本日の本請け(2024.9月)
読書とそのとき食べたものなど。
『源氏物語 3 古典新訳コレクション』角田光代(河出文庫)
実は4月からずっとカバンに入れて少しずつ少しずつ読んでいました。他の読書にかまけていて、やっと読み終わった!
9月に京都に行くので、焦って読み終わりました(笑)。
読んでいる間に4、5巻を買ったのですが、なぜか2回買っちゃって、しかも2回とも4、5巻まとめて!自分にがーんってなってました。
「澪標」「蓬生」「関屋」「絵合」「松風」「薄雲」「朝顔」「少女」「玉鬘」が収録されています。
源氏と藤壺の秘密の結晶が帝になり、源氏は栄華を極め、夕顔の忘れ形見が見つかる。
源氏は息子には将来のことを思って厳しくあたってけっこう良いお父さんをしていたり、それぞれの女性に合うものを選んでいたりと気はきくんだよなあと思います。
でも紫の上は、源氏にいろんな女性の話をされて不憫だなとも思います……。「あさきゆめみし」読んだときに抱いていた感想より、けっこう源氏をなじっているなと思いました。
私は空蝉が好きなのですが、光源氏を拒んだところは朝顔の姫君とかぶるところがあるなと思いつつ、やっぱり空蝉が好きだなーとなりました。
求愛をはねつけて、友人付き合いだけの朝顔の君も強くて素敵だけど、私は光源氏を拒みつつも募る思いを捨てきれずにいる空蝉がいじらしくて人間らしくて好きなのかも……。
朝顔の姫君との違いはあと、上級貴族か中級貴族かとか、朝顔は神に仕えてるから男に興味ないのかもしれないし、あと空蝉は夫がいるところかな?
源氏物語ってすごく、多様な女性がいるなーって思います。
『ワンルームワンダーランド ひとり暮らし100人の生活』編・落合加依子、佐藤友理(小鳥書房)
SNSのおすすめにあがってきて、普段ならスルーしちゃうんですが気になって購入してしまいました。
本屋さんの店主が、共同制作者と一緒にツテをたどって100人を集め、それぞれの一人暮らしの部屋の写真とエッセイを収録した本。
左のページに写真、右のページにエッセイ。案外、短く書いてある何者であるかの紹介が面白い。
小さく書いてある、そのエッセイを書いた人の経歴が地味に面白い。たいてい生まれ年と暮らしている場所、属性(学生とか会社員とか)なんだけど、思いの外一言コメントが面白い!どれも人柄が出ていて、よくぞこういう人たちを見つけてきたなあ、という感じ。
部屋の写真はそれぞれ2、3枚なので、ひとり暮らしの部屋の全体が見られるわけではないんだけど、その人が一番「自分の部屋らしさ」だと思うものを撮っているせいか雰囲気がつかめる。
この部屋は私と似てる、こういう部屋いいなあ、すごい部屋だな、真似できないな、ああ、学生時代の部屋って感じ!などなど、それぞれいろんな感想があって、面白かった!
最後の部屋でほっこりした。並び順もよかった。
『宙わたる教室』伊予原新(文藝春秋)
なんとなく書店で購入したのですが、すっかり忘れていました。
10月からドラマになるというニュースを見て、「あれ?これ買ったな……?」と思い出して積読から発掘。10月になる前に読まなきゃと読み始めたら一日で読んでしまった。
こちらで第一章が読めます。
どうして今まで寝かせてたんだろう!もったいなかった。そしてもう買ったときのことを覚えてないんですがグッジョブ自分。
読み書きが苦手、数学ならなんとかというところとか、自分と似た境遇の人に寄りかかってしまうところ、その気にさせて頑張らせて、その先でつぶれてしまったらもっと傷つくんじゃないかとか。とても身につまされつつもとてもよかった。
岳人が最初に夢見ていたのはひとりの力で生きていくこと。もう誰にも馬鹿にされずに、高速を走る車が見えた気がして一番最初に泣きそうになってしまったのはここでした。そうだね、馬鹿にされたくないよねってなって。
でもラストで、みんなと一緒なら宇宙まで行けるっていうことに彼が感じた感動を思うと震えてしまった。
ドラマも楽しみ!
