのかもしれません。でも、やっぱりここは引っかかっちゃって一回聞くのをやめました(笑)。
『街とその不確かな壁』村上春樹(新潮社)
高校生のときから長編を読んでは「ダメかも……」と思い、友人から「エッセイとか短編にしたら面白いよ」とアドバイスを受け細々と読んできた村上春樹。
前作『騎士団長殺し』で「村上春樹面白いな」と思い、いろいろと読むようになりました。
で、今回の新作も発売してすぐに買ってみました。
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たぶんメタファーとかを読み取る技術が、私の中で上がったので面白く読めるようになったのかな、と思います。
きちんと読み取れてるかはわかんないし、じゃあ言語化してみてって言われるとうーん、となってしまうのですが。
『騎士団長殺し』を読み終わったときに、会社の二十くらい上の人と感想を言い合ったのですが、「昔に比べて、面白くなくなった」と言われたんですよね。
私は「昔の作品より面白かった」と思っていたのでけっこう衝撃で。
で、読みながらこの会社の人との齟齬はどこにあるんだろう?と考えながら読んでいました。その人とはけっこうエンタメの感想の意見が合うので気になったのです。
今回、読了後にこちらの感想を読んでなるほどと思いました。
会社の人は上の記事のようなことを漠然と感じていて「面白くない」という感想になったのかな。
コーヒーショップの女性との関係には「なんだこれ?なんかすごいいいことのように描かれている気がするけどなに?」と違和感抱きまくりだったのでちょっと腑に落ちちゃった。
老化していくことと、誰かにあとを継いでもらうこと、がテーマなのかなあ。
その割に、主人公が自分も継ぐ側でもあるくらいの年齢だったのが気になるんだけど……。
まだ咀嚼しきれていないので来月は『1Q84』の続きを聞きながら、この作品についても自分の中で噛み砕いていけたらいいな。