『薔薇の名前 上』『薔薇の名前 下』著・ウンベルト エーコ、訳・河島英昭 訳(東京創元社)
『百年の孤独』を読み終わり、「おお、読めた」という気持ちになったので……
ずっと読んでみたかったけど、評判などを見て無理かなあと思っていたこの『薔薇の名前』が、ついにいけるのではないか!?と思って思い切って購入しました。
そもそもきっかけは恩田陸さんが同タイトルの小説を書いていて、この小説から取ったという話をエッセイのどこかでしていたためです。
最初、よ、読めないかも……と心が折れかけたのですが……。解説本を読んだり、NHKの100分で名著を購入して見たりして頑張りました。下巻の最後に訳者の解説もあってそれも手がかりになりました。
解説本はネタバレがあったので進行と共に読んでいてまだ全部読めていないので、来月読みたいと思います!
最初の方は当時の情勢の説明でしたが、師匠と弟子が出てきて、そのふたりが探偵と助手役で、ミステリーだ〜!と思って読んでいったのですが、最後ミステリーのようでミステリーでなく語られているのが、そういうジャンルレスなところ恩田陸っぽいなあ影響受けてそうだなあなんて感慨深くなってしまいました。
ちゃんと理解できたか自信がないのですが、記号っていうものを「情報」とか「言葉」に置き換えると、自分にはちょっとわかるというか……。
わかったつもりになっても誤解していたり、こういうものだと決めてしまうと取りこぼす部分があることに危惧を持っていたりするので……。
自分はずっと、誰かに何かを話しているときに、言葉にしていることで取りこぼしていくものが気になって仕方ないんですよね。
わかりやすさを優先して「悲しい」というと、寂しいとか苦しいとかそういう微妙に「悲しい」ではなかったことをボロボロこぼしてる気がして。
その取りこぼしているものにものすごく大切なものがあるときがある気がして。
もう少し、解説本を読みながらいろいろ考えようと思います。
『短物語』西尾維新(講談社)
しばらく西尾維新読んでないなと思うと無性に読みたかったので、発売延期になってしまったのでがっくりしていました。ようやっと読めた!
特典で読んだこともあるものもあったんですが、読みながら「これこれ!」と思ってしまってちょっと中毒めいてるなと思いました(笑)。
第二十九話の「どうかして」が好きでした。
『日本の寄付を科学する――利他のアカデミア入門』坂本治也(明石書店)
寄付をした団体のメルマガで読んで、なるほどなと思ったところが大きくて。もう少し知りたいなと思って読みました。
特に面白かったのはこの、システム化されてスムーズなボランティアの場より、ちょっと大変な場の方が「またやりたい」になる、という話。
「なんとかしないと!」と思わせた方がボランティアとしては「またやりたい」となるのかなと思うと面白かったです。
この部分で、コロナ禍で配信の文化が当たり前になったことで、逆にリアルなコンサートの価値は上がるような気がしていたんだけど、それよりも先を考えているのか、と驚きました。
『温めれば、何度だってやり直せる チョコレートが変える「働く」と「稼ぐ」の未来』夏目浩次(講談社)
たまたまニュースで見て、読んでみよう!と思って読みました。
チョコレートも実際に買いに行きました。お菓子のブランドとか詳しくないので、お店も知らなくて、行ったら好きな味をひとつひとつ買えるのでたくさん買っちゃいました!
聴きながら、著者がどんどんいろんなことに挑戦することに「なんで!?」と思ってしまいました。借金あるのにどんどん事業拡大したり……どうしてそんなことができるの!?という(笑)。途中でメロンパンがヒットして、それを維持するのでいいじゃないと周りがなっていて……というくだり、私もそう思うよ〜!と思ってしまいました。本当、とんかつとかどんどん異業種にも切り込んでいくので、安定志向の自分には信じられない……と聴きながら疲れてしまいました。
でも、これを読んでいる途中でカカオが高騰しているというニュースを見て、そうか、ひとつの事業で成功しても、いつそのモデルが通用するとは限らないんだな……と思って納得しました。
社会貢献というわけでなく、一流でありたいというのは聴いていて励まされる部分がありました。
『銀河英雄伝説10 落日篇』田中芳樹(創元SF文庫)
ついに!
大学生のときに9巻まで読んでそこで終わっていたのですが、ついに読了することができました。結末を知れて達成感がかなりあります。
9巻まで読んでこれあと1巻で終わるのかな……?と思っていたのですが、なるほどこうなるのか、と思いました。
すっかりポプランが好きになってしまったので、彼がその後どう過ごしたのか、思いを馳せてしまいました。
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